2012.12.21

これまでとはちょっと趣が違う「007 SKYFALL」

 夏以来、映画館から足が遠のいていました。特に見たいと思った作品がなかったのもありますが、またもや「ものぐさ病」にとりつかれた感もあります。これではいかんと思い、話題作を見に行ってきました。007シリーズの最新作「スカイフォール」です。
 ジェームズ・ボンドはトルコでの任務に失敗、行方不明となります。一方、英国にあるMI6が謎のサイバー攻撃に襲われ、本部を爆破されるというテロ攻撃に見舞われます。復帰した007は黒幕の正体を確かめるべく中国へと向かうのでした。


これまでとはかなりストーリーのテイストが異なっているように思えます。

 これまでのシリーズとは大分趣きが違います。また、ジェームズ・ボンドといえば個人的にはスマートなスパイという印象が強いのですが、最近演じているダニエル・クレイヴはどちらかというと「肉体派」的な感じだけに、かなり違って見えるのでしょうか。ストーリーはそれほどひねったところはないのですが、全編緊張感にあふれた展開だけに長尺もあまり気になりませんでした。
 今年はシリーズ開始から50周年、時代が変わったことで、スパイの役割もまた変わらざるを得なくなっていることを暗示しているようです。

2012.08.06

迫力の映像と音響に圧倒された「ダークナイト ライジング」

 この夏の話題作「ダークナイト ライジング」を見てきました。この作品はクリストファー・ノーラン監督の「バットマン ビギンズ」「ダークナイト」に続く3部作の完結編です。
 前作から8年後、平和が戻ったゴッサム・シティに再び陰謀の影が忍び寄ります。新たな敵、ベインは核兵器を用いてゴッサム・シティを破壊しようとします。ブルース・ウェインは再びバットマンとなり、彼らと戦いを繰り広げることに...。タイムリミットが迫る中、彼は街を救うことができるのか?


前2作とはかなり映像の雰囲気が違います。"ダーク"なテイストが少ない?
(画像に触れると表示が変化します)

 2時間半以上の長尺作品ですが、それを意識させずに鑑賞できました。映像・音響の迫力に加え、ストーリーがテンポよく進むので飽きることがありません。また、ストーリー上でもどんでん返しや意外性のあるエピローグなど仕掛けも盛りだくさんです。
 一方でこの作品、前2作とはずいぶん映像の雰囲気が異なります。これまでは「夜」を活かした戦闘シーンが多く、「バットマン」のイメージが徹底されていましたが、今作では昼間の戦闘が多くてそこがややスポイルされているような気がするのです。「ダークナイト」はやっぱり昼間現れるべきではないと思いますが...。
 いずれにせよ映像とワクワク感は迫力満点。見て損はありません。

2012.06.13

意外といいかも「シグナル 月曜日のルカ」

 気になっていた作品です。「シグナル 月曜日のルカ」を見に行ってきました。以前読んだ関口尚氏の小説を映画化した作品です。話題は主人公に無名新人を抜擢したこと。これが「快挙」となるか「暴挙」となるかという心配もありましたが、まずは見てみないことには...。
 ストーリーはほぼ原作通り。小学生教師を目指す大学生の恵介は深山市(架空の街)にある古い映画館「銀映館」で高額のアルバイト料に魅かれて働くこと。仕事は映写技師であるルカのサポート。ルカは三年もの間映写室に閉じこもっているとのこと。彼女のつっけんどんな対応にとまどう恵介でしたが、一緒に働くうちに彼女に惹かれて行きます。そこに、ルカに異常に執着を見せる謎の男の存在が見えてきて...。


原作を上手く映像化した印象ですが、ちょっと物足りないところも。

 原作の雰囲気を上手く映像化した印象はあります。それほど違和感を感じることもありませんでした。心配だった主演の女優さんも「ちょっと緊張感が過ぎる?」という印象もありますが、大事な場面では「目力」がしっかりと出ていて今後の活動に期待できそう。また以前にも思ったことですが、高良 健吾はとても器用な俳優です。今作品の「イカれ役」も難なくこなしていました。
 一方、気になった点も少々。尺の都合だとは思いますが、レイジとの決着のつけ方が非常にあっさりしていることに違和感がありました。あれぐらいで終われるのであれば、ここまで彼女に執着しないような気がするんですけど。ラストシーンはちょっと原作とは違っていました。私はどちらかというとルカが困難が取り除かれても一気に進むことができなかった原作の展開の方が好きなのですが、映画の方がより現実味があるかな。
 原作のイメージを壊すことなく見られたのはよかったです。

2012.05.27

さわやか中年物語?「幸せの教室」

 1ヶ月ぶりに見に行った映画はトム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ主演の「幸せの教室」です。これも以前映画を見た際の予告編で気になっていた作品。日曜日、ほのぼのと見るにはいいテーマでしょう。
 スーパーに勤めていたラリー・クラウンは突然リストラの憂き目に遭います。理由は彼が大学を卒業していないというものだったので、彼は一念発起して再就職を目指すべく短期大学に入学します。そこで出会ったのがスピーチの教官であるメルセデス・テイノー。彼女は家庭に問題を抱え、すっかりやる気を失ってしまっていました。様々な人が集まる大学で、戸惑いながらも変わっていくラリー。そんな彼を見て、彼女も徐々に変わっていくのでした。


