2007.12.25-12.26

かにぃ~♪

 半年ぶりに出張で京都府京丹後市に行ってきました。埼玉から列車を乗り継いで片道なんと6時間。やっぱり遠いですね。ただし、25日の夕食は嬉しい蟹三昧。刺し身から始まり蟹味噌に焼き物、蟹酒。とどめは蟹のアラで取った味噌汁と蟹飯のコンビネーション。あ~生きてて良かった(笑)。
 さて、翌日は夕方まで打ち合わせをして戻ってきたのですが、実をいうと実質的にほとんど出番はなかったような...。一体何しに行ったんだか。こんなことで本当にいいのか!?

2007.12.16-12.17

ラーメン屋をハシゴする!in 札幌

 私は出張時は航空会社を決め打ちし、クレジットカードで得られるポイントをマイレージに移行させてマイル数を稼いでいます。その甲斐あって向こう2年間は特典航空券を得られる状況なのですが、今年で期限切れとなるマイルがちょうど1回分ありました。ギフト券や記念品交換ではもったいないので、年の瀬も迫ってきたところですが使うことにしました。
 行先は札幌に決定。以前に同じチームで仕事をした仲間に札幌出身の人がいたので、美味しいラーメン屋をリストアップしてもらっていました。まさに、それを活かすチャンスというわけです。
 日曜日の羽田10:00発ANA59便でテイクオフ。乗った機体はB747-481D、やっぱり普段乗れない機体に乗りたいので、この路線を選んだというのもあります。サテライトに着いて驚いたのは機体が特別塗装機「お花ジャンボ」だったこと。あまりにも派手です...。あ、そういえば搭乗記念のポストカードをもらいました。欲しい人は連絡ください。


「お花ジャンボ」派手な塗装に度肝を抜かれました。

 さて、この日の関東地方はまさに快晴。離陸してすぐ、右手には成田空港や霞ヶ浦がはっきり見えていました。普段乗ることが多いB767に比べてB747は胴体が太く、客室に解放感があるせいかゆったり感じます。いつも通り、旅のお伴の小説をのんびりと読みながらやたら薄い珈琲をすするのが定番。でも、なんで飛行機の飲み物サービスの珈琲はあんなに水っぽいのだろう...?
 東北地方は厚い雲に覆われていましたが、約1時間後には雲が切れてきました。そこから見えたのは雪に覆われた青森県三沢市。いよいよ雪景色になってきました。私は南国生まれで雪には慣れていないので、未だに雪を見ると年甲斐もなく興奮するのです(苦笑)。


左は霞ヶ浦。右は青森県三沢市上空、いよいよ雪景色が見えてきた!

 飛行機は定刻通り新千歳空港に到着しました。空港からはJRの快速列車で札幌まで約40分の道のりです。15分に1本出ているので、アクセスは比較的いいでしょう。事前の天気予報では雪だったのですが、札幌に近づくと太陽が出ていて、車窓からはキラキラと輝く雪が眩しいぐらいでした。12:30前についに札幌に到着。気温は0℃前後でちょっと寒かったけど、凍えるほどではない。一番驚いたのが雪の質。噂に違わぬパウダー・スノー、雪があんなにふんわりしているなんて!
 さぁ、いよいよラーメン屋巡りのスタートです。


ついに到着、27年ぶりに訪れた札幌。右は駅前の様子。

 まずは地下鉄・市電で使える1日乗車券(¥1,000)を購入し、地下鉄南北線ですすきの駅に向かいました。最初のターゲットは「らーめん山桜桃(ゆすら) すすきの店」です。こちらで頂いたメニューは「とんこつ」。麺はちぢれ系でコシは少ないものの、スープがよくからんで美味しい。スープは濃すぎない程度の塩味で、一見むつこそうですが意外にあっさり感じました。ネギがシャキシャキ感を演出し、チャーシューは味もよく染みて、とろけるような食感でした。私はこういうの好きです。


らーめん山桃桜 すすきの店、とんこつラーメン¥700。

 1軒目を食べ終わって、時間はまだ13:30すぎ。さすがに連続で食べるときついので、ちょっとインターバルをおくことにしました。せっかく1日乗車券を買ったので、市電に乗ってぐるりと路線を一周。途中、藻岩山ロープウェー入り口という停留所があったので、時間潰しに降りて向かってみることにしました。
 停留所から約10分歩いたところに駅があり、そこからロープウェーに約5分乗ると山頂近くに到着。そこから雪上バス「もーりす号」でさらに山を登ったところに展望台がありました。そこからの眺めはすばらしかった。確かに本州とはスケール感が違います。夜景はかなり美しいことでしょう。


藻岩山から見た札幌市街。広いですねー。


こちらは中心市街地のUP。これからどんどんラーメン屋を回りますよ。

 藻岩山を降り、再び市電に乗って2軒目のラーメン屋に向かいました。16:00に着いたのが「らーめん てつや 南7条店」、こちらの売りは「みそ」。麺はちぢれた鮮やかな黄色でコシがあり、食べ応えあり。スープは濃厚で麺によく絡みましたが、少しパンチが効きすぎ? 私には少しむつこすぎ、どちらかというと若者向けかもしれません。チャーシューはちょっと味わいが弱い印象でした。ボリュームはたっぷりです。


らーめん てつや 南7条店、味噌ラーメン¥730。

 2軒目から約10分歩いたところに、目指す3軒目はありました。次の店は「らーめん 五丈原」です。ここで食べたのは「とんしお」。麺はコシのあるストレートだけに、ちょっとスープがなじみにくい。スープは見た目は濃そうでしたが、すすってみてびっくり。あっさりした味で、後味も悪くない。チャーシューも口に含んだだけで味がふわっと広がる、まさに絶品です。全体としては少し塩味が強いかなという気もしますが、ここはなかなか美味しかった。量は普通ですが、今回訪れた中では一押し。


らーめん 五丈原 本店、とんしお¥650。

 4軒目を目指して、再び市電に乗りすすきのまで戻ってきました。ところがここで計画ミスが発覚。行こうと思っていた店は何と日曜が定休日だったのです。私好みの白醤油ラーメンが売りだっただけに、非常に残念です。仕方がないので、観光名所を巡りつつ宿に向かっていくことにしました。


すすきのまで戻ってきました。賑やかな街です。

 すすきのから地下鉄で一駅戻ったところが、大通公園です。この日はちょうどホワイト・イルミネーションをやっていました。後方のテレビ塔も電飾に彩られてとても綺麗でした。一人で来たのがもったいなく感じるぐらい。雪に覆われていることもあって、東京や大阪のように人が歩き続けるような雰囲気ではないので、リラックスしてイルミネーションを楽しめるのがいいところです。
 しばらくぶらぶらしていると、エレクトーンのオープン・コンサートが始まりました。始まりの曲が私の好きなT-SQUAREのフュージョン・ナンバー「EL MIRAGE」だったこともあって、時間を忘れて鑑賞しました。後ろにあるクリスマス・ツリーとエレクトーンがリンクしていて、音と光の共演が目新しかった。ちょっと寒かったけれど、いい思い出になりました。


ライトアップされた大通公園、一人ではちょっと寂しい?


オープン・コンサート。生演奏はやっぱりいいですね。

 光と音の共演を見終わった後、近くにある名所を訪れてみました。定番中の定番、時計台と赤レンガです。さすがに夜とあって人通りもまばらでしたが、静かな名所というのもまた味わい深い。宿は赤レンガと時計台の間の区画にあるという絶好のロケーションなので、明日ラーメン屋に向かう前にもう一回来てみよう。


時計台と赤レンガ。暗いのであまりよく見えないですね。

 その後、さっぽろ駅まで足を伸ばしてみたのですが、結局食べてみたいと思うラーメン店を見つけられず、そのまま宿にチェックインしました。実際に訪れると移転した店や、閉店していた店、定休日で訪問できない店などがいくつか出てきただけに、もらったガイド本を見ながら計画の修正...なんか仕事みたいになってる(苦笑)。

 翌朝は9:15に宿を出て、再び赤レンガと時計台に向かいました。この日も非常にいい天気。建物の赤と白が背景のブルーから浮き出ていますね。やっぱりこのころの建物というのは、非常に絵になります。
 さて、最初のラーメン屋が開くのが10:00なので、喫茶店でしばし時間を潰して計画を再度おさらい。地図を確認してロスなく訪れられるように準備をしました。


朝日に浮かび上がる名所旧跡。定番ながらも外せない。

 4軒目は駅前通りにある「味の時計台 駅前通り店」、10:00から開いてくれるのが嬉しい。ここはチェーン店で、東京にも店はあるそうですが、やはり本場で食べたほうが気分も出るというものです。ここでは「味噌ラーメン」を注文。麺はコシがあり、ストレートとちぢれの中間ぐらいでしょうか。スープは上品な甘みがあり、口当たりもまろやか。チャーシューはとろけるものの、あんまり入ってなかったのが残念。ただし、モヤシやキャベツ、ネギなど野菜が充実していたのが嬉しい。これはなかなか食べやすくて好印象でした。今度東京でも食べに行ってみるかな。


味の時計台 駅前通り店、味噌ラーメン¥682。

 次なる5軒目は地下鉄南北線を使ってすすきの駅から約10分、郊外の澄川駅近くにある「さっぽろ純連」です。ここの一押しも「みそ」です。麺はコシの強いちぢれで、歯応えあり。スープはかなりのこってり系でした。濃厚でドロドロ、私には脂っこすぎるように思いました。その一方でチャーシューは最高、厚切りで噛めば噛むほど味が出る逸品でした。量は普通でしたが、これは完全にこってり好きの人向けですね。


さっぽろ純連、味噌ラーメン¥750。

 6軒目はすすきのの西にある新二条市場の中にある「だるま軒」です。こちらは60年前の創業当時からの味を守っているという評判のお店。ここの自慢の一品は「醤油ラーメン」。見た目の通りベーシックでトラディショナルなラーメンでした。ちょっと「昔ながらの中華そば」に似ているかな。麺は細くてあっさりした印象、スープは薄すぎず濃すぎず、さっぱり系の味わい。チャーシューも薄いながらも味がよく染みていて美味しかった。こういうラーメンは食べていてほっとしちゃいます。味噌が2軒続いたので救われました(笑)。


だるま軒、醤油ラーメン¥550。

 この時点で13:00。夕方16:00に札幌駅を出発すれば良いので、インターバルを考慮するとあと1軒は行けそうです。その前にまずお腹を減らさなきゃということで、札幌駅の地下街を歩き回ってお土産を物色。職場にスタンダード+キワモノ土産をまずは購入。バイクの修理でお世話になった人向けにも買うと、荷物が膨れ上がってしまい...。
 そんなこんなで15:00になったので、最後となる7軒目に向かいました。札幌駅の隣、商業施設エスタの10Fにあるラーメン共和国の中にある「味噌ラーメン専門店 けやき エスタ店」です。本当は本店に行きたかったのですが、場所がわからず断念。さて、最後の一杯はやはり「味噌ラーメン」。スープは濃い目でやや辛い系。麺はコシのある太麺で歯応えがありました。また、ネギのシャキシャキ感が心地よいのですが、これが余計に辛さを印象づけている感があります。しかし、見た目の彩りは一番、量もかなり多めでした(最後は正直苦しかった...)。


味噌ラーメン専門店 けやき エスタ店、味噌ラーメン¥800。

 というわけで、ラーメン屋ハシゴツアーは終了。もうお腹いっぱい、しばらく麺類は食べなくてもいいです(笑)。15:55札幌駅発の快速で新千歳空港に向かい、チェックイン。17:30発の羽田行きANA72便で帰途につきました。帰りの機体も予定通りB747-481Dでした。東京湾の夜景がすごく美しかった。この季節が一番上空から見える夜景がキレイですね。定刻よりやや遅れて19:20ごろスポットに入りました。


帰りもB747-481D。スタンダード塗装です。

 羽田からは電車を乗り継いで21:00前に自宅に到着しました。かけ足の旅ではありましたが、日常生活からの脱出という意味ではなかなか面白い体験でした。でも、手段のために目的を無理やり作るっていうのは技術屋としては失格かも。今回のは自分でも「いい大人のやることか?」という気もちょっぴりあるものの、学生時代に遊べなかった反動と思えば納得できなくもない...のか?
 さて、帰りの飛行機の中で思ったこと。「来年は福岡でとんこつ三昧!」。ごちそうさまでした。

2007.11.03

冷やして温める。'07 Last Touring

 そろそろ限界です。朝も冷え込みが厳しくなってきていていること、日没が非常に早くなってきている=行動時間が短くなったこともあり、今年のツーリングもそろそろ終わりになりそうです。
 ただ、その時間の範囲でもまだ行けるところはあります。Webで情報収集してみると、面白いネタを発見しました。長野県小諸市の高峰高原に向けて駆け上がる「チェリーパークライン」が、再舗装されたという情報です。これまでは路面が荒れていたそうですが、それが直ったところで道は超タイトなワインディングとのこと。これは行っておくべきでしょう、後々のためにも。
 ところが、前日の出張帰りですっかり寝過ごし出発は何と7:30、いつもより相当遅くなりました。まぁ今回は目的地が近場だから何とかなるか...。


短いながらも"楽しい旅"を目指しました。

 ...と世の中それほど甘くなかった。この日は土曜日とはいえ祭日、関越道・所沢ICで見た情報では「所沢〜高坂SA 渋滞25km」。いきなりげんなりです。ただし身動きとれなくなるほどではなかったので、流れに乗ってまったりと走行しているうちに渋滞からは出られました。高坂からは110km/h前後のスピードで北上。藤岡JCTから上信越道に入り、いつもと同じで松井田妙義ICで高速を降りました。それでも時間は9:30前、いつもの早い時間帯なら1時間ほどの道のりなのですが、相当時間がかかってしまいました。


高速出口。妙義山もすっかり色褪せたよう。

 横川からはR18で、軽井沢方面に向かいました。本当は碓氷バイパスを走ろうと思っていたのですが、工事予告があって車線規制がかかっているよう。クルマの後ろにひっついて坂を登るのは面白くないので、予定を変更して旧道で軽井沢に出ることにしました。旧道は残念ながら路面状態が劣悪で、車体がかなりハネるのでスピードも上げられません。落ち葉も出てきているので、無理せずラインを確実にトレース。碓氷峠を越えると軽井沢です。
 軽井沢の外れで給油をした後、R18で小諸に向け走行。それほどクルマも多くなく、順調に流せました。小諸市街地から今度は北に上がり、この日の主目的、チェリーパークラインに入ります。チェリーパークラインは全長約15kmですが、その高低差は1,000m以上。このため、行きはかなり急勾配の登り坂でした。それだけに、少し走っただけで下のような景色が見られます。天気も良くなって嬉しい。空気もおいしい。


登りは爽快ワインディング。眺めもいい。

 チェリーパークラインはカーブ半径が非常に小さく、まさにVTR1000Fのトルクを活かすにはうってつけの道でした。ただし季節が季節なだけに、杉の枯れ葉が舞い散る中を走るため、突っ込みすぎるとちょっと怖いことになります。また、最大の敵は四輪車。交通量が意外に多く、前走車を抜いても抜いても現れる。もう最後の方は抜くのを諦めてまったり走行に切り替えました。
 頂上には何もないので、すぐに折り返しました。山はもうすっかりオレンジ色です。チェリーパークラインに入る直前の軽井沢で気温は7℃ぐらいだったので、時間+標高を考慮するとおそらく同じぐらいでしょう。日陰ではかなり肌寒く感じました。


山はすっかりオレンジ色に秋化粧。


実はかなりタイトな道です。この範囲でヘアピン2つ!?

 チェリーパークラインを走行して、身体がすっかり冷えてしまったので、少し暖まることにしました。これもWebで調べたのですが、この近くに絶景の温泉施設があるそうです。「あぐりの湯こもろ」というところですが、千曲川の南側にある山の斜面にあって、非常に景色が良いとのこと。案内が出ていなかったので多少迷いましたが、なんとか施設を発見しました。下の写真にある通り、すごくいいロケーションです。上田方面から浅間山まで、180°の大パノラマでした。


「あぐりの湯こもろ」の全景。小諸市街地を一望できます。


駐車場から。一番右の冠雪しているのが浅間山。

 入浴料は500円でリーズナブル。中もまずまず広くて、嬉しいことに露天風呂までありました。外気温は10℃切っている中で露天風呂に浸かると、顔は涼しいのに身体はポカポカで非常に気持ちよかった。しかも、正面には浅間山の雄大な姿が広がっていました。私にしては珍しく、30分以上景色を楽しみながらのんびり入浴を楽しめました。走るだけではなく、こんなツーリングもたまにはいいかな。
 さて、風呂の後は今度は昼食タイムです。このあたりでの昼食はやっぱり「峠の釜めし」でしょう。R18で少し戻り、R141で佐久IC前にある「おぎのや」に到着。食べ過ぎると眠くなるので、これぐらいの量がちょうどいいのかも。ごちそうさまでした。


ワンパターンと言わないで。好きなんですから。

 この時点でまだ13:00過ぎだったので、高速を2区間分ケチることにしました。コスモス街道R254で内山峠を越えて群馬県へ。遅い車に前を遮られたので快適にはほど遠い状態でしたが、流れに乗って下仁田まで走行。下仁田ICからは上信越道に入り、再び来た道を戻っていきました。関越道・所沢ICの前にある三芳PAで最後の休憩。実はこの時点でまだ15:30なのですが、太陽はすっかり西に傾いてます。やっぱり、そろそろツーリングに出かけるのも限界のようです。


短いながらも旅気分でした。今年はこれで終わり...かな。

 本日の走行、363.7km(うち一般道161km)。ワインディングと温泉とご当地昼食。短いながらも必要な旅要素が詰まったツーリングでした。


地図で見てもたいして走ってないな...。

2007.11.01-11.02

熊本出張

 木曜日の前日移動で、熊本に出張してきました。2週間前に行ったばかりなのですが、九州まで行くにはやっぱり飛行機は楽ですね。機体も777-200で座席もゆったりしていて、疲れも最小限で済みました。帰りはいつもの19:00便。これだと最寄りの私鉄駅までのバスに乗れるのがありがたい。でも、家に着くのはどうしても22:30を回ります。移動疲れが残りそうです。