上品な「人生逆転」ムービーです。前向きになれるかも。

 うん、さわやかで面白かった。ストーリー的には特に大きなひねりもありませんが、展開もスピーディ。ところどころでシャレも効いているし、個性的な人物もいて楽しめます。超大作ばかりではない、ハリウッドの良心的な作品と言えるかも。一方でちょっと残念なのが「主人公が何を学んで変わったのか」が今一つ見えないところで、それが終盤の展開にどうからんできたのかが希薄な点です。もっとも、映像で表現するのはかなり難しいとは思いますが...。
 うん、見に行って良かった。確かに「人生を変える」だけのインパクトがありそう。

2012.04.22

見どころは映像だけだった「バトルシップ」

 日曜日に見に行ったのがユニバーサル映画の100周年記念作品「バトルシップ」。ハリウッド製のSF大作ですが、浅野 忠信が重要な役どころで出演しているのも話題になっています。
 現代、米海軍を中心に日本ほかの各国が参加しているハワイ沖での演習中、未知の物体が着水。調査に向かう艦隊ですが、そこには異質の兵器が彼らを待ち受けていました。異星人との戦いが今、開始される...。


100周年にふさわしい作品だったのかどうかは大いに謎。

 迫力の映像はさすがハリウッド、なんですがストーリーはB級もいいところ。これが100周年記念作品である意味が全く不明ですね。一言で言うとよくある米軍称賛映画としかいいようがありません。20年前ならまだ通用したんでしょうけど、現実には不祥事の続く組織であるだけに、醒めた見方しかできないのは悲しいところ。
 はっきり言ってしまうと「インディペンデンス・ディ」の海戦特化ローカル版です。

2012.04.08

"鉄"の楽しみ方は人好き好き「僕達急行 A列車で行こう」

 久しぶりの映画鑑賞です。作品は以前見た予告編で気になっていた作品「僕達急行 A列車で行こう」です。昨年急逝した森田芳光監督の遺作になりました。今回のテーマは「鉄道」、かくいう私も最近は鉄道旅がずいぶん増えているので、「鉄ちゃん」の入り口ぐらいには立っているのかな...?
 東京のデベロッパーに勤務する小町は、趣味が鉄道に乗りながら好きな音楽を聞くこと。そんな彼が同じく鉄道のメカが好きな児玉と知り合い意気投合。それぞれ出会いと別れを繰り返していくうちに、小町は九州への転勤が決まり、そこで冗談のような出会いが...?


ほのぼの、マイペースに行こう。そんなメッセージが伝わってきましたかね。

 基本はコメディですが、過剰すぎない演出でほのぼの楽しめました。また、画面に登場する列車たちはとても個性的で、風景を眺めるだけでも面白い。メインテーマの鉄道も、乗る、撮る、見る、触れるなど人それぞれですが、色々な楽しみ方があることが再発見できます。私はどちらかというと「乗り鉄」に近いのかな。
 役者さんもなかなか頑張っていて、それぞれマイペースキャラで物語を彩っていました。誰にでもお薦めできるかというと素材が素材だけにちょっと微妙ですが、まぁこういうのもたまにはよろしかろう、かな。

2012.02.17

ハイセンスな映像と緊張感「ドラゴン・タトゥーの女」

 有休が取得できたので、映画「ドラゴン・タトゥーの女」を見てきました。実は昨年末に他の映画を見た際にこの作品の特報が流れたのですが、それが衝撃的で非常に興味をそそられるものでした。原作はスウェーデンの小説で映像化も行われていますが、ハリウッドでのリメイクされたのが今回の映画です。
 雑誌「ミレニアム」の記者であるミカエルは実業家の悪行を暴露しようとしますが、逆に名誉棄損の判決を受けて退職を余儀なくされてしまいます。そこにかつて国の礎を築いたヴァンゲル・グループの元会長、ヘンリックから招待があり、彼は迷いつつもそれを受けます。ヘンリックは40年前に発生した兄弟の孫娘であるハリエットが失踪した事件の解明をミカエルに依頼。謎の女、リスベットの協力を得て調査を進めると、そこには驚愕の真実が...。


映像はハイセンス。最近の作品としては長めですが、時間を感じさせません。

 時間は長めの作品ですが、それを感じさせない展開でした。全編にわたって映像はハイセンス。前半は心地よい緊張感に包まれて進行していきます。終盤の展開は今一つあっけなさすぎなような気もしますし、エピローグはちょっと冗長な印象を受けましたが、久しぶりにミステリー世界にどっぷり浸れました。
 原作の3部作をすべて映像化するようなので、続編も楽しみです。