2007.10.13-10.20

'07 Final Odyssey、九州&四国・絶景ロード巡りの旅

 今年もなのですが、有休がたまってました。ここにきてようやく仕事が一息つけたので、意を決して3年ぶりに連続有休を取得。幸い、天気予報でも向こう一週間は日本全国安定傾向。だとすると、遠距離ツーリングに出かけるには千載一隅のチャンスということです。二週間ほど前から計画を練り始めて、ターゲットを南九州に設定しました。九州であればそれほど冷え込みもないでしょうし、名道と呼ばれるところも多い。首都圏からはそう易々と行けるところではないので、名道を網羅しつつ最も効率のよいルートを選ぼうと、知恵を絞りました。
 首都圏から九州へのアプローチとしては有明発の北九州行きフェリーがありますが、実質丸一日つぶれてしまうのがもったいないし、却って疲れもたまってしまう恐れがあります。そこで大阪から鹿児島県志布志に上がるフェリーを使うことにしました。夕方出港、翌朝到着なので時間に無駄がないのが良いですね。土曜日朝に自宅を出れば、効率良く南九州に上陸することが可能です。
 初日(13日土曜日)、早朝5:00に自宅を出発しました。この季節になると、下の写真のようにまだ真っ暗です。この旅のために新調した容量の大きいシートバッグとコンパクトなタンクバッグを積んで、我がVTR1000Fはご覧のようにフル装備。これも新調した3シーズンジャケットに身を包んで、いよいよ出発です。


フル装備のVTR1000F。いざ、まだ未踏の西の地へ。

 R254川越街道から、環八を使って都内を南下、東名高速・東京ICを目指しました。一ヶ月前と同じくこの日も早朝なので渋滞はなく、順調に走行できました。ようやく6:00ごろになって空が明るくなってきましたが、この日は少し曇り気味、気温もやや低めで肌寒いぐらいでした。また、今回シートバッグを使うのは初めてなので、止まるたびに固定状況をチェック。念を入れて6箇所で固定していますが、もたれてもびくともしません。これなら大丈夫かな。


ここから環八に合流、ようやく空が明るくなってきました。

 6:00ちょうどに東京ICから東名高速に入線しました。いよいよ本格的な旅の始まりです。やはり荷物の固定が気になるので、横浜町田ICまでは少し控えめの速度で走行。多摩川の上では普段よりも横風の影響を強く感じました。やはりシートバッグの積載で側面の投影面積は大きく変化しているため、走行安定性はちょっと落ちてます。横風のあるところでは慎重に運転しないといけないようです。
 さて、今回走行するルートは、東名高速から伊勢湾岸道を経由して東名阪道〜名阪国道〜西名阪道を進み、大阪までが1日目の行程になります。ほとんどが高速なので、走りとしてはちょっと物足りない1日になりそうですが、交通量の多い道だけに緊張が続きます。


東京本線料金所を通過。目指すは大阪。

 本来、バイクの走行では1時間毎に休憩するのがセオリーです。そうすると、本当は海老名SAあたりで休憩すべきところ。しかしこの日は週末なので、厚木より手前でぐずぐずしていると行楽に向かう車の渋滞が始まってしまう恐れがあります。よって、御殿場の山越え区間を過ぎた足柄まで一気に走行することにしました。7:00前には目指す足柄SAに到着、ほぼ予想通りのいいペースです。


足柄SAにて。今日は雨ではないのでちょっと気楽。

 足柄SAを出たところでは、ちょっと前まで雨が降っていたようで路面が湿っていました。足柄で見た案内でも、静岡県内で所々雨の表示が出ていたのが気になるところ。でも幸いなことに、雨には遭いませんでした。途中で一ヶ月前もストップした由比PAで今日も停車して振り返ってみましたが、やっぱり富士山も今日は雲の中、景色は全く楽しめませんでした。このあたりは、もう本当に淡々と走るだけでした。


由比ヶ浜から関東方面を振り返ってみました。何も見えません。

 8:00過ぎには牧ノ原SAに到着。ここまで200kmちょっとなので、最初の給油ポイントです。ここまで来ればもう(事故などの突発事象以外の)渋滞の恐れは少ないので、多少ゆっくりしても大丈夫です。そこで、バイクだけでなく人間も朝食を摂ることにしました。やはり気温が低くなっているのか、暖かいお茶がとっても美味しく感じられます。燃費の方もステディに走行したおかげか、いつもより少しだけ伸びているみたい。


200km走行終了、朝食タイム!です。

 牧ノ原SAを過ぎ、30分ほどで浜松を通過しました。予定では浜名湖SAで休憩するつもりでしたが、牧ノ原から意外に距離がなかったのでそのままスルー。一気に伊勢湾岸道のPAまで駆け抜けるように予定を変えました。ところが意外に距離があって、結局は休憩のインターバルが1時間半まで伸び切ってしまいました。全然セオリーを守れてないですねぇ...。
 愛知県に入り、豊田JCTからは伊勢湾岸道に乗りました。伊勢湾岸道は片側3車線でほぼ全線が高架を走るので、眺めも非常に良くて走りやすい道でした。刈谷PAではBMW軍団に遭遇。この日はたくさんバイクも出ていたようです。


刈谷SAにて。今日はバイクもたくさん出てました。

 刈谷を出ると、すぐに正面に大きな3つの斜張橋が見えてきました。これらの橋はまとめて「名港トリトン」と呼ばれているところで、この日唯一の見どころと言っていいでしょう。橋は名古屋港をまたいでいて、一番高いところからは港のみならず市街地まで見渡せました。
 名港トリトンを渡り終えると、正面に四日市のコンビナートが見えてきます。伊勢湾岸道は東名方面からアプローチした場合、名古屋をショートカットする形になっているので距離も短く走りやすい。やがて道は東名阪道に合流し、四日市からは亀山に向かって南下する形になります。亀山からは名阪国道で大阪を目指して再び西に転じました。
 途中、「道の駅 伊賀」で休憩、さらにその先で2回目の給油をしました。あとはただひたすら淡々と進むのみ。名阪国道は60km/hの一般道ですけど、実際の流れはもっと速い。思っていた以上の速さで関西圏に進出できました。天理市に降りる坂の頂上部にある高峰SAで休憩し、地図を再確認。時間はちょうど12:00で、自宅からちょうど7時間です。高峰からは眼下に大和平野を望むことができました。


高峰SAにて。いよいよ関西圏に入ってきました。

 坂を下りきったところにある天理ICからは西名阪道に乗り、大阪府堺市を目指しました。堺には私の妹(嫁入り済み)が住んでいるのです。伊賀からTELを入れると今日は在宅しているとのことだったので、彼女の家に寄って行くことにしました。もう半年ほど会ってもいないことですし、これまでかなり予定を上回るペースで来れているので時間調整もできる。私にとっても渡りに船です。


西名阪道に入りました。ここまで来れば、船の時間には十分間に合う。

 妹の家には車で行ったこともあるのですが、それはなにせ8年前。降りるICを間違えたり(一方向のみ降りられるハーフICであることに気づかなかった)、目印となる最寄りの私鉄駅がなかなか見つからなくて北に南に迷走してしまいました。結局40分ぐらい無駄に走っちゃったのかな。それでもかすかな記憶を頼りになんとか家を探し当てました。
 妹の家でお茶をご馳走になり、1時間半ほどまったりさせてもらいました。ありがたや、ありがたや。


特別出演、私の妹です。実は彼女も(ペーパーながら)ライダー。

 船の予約時に16:30までに来てくださいと言われていたので、15:00に妹の家を出て、泉北有料道路と阪神高速4号湾岸線経由で今日の最終目的地、大阪南港かもめフェリーターミナルに向かいました。道は妹が説明してくれたおかげで迷わず到達。所要時間も聞いていた通りでした。
 乗船手続を済ませ、いよいよ船内へ。この瞬間は緊張もしますけど、わくわくします。この日乗船したのは「ダイヤモンドフェリー」所属の「さんふらわあ さつま」。春に乗った東京〜徳島のフェリーよりも一回り大きく、設備も豪華なのが嬉しいところです。


これが乗船する「さんふらわあ さつま」


バイクはこうやって積まれるのです。

 フェリーは18:00に鹿児島県・志布志港に向け出港しました。船が大きいせいか、エンジンの振動も少なく感じられるのが嬉しい。今回は旅のスタートということもあって、リーズナブルながらもゆっくり休める2等寝台を選びました。オフシーズンなので乗客も少なく、6人部屋を一人で占拠。これなら周囲を気にせずのんびりできます。
 食事は展望レストランでバイキング。関西空港や明石海峡大橋の夜景を窓から見ながら、優雅なひとときです。ただ、話し相手がいればもっと楽しいんだけれども...。


いよいよ出港! 明朝は九州上陸です。


占拠した2等寝台部屋。食事も豪華。あれ? ダイエット中じゃなかったっけ!?