2012.02.12

誰も傷つかない不思議な詐欺?「ロボジー」

 インターネット上の映画の予告編を見ていて興味を持った作品が「ロボジー」。これを観てきました。
 電器会社のワンマン社長が壁際族の社員3人に命じたのは2足歩行ロボットの開発。これをロボット展に展示して広告塔にしようという思惑です。ところが肝心のロボット「ニュー潮風」は開発中のはずみ(?)で大破。3人はこの窮地を脱するため、ロボットの中に人間を入れるという暴挙に出ます。ロボットに入ることになった73歳の老人は、やがて暴走を始めてしまい、ロボットマニアの女子大生を巻き込んで大騒動が沸き起こる...というお話。


大笑いするというよりは、クスリと笑える仕掛けが満載という感じ。

 面白い作品でした。「そりゃあないだろう!」という突っ込み満載ではありますが、夢、家族、再起といったテーマが見えるたびにはっとさせられました。コメディですけど大笑いするというよりは、クスリと笑える仕掛けが満載という感じ。また、凄かったのはヒロイン役の吉高由里子。ちょっとイカレ気味の女子大生を怪演(?)していました。一体最後はどう終わるのかと思いましたが、あれれ?の結末にちょっぴり安心した次第です。
 派手さはありませんが、 よく考えられた佳作だと思いました。

2012.01.14

結構がんばった感のある「ワイルド7」

 これも年末に見たいと思っていたのに見逃していた作品です。瑛太主演のアクション邦画「ワイルド7」。元々は望月三起也の漫画作品だったものの実写映画化作品ですが、やっぱりバイクが出るアクションものは楽しみです。余談になりますが望月三起也といえば「秘密探偵JA」も面白かったな…。
 警察も手を焼く犯罪を秘密裏に処理する謎の集団「ワイルド7」。専用のバイクを駆る超法規的な存在の彼らは、迷うことなく秘密指令により悪人を闇に葬ります。彼らの正体は元犯罪者の警官で、それぞれに辛い過去を持つ者たちでした。やがて巨悪の存在が判明し、彼らはそれぞれ大切なものを守るために戦いへと赴くことに。


いかんせん「7」を活かすには尺が足りなさすぎたか...?

 日本映画のアクション作品としてはなかなか頑張っていると思いますね。バイクアクションはカメラワークも含めて迫力がありました。ただしバイクを活かした演出が時間的に少なかったのは個人的には残念。派手な銃撃戦は日本という舞台を考えるとちょっとやりすぎかも。
 一方、キャスト的には私が見る限りミスマッチ多数。いくら悪ぶって見せても「育ちの良さは隠せない」という印象です。もうちょっと陰の部分を色濃く出せる俳優を持ってくるべきだったかな、と思えました。

2012.01.08

描写半分?「連合艦隊司令長官 山本五十六」

 続けて2本目は日本映画、「連合艦隊司令長官 山本五十六」です。昨年末に劇場で流されていた予告編を見て、久しぶりに邦画の大作感を味わえそうだということで、鑑賞を心待ちにしていました。
 昭和11年、海軍次官に就任していた山本は、日独伊三国同盟に強硬に反対していました。しかし、その主張は当を得たものであるにも関わらず、大方の雰囲気は同盟へと向かっていったのです。そんな中、昭和14年には連合艦隊司令長官に任ぜられ、アメリカとの開戦を回避しようとした男が皮肉にも米軍の正面に立つことになったのです。そして、運命の昭和16年を迎えることに。如何なる作戦をもって彼は戦いに臨むのか?


なんだかすごく中途半端な印象、人物を描きたいのか、それとも歴史を描きたいのかはっきりしません。

 うーん、頑張って作ったのもわかるのですが、映画としてはちょっと中途半端な印象を受けました。人物を描きたいのか、それとも単に歴史を描きたいのか、はたまた「過ち」を振り返ろうとするメッセージなのか。結果的にどれも貫き通せていないような印象なのです。特に山本五十六の人物描写は表半分という印象で、阿川弘之著「山本五十六」を読んでいる私にはかなり物足りなかったと言わざるを得ません。
 一方で、邦画で空母機動部隊の活躍を初めて本格的に描くなど、見どころもあったのが救いでした。

2012.01.08

好バランス「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」

 今年最初の映画はトム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」シリーズ最新作、「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」を選びました。
 ロシア刑務所にいたIMFエージェントのイーサン・ハントは脱獄作戦からの帰還後、クレムリンへの潜入を命ぜられます。新たなチームとともに任務に入る彼でしたが、作戦は失敗した上にクレムリン爆破のテロ実行という濡れ衣を着せられてしまうことに。脱出したイーサンとそのチームは、孤立無援の中テロリストから世界を守るためドバイへと向かうのでした。


今作では派手なアクションは比較的抑えられ、スパイものという雰囲気が濃くなっています。
(画像に触れると表示が変化します)

 アメリカではシリーズ最高傑作との評価も高いそうですが、なるほどの仕上がりでした。これまで通りアクションもあるのですが、スパイもののスリリングな緊張感が全編に流れているので、これまでのような「派手なだけ」がちょっと修正されているのがいいです。終盤はちょっと盛り上がりには欠けた感もありますが、そこからエピローグへの展開は意外でした。新しいメンバーも加わったこともあり、次回作への期待が盛り上がります。