 1日目の走行、575.5km(うち一般道149.6km)でした。

 2日目(14日日曜日)は朝6:00に目覚めました。普段5:00起きの私にとってはちょっと遅めではありますが、外に出てみるとそこはまだ大海原。しばらくデッキで潮風にあたり、眼をしっかりと覚ましました。
 7:30にレストランが開いたので、すぐに朝食を済ませました。朝食もバイキング形式で、和食をチョイスしてしっかりと腹ごしらえ。朝をしっかり食べておけば、多少昼食が遅くなっても充分耐えられます。


見渡す限り大海原。でも右舷に九州が見えてきました。

 フェリーは定刻通り9:40に鹿児島県志布志港に着岸しました。しかし、下船は大型トラックからということで、結局船を降りられたのは10:00をまわっていました。いきなり初期の計画から遅れてしまっていますが、今日は行動にかなり余裕があるので気にしない。焦りは常に悪い結果しか生みませんから。志布志からはR220で西へ、まずは錦江湾の東岸にある鹿屋を目指します。


九州に上陸しました! 行くぞ鹿児島路。

 R220はよく整備されて走りやすい道でしたが、何分にも大型トラックが多く、かなり遅いペースで引っ張られてしまいました。しかし、鹿屋郊外では片側2車線のバイパスがあり、そこで遅い車や大型トラックをまとめてかわしてからは快調に走行。志布志を出てから約45分、峠を越えると目の前に錦江(鹿児島)湾が広がりました。ここからは海を横目に北上することになります。


錦江湾が広がります。ここから桜島に向かってGO。

 ところで新しいシートバッグですが、嬉しいことにペットボトルを差しておけるポケットがついています。これまで休憩で水分を摂ろうとすると、350mlのペットボトルを一本飲み干さねばなりませんでした。体調によっては350mlをすべて飲み干すのが嫌な時もあるので、このポケットはありがたい。これで500mlを買って、停まるごとに少しずつ飲むことができるようになりました。


意外に嬉しい装備です。ただし暑い時はダメ。ホットと化します。

 R220を北上すると、やがて正面に桜島の雄大な姿が見えてきます。垂水でR224に乗り換え、西に進むと桜島の南側裾野の溶岩地帯に差しかかりました。このあたりは溶岩道路と呼ばれているそうで、断崖絶壁あり、タイトコーナーあり、アップダウンありで、道は少し狭いものの非常に面白い。ただし交通量は多いので、走りが楽しめるかというとそうでもないです。


溶岩の向こうに、桜島の巨大な姿。

 さて、本日の第一の見どころ(走りどころ?)は桜島展望道路です。鹿児島に渡るフェリーの乗り場を過ぎて、少し東に回り込んだところに北側の入口がありました。入口からはタイトコーナー続き、勾配の大きなワインディング路で一気に高度を上げていきます。ただ、それも数分のこと。到達した道の最高地点近くには湯ノ平展望台があり、そこからはすばらしい景色を見ることができました。背後には桜島の険しい地形、そして海を挟んだ対岸には鹿児島市街地が見えていました。


湯ノ平展望台駐車場から見た桜島。この角度からは険しい姿です。


こちらは鹿児島市街地。活火山のすぐ近くに、こんな大きな街があるなんて。

 さて肝心の道路は確かに良い道で、名道の一つに数えられるだけのことはあります。ただ、今回失敗したのは回った方向が今一つだったこと。反時計回りの方が登りの距離が長く、走りも楽しめたはず。この日の走り方では下りで鹿児島市街地はよく見えましたが、思えばやっぱり逆回りの方が良かったなぁ。路面もスムーズで走りやすいですが、思ったよりも距離が短かったというのが少しマイナスです。


なるほど景色は良いですが、距離が短いのがマイナス。

 桜島展望道路から再びフェリー乗り場に出てきました。フェリーに乗る前に「道の駅 桜島」に寄って、ちょっとした土産物を購入しました。もうお土産?という感じですが、私のツーリングではルートは一期一会なので、チャンスは一度きり。買いたいと思ったものは買っておくというのがポリシー。ここで買ったお土産は出発前に仕事をお願いしてきた女性スタッフへのお礼です。喜んでもらえるといいな。
 さて、これから乗る「桜島フェリー」は鹿児島と桜島を15分で結んでいます。昼間には10分おきに出発しているので予約も不要。まさに地元の人にとっては日常の足というわけですね。高速の料金所のようなゲートで運賃を支払い、前に進むとすぐに岸壁に到着。バイクは一番前に誘導されました。どうでもいいですけど、先頭っていい気分です。


ゲートをくぐると、いきなり船乗り場。車の最前列に誘導されました。


いよいよ出港、15分の船旅です。

 船はお茶を一杯飲んでいるうちに、すぐに鹿児島港に着いてしまいました。着岸と同時にいの一番で船から飛び出し、鹿児島市内に入りました。
 特に市内で見るべきものも思いつかなかったので、そのまま南下してこの日二つ目の走りどころ、指宿スカイラインに向かうことにしました。途中にあったGSで3回目の給油を行った後、谷山ICから指宿スカイラインに入りました。指宿スカイラインは薩摩半島の尾根を伝って南に向かう道。尾根を沿って走るだけに展望がよく、鹿児島湾もよく見えました。路面状態も良くて、距離の割に料金も安いので格好のツーリングルートです。


指宿スカイラインから、鹿児島市街地を見る。良い景色です。


指宿スカイラインは、こんな道でした。ひたすら尾根沿いに南下します。

 指宿スカイラインは全線で約40km。ほとんど車に前を塞がれることなく、楽に走行できました。カーブも高速コーナーばかりなので、思ったよりも速く走り切れました。
 最後の料金所、頴娃(えい)を過ぎたところにあった千貫平自然高原という場所の展望台に寄ってみたところ、遠くに開聞岳の姿を発見しました。さすがに薩摩富士と称されるだけあって、美しいシルエットです。この時点で時間も相当早かったので、開聞岳まで足を伸ばすことにしました。


開聞岳の姿を発見! 行ってみる決心をしました。

 さらにしばらく走ると、カルデラ湖である池田湖(イッシーなる巨大生物がいるとか)に出てきました。この湖を反時計回りに回り、目指す開聞岳にアプローチ。遠くからではうっすらとしか見えていませんでしたが、近づくにつれてその稜線ははっきりとしてきました。残念ながら頂上の部分だけは雲に覆われて見ることはできませんが、それでもその姿は充分に美しい。


開聞岳に接近してきました。なるほど美しい姿です。

 時間がまだかなり余っていたので、開聞岳を反時計回りに周ってみることにしました。海に突き出している西側は林に覆われた道で、静かな雰囲気です。他に車は全く走っていなかったので、バイザーを開いて30km/hほどの速度でゆっくりと走行し、森林浴の気分を味わいました。聞こえるのは自車のV2エンジンの鼓動音だけ、良い雰囲気です。


開聞岳の西側は静かな道でした。雰囲気も悪くない。

 南側に回り込んでくると、道の右側に海が開けてきました。ちょうど夕方が近いので、西からの太陽に海面が輝いている状態。今までの林の中から、とても開放的な風景になりました。西の海に沈み始めた太陽の光に、日本本土の最も南西にいることになるんだ、と改めて実感。ずいぶん遠くに来たものだ...。
 もう少し遅い時間に来て夕日が沈むのを見られたら、きっとロマンチックでしょう。いつか誰かと見てみたい。


静かなシーサイドライン。夕日はさぞ美しかろう。

 開聞岳の南側を東に転じた辺りで、道が狭くなって路面状態も悪化しました。あれれ?と思っているうちに、いきなり道は下の写真のように変なトンネル連続路に変貌してしまいました。左側の写真にあるように、道幅は1車線分だけ。これではバイクといえど、軽自動車が相手でも離合不可能な状態です。また、その先のトンネルは所々天井に穴の空いた不思議な構造のトンネルで、路面状態は劣悪で車体がハネるのなんのって。この区間の道の造りは全くもって謎ですが、ともかくも非常に狭くて怖かった。幸い、対向車はいませんでしたが...(ほっ)。


バイクでも軽自動車とも離合不可能。狭いよ〜、怖いよ〜。

 狭くて怖かった区間を過ぎると、再び道は片側一車線の快走路に変わりました。途中、長崎鼻と呼ばれる景勝地の案内が出ていたので、そちらに行って見たところ、思わぬものに遭遇! 右手に海を見られるところで眼にとまったものは、下の写真左側で筋のように見えているものです。海面には霧のようなものが巻き上がっています。そう、竜巻が発生しているのです。あまりに珍しい光景に、バイクを路肩に停車してしばし観察しました。竜巻は5分ほどで消滅しましたが、海面の巻き上げが激しくて、なかなか見応えありました。


竜巻を発見! しばらく観察していると、海面で巻き上がっていました。

 さて、景勝地の長崎鼻はあまりに観光地化されていて雰囲気に違和感を感じたので、行くのを止めました。来た道を再び戻り、この日の宿泊地である指宿温泉に向かって走行しました。途中、日本最南端のJR駅「西大山駅」の案内があったので行ってみたのですが、何のことはない、ただの無人駅でした(苦笑)。
 16:00に、指宿市内に到着しました。翌日はここから小型フェリーを使って対岸に渡るので、フェリーの営業所に立ち寄り翌日の便を予約しておきました。


今日の宿泊地、指宿です。明日は再び海を渡ります。

 この日の宿は「指宿海上ホテル」です。インターネットで探して、昨日予約の電話を入れていた宿です。建物は少々古いのですが、オフシーズンの日曜日ということもあって、海に向いたいい部屋を割り当ててもらえました。私の印象は「懐かしさ漂う昭和リゾート」。ちょっと時代遅れっぽいけど、私はこういう雰囲気は嫌いではありません。
 荷ほどきして早々に温泉に入って、走行で疲れた身体をリフレッシュ。やっぱり、明るい時間に風呂に入れる旅はいいなぁ。大浴場には明日の朝も4:30から入れるそうなので、また入ろう(朝風呂は後で疲れるのですが...止められないです)。


懐かしさすら漂う、昭和のリゾートっていう感じです。

 夜に空を見上げると、星空がきれいでした。こんなに空に星があったのかというぐらい。久しぶりに満天の星空を堪能しました。
 2日目の走行、すべて一般道のみ198.9kmでした。積算では774.4kmです。

 3日目(15日月曜日)、いつも通り朝5:00に起床し、早速大浴場へ。独り占めかと思いきや、年配の方が大勢いました。ちょっと熱めの五右衛門風呂でしっかり暖まり、眠気を払うとともに身体もほぐしておきます。部屋に戻ると、ちょうど東の空が明るんできていました。窓から外を眺めると、錦江湾の美しい朝焼けが見られました。今日はひょっとするといいことあるかも(特に根拠なし)。


錦江湾の朝焼け。こんな雰囲気の中で目覚められる贅沢。

 7:00にホテルをチェックアウトし、指宿港に向かいました。8:00出港の指宿発大根占行きの「なんきゅうフェリー」に乗るためです。このフェリー、今までのものとちょっと趣が異なります。何が違うってその大きさ、普通自動車8台までは積載できるそうですが、本当に小さい! でも、これぐらいのサイズの方が「船に乗ってる!」と思えるかもしれませんね。時間も40分という程度の船旅ですが、楽しみではあります。


いよいよ乗船! 私の他に乗用車2台。

 船は定刻通り出発しました。小型ならではなのか、かなりの速度感がありました。見る見るうちに指宿が遠くなっていきます。天気がいい上に外洋を走るわけではないので、揺れも少なくて快適そのものです。客室のベンチに腰掛けて、潮風に吹かれているうちに大隅半島に接近していきました。定刻よりは少し遅れてしまいましたが、8:50に大根占港に着岸し、上陸しました。3日目の走行開始です。


さらば指宿、目指すは対岸の大隅半島!

 大根占からは大隅半島を周遊できるR448で、東に向かいました。このルート、交通量が少なく最高に快適でした。内陸部では勾配もなだらかでカーブも少なく、ハイペースで気持ちよく走行。天気も快晴に近くて、見通しも良好です。ただしまだ旅は始まったばかり、飛ばしすぎないように注意。一方でちょっとアクセルを開けすぎたのか、燃料計の目盛りの減りが早いのが気にかかりますが...。


路面もよくハイペースで走れる。快適そのもの。

 さらに進むと、ちょっとした峠のような場所があり、いきなり道が狭くなりました。その向こうには光り輝く青い背景が見えています。海だ! 内陸部から海に出てきて展望が一気に開けた時は、いつもわくわくします。この段階では東に向かっていて午前中なので、太陽に照らされて海面が光り輝いていました。


海に出てきた! 感動する瞬間。

 道が狭くなっていたのは一部分だけで、道路はすぐに片側1車線の快走路に変わりました。断崖絶壁に沿って北に転じると、景色がどんどん変化していくのが面白かった。例えば下の写真、ちょっとした入り江のようですが、奥は白い砂浜になっていてエメラルドグリーンの海面が非常に美しい。このあたりの海岸線の美しさは今まで見た中では最高クラスでした。


エメラルドグリーンと白い砂浜のコントラストが最高。

 R448はさらに北に向かい、昨日上陸した志布志に向かって接近して行きます。途中からは志布志の港や石油備蓄基地がはっきり見えていました。道は志布志でR220に合流し、宮崎方面に向かいます。志布志の市街地を抜けるとすぐに宮崎県に入りました。ここで燃料が心細くなったので、串間の市街地で4回目の給油を行いました。串間を過ぎると再びR220と別れてR448で南下します。
 さて、次に向かうのは都井岬です。日本百名道では次点でしたが、野生の馬が生息するという一風変わった場所だと紹介されていました。一体どんなところなのかとっても楽しみ。岬の観光道路入口には11:00過ぎに到着、ゲートでは牛馬保護協力費の名目で100円を支払い、岬への道を走ります。しばらく走ると正面には草に覆われた山が見えてきました。


正面に牧草地のような山が見えてきました。あそこにいるの?

 山を見上げながら徐行して道を進んで行くと、いました! 野生馬である御崎馬です。ものすごい傾斜のところで草を食んでいました。慣れているのか、車のエンジン音を聞いても何も反応がない。残念なのが道からはちょっと距離があるところですが、野生なだけにコントロールはできない。注意書きにも「近寄らないで」と書かれているので、接近して写真...というわけにはいきませんでした。


野生馬の御崎馬です。鉄馬に乗り、本物の馬を見る。

 道はその先も続いていて、しばらく走ると道の両サイドに海が見られるようになります。つまりは岬の先端に近づいているということです。蒼い空、青い海は開放感満点。「走りに来て良かった」と思える最高の瞬間です。この景色、時間の許す限りいつまでも眺めていたい。


こちらは南側。蒼い空、青い海は開放感満点!

 港の先端には都井岬灯台がありました。その手前が行き止まりの広い駐車場になっていて、そこでしばし景色を楽しみました。ここは宮崎県の最南端、そこからの景色はもうすばらしいの一言でした。この感動を誰かと分かち合えないのが一人旅の哀しいところではあります。


都井岬灯台の手前まで来ました。


北側の海岸線。美しい、ただその一言です。


愛馬と記念撮影。思い出の一枚になりそうです。

 来た道を引き返し、再びR448へ。都井岬から北では道の名前が「日南フェニックスロード」に変わります。宮崎市までの80kmが海岸線沿いに走る絶好のドライブルート。今日のハイライト第二弾は、日本百名道にも挙げられている南国情緒あふれる道です。
 ただ、残念なことに所々で工事をやっていて、一度は対面通行で信号待ち、なんと8分30秒も待たされました。工事の担当者と「バイクだけどなんとかならない?」と交渉を試みたものの、あえなく撃沈。かなり予定のペースよりも遅くなってしまうという展開に、多少焦りの色が...ここは我慢しなければ。


至る所にフェニックス、南国ムード満点です。

 12:30過ぎに、「道の駅 なんごう」に到着。ツーリングマップルの情報によると、ここの定食が美味しいらしいので、昼食を摂ることにしました。道の駅のレストランで「かつお飯定食」を注文。下右の写真のようにかなりのボリュームで、みそ汁は海老のアラで取ったもの。これで1,000円は安いかも。味も良かったし、何よりヘルシーです。道の駅からの眺めも最高でした。
 さてこのレストラン、結構狭くて相席を余儀なくされました。後から来た4人の方は地元の夫婦+横浜に住む娘さんとお孫さんという家族。ヘルメットを持っていたので「関東からの青いバイクの方ですか?」と話しかけられました。こういう状況は一人旅では実は結構嬉しいものです。つかの間の触れ合い。
 「埼玉から? 取材かなんかですか?」←そりゃぁ平日走ってればそう思いますよねぇ。
 「あ、いえ、会社員です。こう見えても一応堅気なんですよ。」←この一言がかなりウケた。
 ちなみに横浜から来たというお孫さん、かなりの美人でした。そんな人と話をする機会があるとは、やっぱり今日はいいことあったな(笑)。ささやかな幸せの余韻を感じつつ、再び出発です。


かつお飯は美味だったけど、それ以上に美人と話せた方が印象に残った(なんか間違ってる)。

 南郷で再びR220と合流し、さらに北上します。宮崎に近づくと、海岸の景色は少しずつ変化を見せてきます。ところどころ海に突き出している岩場の形状が変わってきて、青島に代表されるまるで洗濯板のような地形が広がってきます。


宮崎名物、洗濯板。どうやってできたの?

 残念ながら時間の都合で青島に寄るのは断念しました。停まれるようなところもなかったので、そのままスルーして、結局R220で宮崎市まで走りきってしまいました。時間は14:30で、ちょっと予定より遅れてしまっています。地図で改めて確認すると、3日目の目標である霧島温泉までは高速を使っても約80kmの行程。だとするとあまり寄り道できないと判断し、宮崎ICから宮崎道に乗って霧島を目指すことにしました。
 高速を約30分強走行し、高原ICで降りてR223で霧島に向かいました。R223は林の中をゆるやかな勾配で登って行く道でした。林の中なので見通しも良くありませんが、路面が滑らかなので快適に走れました。15:30には霧島神社前に到着、目の前に巨大な鳥居が現れました。いきなりの出現にすっかり圧倒されてしまいましたが、霧島温泉郷に近づくと今度は道のそばに大きな滝がありました。このR223、見どころも多くて面白い道です。「道の駅 霧島」からは遠く桜島も拝めます。


巨大な鳥居と、見事な滝。見どころ満載。

 宿は霧島温泉郷のど真ん中ですが、まだ16:00前なのでチェックインには早い。そこで、ここからさらに北上してえびの高原まで進出することにしました。えびの高原に向かう鹿児島/宮崎r1はタイトコーナー続きで勾配の大きい、まさにバイク向けの道。思いきり車体を傾けて、久しぶりに走りのポテンシャル全開。あれれ、ステディな走りは一体どこへ行ったの!?
 約10km走行すると、えびの高原に到達しました。韓国岳への登山口にあたるこの地は、やはり荒涼とした趣です。この道も百名道で挙げられていますが、ここの眺めもすばらしいものでした。


韓国岳です。周辺は荒涼とした雰囲気です。


道はゆるやかな九十九折れで峠に向かいます。

 r1はえびの高原を過ぎると「えびのスカイライン」となって宮崎県小林市に向かって降りて行きます。この区間は非常に面白い道でした。タイトコーナー続きの下り急勾配ですが、路面状態が非常にいいのでハイペースで走ることができます。ただ、ここに来て燃料が厳しくなってきたので、結局小林IC近くまで行くはめになってしまったのが計算外でした。山中で日暮れが早いため、できれば早めにチェックインしたかったのですが...。
 小林ICの近くのGSで5回目になる給油を行い、来た道を戻ることにしました。時間はすでに16:30、まっすぐ戻らないと陽がすっかり暮れてしまいます。再びr1を駆け登って霧島温泉に向けて戻って行きました。ただ、登りの方がオーバースピードになりにくいので、クイックなハンドリングをより楽しめます。


展望台から小林方面を見る。かなり標高も高いようです。

 えびの高原を過ぎたところで、霧島神社に入る道があり、そちらも走ってみました。ちょっと遠回りではありますが、来た道をそのまま戻るだけでは面白くありませんから。途中、南側が少し開けたところがあって、そこから桜島のシルエットが見えました。意外に鹿児島に近いところだったのですね。明日からは北上するので、このツーリングでは鹿児島はこれで見納めです。


桜島と錦江湾。意外に鹿児島に近いのですね。

 17:00過ぎに、無事にこの日の宿である「霧島みやまホテル」に到着しました。本日の走行は381.6km(うち一般道326.8km)、積算では1,156.0kmになりました。明日は中部九州に進出、山間部の走行が続く計画です。

 4日目(16日火曜日)、ちょっとチェックアウトに手間取って遅れましたが、7:15に宿を出発しました。この日のルートは霧島からえびの・人吉を経由して再び宮崎方面に向かい、延岡から高千穂・阿蘇をまわって熊本に至るコース。最も一般道走行の距離が長い一日になるはずです。
 霧島温泉郷から少し上がったところに、水蒸気が噴出しているところがありました。こういうのがあちこちに見られます。さすが、古くからの温泉地というだけのことはあります。


勢いよく出ている噴気。温泉地ならではです。

 昨日も走行した鹿児島/宮崎r1ですが、早朝というだけあって貸し切り状態でした。ただ、意外なところに邪魔者(!?)はいて、何者かが道を横切ったり。正直びっくりしました。シルエットからするとイタチのようでもあり、しっぽの感じからリスのようでもありました。さて、その正体は何だったでしょう。
 えびの高原から宮崎r30に入ったところで、今度は鹿が道の真ん中で佇んでいました。こちらは交通量が少ないので簡単に出てくるのでしょうね。バイクで近寄ってもあまり怖がらないのが不思議。


朝の高原を駆け抜ける。寒いくらい。


鹿に遭遇。鉄馬で近寄っても怖がりません。

 宮崎r30はr1に比べるとやや狭いものの、それほど走りにくくはありません。しかし路面が荒れ気味なので、あまり飛ばすのはお勧めできません。ただし、ところどころで断崖から下の景色が眺められます。湿度の高い日であれば、ここから雲海が見られそうです。ゆっくり見たい気もしますが、まだかなり高度も高いので、気合いを入れて走らないと時間がずるずる経ってしまう。先を急ぎます。


条件次第で雲海が見られそうな景色。

 えびの市街地を抜け、R221で熊本方面に向かい北上を開始しました。道はかなりの勾配があって、トップギア6速では少し回転が下がりすぎるぐらいでした。V2は回転を落としすぎるとすぐギクシャクしてしまうので、少しせわしないですが1速落として登る方がむしろ楽。えびのループ橋を回って高度を稼ぎ、堀切峠のトンネルを抜けると熊本県です。熊本側にも人吉ループ橋があって、こちらの方が回転半径が小さい。路面もまずまずなので、高速コーナー気分で突っ込むと楽しいかも。


人吉ループ橋、本日最初の見どころ。

 R221は人吉市街地方面に向かいますが、次は高千穂神話街道を目指すため、R219で日向灘を目指して東に進路を取りました。本当は日向市にまっすぐ向かうR388を使うことを考えていたのですが、ネットで情報収集したところかなりの酷道のようで時間的なリスクが大きい。そこで、遠回りではありますがツーリングマップルで比較的走りやすいと書かれていたR219をチョイスしました。
 走行開始から約1時間経ったので、「道の駅 錦」で休憩。すると、霧が出てきてあたり一面白く染まってしまいました。このあたりの土地の名前は「あさぎり町」。ほんと、そのまんまです。


あさぎり町にかかる朝霧。そういう所以でしょうか?

 R388と分岐するまでは市街地をただだらだら走るだけで、全く楽しくはありません。しかし、熊本・宮崎県境に近づくと道は登坂車線付き連続高速コーナーと化しました。ここはもうアクセル開けるしかない! 前後にクルマの姿もなく、これまでの市街地走行の鬱憤を払うように、坂を駆け登りました。V2のトルク感を実感できる嬉しいチャンスです。


道も改良されているので、走りやすかった。

 峠のトンネルを抜けると、宮崎県に入ります。こちらは最初こそ片側1車線の快走路でしたが、ダム湖に近づいて川の水量が増え出したころから1.5車線ほどの広さになって、思ったより大変な道のりでした。スピードはさほど落とさなくても大丈夫ですが、対向車に常に注意を払わなければならないので、こういう道は気疲れします。ただ、あまり対向車もいないところでしたけど。


静かなダム湖。海まではまだまだ遠い。

 一ノ瀬ダムを過ぎると、川はいきなり渓谷と化します。走っていて川面があまり見えなくなったので、道路から覗き込んで見ると、下の写真のように岩場の深いところに水が流れていました。高千穂峡って、たしかこれのスケールが大きい感じですよね。こういうの、宮崎の名物なんでしょうか?


これが延々続いてました。面白い地形です。

 10:30ごろ、ようやく海に出てきました。ローカルな県道を使ってショートカットしたおかげで、宮崎市と日向市のちょうど中間あたりに出てこれたのが幸いでした。今度は幹線国道、R10で延岡まで北上して行きますが、燃料が残り少なくなったのと、前回の休憩から1時間半ぐらいたってしまったので、「道の駅 日向」で休憩しました。ここでも某知事のキャラクター入りお土産を購入。近くで6回目の給油を行いました。さて、次のターゲットである高千穂神話街道までは、あと25kmぐらいです。


やはり宮崎側は雰囲気が明るい。太陽も眩しい。

 ここで一つ失敗をしでかしました。延岡市街地を迂回しようと、R388で少し西に入ってから県道で目指すR218に出ようと考えていました。ところがR388の川沿いのワインディングを快調に走っていると、いきなり道路工事で止められてしまいました。聞けば時間通行止めをしていて、次に通れるまでは30分待ちだとのこと。そんな予告なかったぞ!と文句は言ってみたもののどうしようもない。やむなくもとの場所まで引き返しましたが、往復40kmのロス。これは痛い、痛すぎる。
 元来た道を戻ってから延岡市街地に到達、そこから神話街道の走行を開始しました。堤防の上を走るところでは眺めも良くて気持ちよく走れました。流れも比較的速いので、ストレスなく流せました。
 さて、この日の走りどころ第2弾はこのR218。内陸に進んで行くと道は高度を上げて行きます。普通だと川に沿って道が作られるのですが、この道は趣が全く異なります。それは山の高いところに道を引いて、その間を非常に高く長い橋で結んでいるところ。なので、走っている間の眺めは素晴らしいところでした。その代表格が、下の写真の青雲橋。「道の駅 青雲橋」から見ていますが、よく写真で紹介されるところです。


すごい高さのところにあります。一見の価値あり。

 ここで珍しく携帯に着信メールがありました。発信源は妹と職場の先輩から。特に先輩からのメールの題名は「業務連絡」! 30秒ぐらい開くかどうか悩みました(苦笑)。開いてみると「仕事のことは気にしなくていいですよ」とのこと。なんか矛盾しているような気が...。
 青雲橋からしばらく進むと、高千穂町に出てきます。高千穂峡や高千穂鉄道で有名なところですね。ツーリングマップルによれば、ここにある「道の駅 高千穂」の高千穂牛の焼肉が人気とのこと。これはぜひ食べてみたいということで、焼肉定食を注文しました。ところがこの定食、値段が何と1,700円。正直ためらいましたけど、結局誘惑に負けました。やっぱり最近我慢が足りないぞ、自分。でも、それだけのことはある味でした。柔らかくでジューシー。


道の駅 高千穂にて焼肉を食べる。柔らかくて美味しかった。

 昼食後、R218からR265に入って走行を続け、高千穂を出てから約50分で阿蘇の外輪山の内側に到達しました。高森峠のトンネルを抜けると、正面に阿蘇山が出現。外輪山に囲まれた平地の中にそびえ立つ山と外輪山は、ダイナミックの一言に尽きます。この日は山の頂上に向かって登山道路を登ります。地図での標高はかなり高く、この日は天気もまずまずなので、上からどんな景色が見られるか楽しみです。一方で、下の写真のように空はすっかり秋模様ですね。


カルデラの中に入ってきました。正面に広がるダイナミックな地形。

 南側登山口から阿蘇山頂に向け、アプローチを開始しました。急勾配とタイトコーナーで高度を上げて行きます。最初は林の中であまり展望もよくありませんでしたが、正面に芝生の塊が現れる頃から視界が開け、下の写真のように麓に広がる原野や町が見えました。ぐるっと一周ある外輪山のシルエットもはっきり見えます。天候に恵まれたいいタイミングで来れたかも。
 ただ、あちこちで路面補修の工事中。片側通行で止められるので、気持ちよく走る...というわけにはいかなかったのが残念です。


高度が上がってきました。緑の原野が美しい。


阿蘇登山道路。路面はあちこち補修中。

 草原の中を山を回り込むように走ると、その影から荒れた岩山が現れました。これが火山の本体です。地図では山頂に有料道路があったので、そこもぜひ行ってみようと山頂のロープウェー駅まで足を伸ばしました。ところが、ゲートは閉じられていて全面通行規制中。火山ガス噴出の影響でこの日は通れないようです。せっかくここまで来たのに、残念至極です。


残念! 通行規制中で入れませんでした。

 気を取り直して、再びr111を北に向かいます。すると、正面に緑に覆われた草原と沼が現れました。草千里ヶ浜です。道脇にバイクを止め、火口方面も振り返って見るとまさに大パノラマです。側では見られなかった噴煙が上がっているのも見えました。なるほど、これなら有料道路に入れなかったのも頷ける。
 また、ここでは本物の馬にも乗せてもらえるようです。時間があれば乗ってみても良かったけど、太陽はすでに西に傾き始めていたので断念。再び走り始めました。


雄大な景色です。火口からは噴煙も上がってます。


火山と草原と沼、鉄馬と鉄の組み合わせ。

 その後、r298に乗り換えて西登山道を大津方面に向けて降りて行きました。途中の「道の駅 大津」でこの日最後の休憩。これから市街地を走り抜けるので、地図を市内のものに交換しました。熊本市街地は地図で見ると道の交差の仕方が複雑なので、宿まで迷いなく行けるかちょっと不安が漂います。地図のイメージを頭によく叩き込んでから出発しました。


道の駅 大津にて。ここから市内に向かいます。

 ただし真っすぐ宿に向かったわけではありません。明日の朝はフェリーに乗る予定なので、偵察(所要時間確認)のために熊本港まで足を伸ばしました。意外にも距離があったので、明朝はちょっと早めに出ないといけなさそう。途中で7回目の給油を行ってから熊本駅近くの宿「熊本ステーションホテル」にチェックインし、この日の走行を終えました。この宿、ネット接続ができることからチョイス、嬉しいことに部屋も広くてゆっくりできました。夕食は熊本駅にて。
 4日目の走行はすべて一般道で437.0km(最長記録更新)。積算距離は1,593kmになりました。

 5日目(17日水曜日)、7:30熊本港発島原外港行き「熊本フェリー」のオーシャンアローに乗るために6:30に出発しました。前日に下見に来ていたおかげで、迷わず埠頭に到着。乗船手続を済ませてしばらく乗船待ちです。列の前で待っているとテレビ局のスタッフでしょうか、4人ぐらいで旅番組らしき収録が始まりました。やや遠くから見てましたけど、レポーター役の女性の方はキュートでなかなかきれいな方でした(笑)。


正面の船がオーシャンアロー、30分で島原と結びます。

 出港15分前から乗船開始。バイクは一番最初に積んでもらえました。今回のスペースは船首前方。ギアを1速に入れてハンドルロックするように指示されました。バイクの固定は係員さんに任せ、客室へ向かいます。客室はまさに豪華そのものでしたが、早朝便ということもあってか内部はがらがらでした
 島原外港までは30分、あっという間に到着してしまう感じです。入港時に右旋回すると、雲仙普賢岳が窓一杯に広がってきました。いよいよ長崎県に上陸です。


車両甲板の様子、外見とは裏腹に内部は広いです。


客室は豪華そのもの。すぐに普賢岳が迫ってきました。

 定刻通り8:00に接岸し、8:10に上陸しました。まずはR57で雲仙を目指します。R57は幹線道路ながらタイトコーナーの続く面白い道でした。交通量も比較的少なかったので、楽しく走れました。
 さて、この日の最初の見どころは「仁田峠循環道路」です。この道は全線1.5車線で、反時計回りに一方通行の有料道路です。やや狭いのが難点ですが、対向車の心配がいらないという嬉しい道。でも、走りを楽しむというより高いところからの景色を楽しむ道というべきでしょう。まず見えるのは長崎方面の風景。山の間からは長崎湾の方向がきれいに見えていました。空もすっかり秋の色に染まっています。


長崎方面を見る。今回は残念ながら行く予定なし。


仁田峠循環道路はこんな道。眺めを楽しむべきですね。

 東側に回り込んでくると、眼下に海が広がります。まだ朝なので、東からの光に海面が輝いていますね。所々にある展望台から眺めを楽しみました。さらに山を回り込むと今度は正面に雲仙普賢岳の雄姿が現れ、その迫力には圧倒されました。地形のスケールとしては阿蘇や桜島ほどではないのですが、その荒々しさはそれらを凌駕している印象を受けました。すごい。


島原市方面を見る。明るく照らされた海面がきれい。


真っ正面に雲仙普賢岳の姿。迫力あります。

 残念ながら、仁田峠を越えてからは木々が生い茂っていて、景色は楽しめませんでした。有料道路の全長は10kmないので、すぐにR57に合流してしまいました。ここからは島原半島の中央部を島原温泉郷に向けて下って行きます。約25分で島原温泉郷に到着、今度はR251で海沿いを反時計回りに半島南端の口之津港に向かいました。R251はずっと海沿いを走るシーサイドライン。地形は険しくロックシェードが続きますが、変化のある格好のドライブルートです。


R251はシーサイドライン。爽快に走れます。

 9:50ごろ、島原半島南端の口之津港に到着しました。ここから「島鉄フェリー」で、熊本県天草へと渡ります。残念ながらちょうど船は出たばかりで、次の便までは45分待ち。待合所で切符を購入、売店でお土産を物色していると、すぐにこれから乗る船が入港してきました。ここから対岸の天草鬼池港までは30分、また海上からの景色を楽しめそうです。


待合所です。右が入港してきたこれから乗る船。

 出港10分前から乗船開始です。今回もいの一番に乗せてもらえました。この船では甲板の両サイドにバイク用のスペースが用意されていました。定刻通り10:45に出港。さよなら島原、時間も距離も短かったけど景色の見応えがあり、来て良かったと思いました。


いよいよ乗船。何度経験してもわくわくします。


さよなら島原半島。いい景色が見られて良かった。

 11:15に鬼池港に入港し上陸、R324で島原湾沿いに南下しました。しばらく走ると、両端がループになっている橋を渡ります。よく紹介される瀬戸大橋ですが、意外に小さかった印象です。この橋を渡るとR324はロザリオラインと名を変え、東に転じます。ここもずっと海沿いに走って行くシーサイドライン。途中で松島有料道路を経由し、いよいよこの日第二の目標、天草パールラインにアプローチします。その前に、ツーリングマップルで眺めが良いと紹介されていた千厳山に立ち寄り、これから走る景色を見てみました。


これから走る天草パールライン。島々を5つの橋が結びます。

 天草パールラインは島々を5つの大きな橋で結んでいます。最初の4つの橋は連続していて、360°どこを眺めても美しい風景が楽しめます。前車との車間を確保した上で、橋の部分ではゆっくりと走り、眺めを楽しみました。
 4つの橋を渡り切ると、しばらくは内陸の走行になりました。でも、天草五橋というからにはもう一つあるはず。最後の天門橋だけはちょっと離れていて、小さな坂を登りきったところでその姿を現しました。美しいトラス橋、手前にある展望台からその姿を眺めました。


天門橋、美しいトラス橋です。

 天門橋を渡ると、宇土半島に入ります。ここからは再びR57で、熊本方面に向かいました。対岸には今まで走ってきた雲仙や、フェリーに乗った熊本港が見えていました。つまり、ちょうど島原湾を一周してきたことになります。R57は交通量は多かったですが、流れは速くストレスは感じませんでした。


この区間のR57は快適なシーサイドラインでした。

 この辺りで13:00に近づいてきたので、途中にあった「道の駅 宇土マリーナ」で昼食休憩しました。道の駅の中には漁師食堂なるものがあり、メニューを見てみるとこのあたりで取れた海産物を食べさせてくれるとのこと。比較的リーズナブルなミックスフライ定食を頼んだところ、ものすごいボリュームでした。高千穂の焼肉とはえらい違いだ(苦笑)。しかも、私の大好物のあさりのみそ汁つき。とっても美味しかった。これで980円は正直安いと思う。


道の駅 宇土マリーナにて昼食。幸せのひととき。

 宇土マリーナを出発してからはR57でさらに東へ。ただ、時間はすでに13:00を回っていました。この日の宿は阿蘇に決めていたので、熊本市内を抜けていかなければなりません。ただし市内は混雑が予想されるので、高速を使ってショートカットすることにしました。
 九州道・松橋ICの入口で8回目の給油を行い、高速に入線しました。目指す熊本ICまでは20kmあまりのため、すぐに到着。高速を降りてからはR57で東に進み、前日も停まった「道の駅 大津」で再び休憩。ここから第3の走りどころ、阿蘇ミルクロードに入ります。
 阿蘇ミルクロードは阿蘇山の北側の外輪山の尾根沿いに走る道です。登り口ではタイトコーナー続きで楽しく走れますが、外輪山に登ったところからはなだらかなアップダウンの続く牧歌的な道でした。ところどころにある展望台から見るカルデラの景色は、スケールが大きくすばらしかった。


展望台から南方向を見る。雄大でのどかな風景。


こちらは東側。この尾根に沿って走って行きます。

 ミルクロードはその名の通り、牧場地帯を抜けて行きます。まわりが牧草地なので見通しもよく、のんびり気持ちよく走れます。時々、牛が道の近くにいることもあって、左右の景色を楽しみながら走行しました。路面がいいのでスピードを上げて走るのもいいですけど、景色を大事にしたい雰囲気でした。


牧草地の中を走り抜ける、爽快な道でした。

 R212日田往還との交差を過ぎると、大観峰の入口がありました。ツーリングマップルによれば「多くのライダーが訪れる絶景の休憩所、ここに来ずして阿蘇は語れない」と評されているポイントです。そこまで言われては行かない理由はないですね。行き止まりの駐車場にバイクを止め、徒歩5分で大観峰展望台に到着しました。そこからの360°大パノラマは、すばらしいの一言に尽きます。


南側を望む。阿蘇山が真正面に見えます。


こちらは西側、外輪山の地形が顕著。


こちらは東。久住山が見えますが、雲がかかってます。


こちらは西、今まで走ってきた尾根です。

 ここで、時間は15:30。日が西に傾き始めたこともあり、少し早めですがそろそろ宿に向かうことにしました。ただ、まだ時間はあるので少し遠回りをしてのアプローチです。やまなみハイウェイとの交差をそのまままっすぐ進み、草原地帯のど真ん中を走行。牧場を過ぎたところから南下して、R57に出てきました。合流してすぐのところにあった「道の駅 波野」にてこの日最後の休憩と、お土産を購入しました。
 そこからはR57で外輪山を降りる急勾配の坂を下って、目指す宿「サンクラウン大阿蘇」に到着。走行距離はちょっと少なめになってしまいましたが、船に2回乗っているので致し方ないかな。
 この日の走行、281.3km(うち一般道257.4km)。積算距離は1,874.3kmになりました。

 6日目(18日木曜日)、6:30に宿を出発しました。この日の走りどころは「やまなみハイウェイ」と「湯布院日田往還」です。早朝だけあって他に車の姿はなし。何より早朝で、大型バスを避けられるのが非常に重要なポイントです。熊本r11で、カルデラの内部から北上を開始しました。外輪山の麓では朝霧がかかって幻想的な形式が広がっていました。


朝霧がかかって幻想的。

 外輪山に登りきったところにある城山展望台から、阿蘇を振り返ってみました。まだ日の出の直前ですが、東からの光に山の稜線が浮き上がって非常に美しい。これで、このツーリングでは阿蘇山の姿も見納めです。阿蘇登山道路・阿蘇ミルクロードは走っていて楽しかった。山頂部の有料道路を走れなかったのは心残りですが、景色・道とも堪能できました。さよなら、阿蘇山。


見納めとなる阿蘇山。色々な道を走れて楽しかった。

 r11、通称「やまなみハイウェイ」で、北上を開始しました。前後に車は見られず、自分のペースで快適に走行。しばらくは牧草地帯をなだらかに抜けて行く道なので、高速コーナーばかりです。ただ、正面には霧が出ているのが見えてきました。あの中に突っ込むのか?
 結局、霧の中を走行する羽目になってしまいました。一番深いところで視界は50m。念のため普段のペースより10km/hほどペースを落として走行しましたが、それほどタイトなカーブがないことも幸いして無事通り抜けられました。


正面に霧が現れました。あの中に突入?


一番深いところはこんな感じ。最近、こんなところを走る機会が多い。

 霧が出ていた区間は10分ぐらいでしょうか。道は熊本・大分県境に近づき、前日大観峰から見えていた久住山に向けて登って行きます。久住高原の入口に近づいたところには展望台があり、そこからはきれいな景色が広がっていました。この雄大な風景が九州の大きな魅力と言えるでしょう。本州や四国とはまた違った趣。この先にある牧ノ戸峠を越えると大分県に入ります。


もう一度阿蘇方面を振り返る。霧がかかっているのが見えます。


こちらは少し回り込んで大分側。天候は晴れ、気持ちよく走れそう。

 大分県側に入り、山を駆け降りると長者原に出てきました。長いストレートの途中で後方を振り返ってみると、噴煙が上がっているのが見えました。高原と火山・温泉の同居する中を豪快に駆け抜けるやまなみハイウェイ、さすが絶景ロードといえば名前が挙がる道というだけのことはあります。さらには距離も長いのが大きな魅力。この道抜きに九州ツーリング&ドライブは語れません。


長者原に到達。これがやまなみハイウェイのハイライト。

 やまなみハイウェイの北半分は林の中を走る道で、景色はあまり見られなくなります。その代わり、前方にはちらりちらりと由布岳の姿が見えてきます。今度はあの山がターゲットです。
 「道の駅 ゆふいん」で休憩した後、湯布院の市街地に立ち寄ってみました。湯布院といえば私のイメージはひなびた温泉街、というイメージだったのですが、実際には違っていました。まるで軽井沢のような感じで、ちょっと開発されすぎた感があります。個人的にはあまりこういうの好きではありません。


JR湯布院駅前にて。個性的(奇妙?)な駅舎です。


意外に町から近いところにあります。特徴的な姿を見せる由布岳。

 湯布院からは再び大分r11で、別府に向かいます。この道は「湯布院日田往還」と呼ばれ、日本百名道にも載っている絶景ロード。芝生の広がる由布岳の裾野を一気に駆け上がる道でした。走る際には西側からのアプローチがお勧め。登坂車線付き高速コーナーで豪快に走れます。道自体は長いのですが、絶景ロードの部分はちょっと短いので、走り的にはやや期待外れでした。ただ、景色はダイナミックで素晴らしいです。


湯布院日田往還。登坂車線付き高速コーナーは楽しく走れる。

 別府に到着したのはまだ9:00前、予定よりもかなり早く到着できました。計画では11:00に佐賀関発のフェリーに乗る予定でしたが、高速を使えば一本早い便に乗れる見込みが出てきたので、大分道・別府ICから高速に入線して南に向かいました。港に最寄りのICまでは約30km、約20分程度で到着することができました。大分宮河内ICで高速を降り、坂ノ市で9回目の給油をして、R197で佐賀関に向かいました。
 今回乗る船は、「国道九四フェリー」。大分県佐賀関港と愛媛県佐田岬半島の先端、三崎港を70分で結ぶ、最短ルートの船です。出港30分前に埠頭に到着すると、ちょうどこれから乗る船が入港してきました。待合所で手続きを済ませて乗船。5日間にわたって走行した九州を後にしました。


10:00便に間に合いました。これから四国に渡ります。


5日にわたる九州の走行も終了、四国に向けて出港しました。


海上から見た大分・別府と由布岳。さよなら九州、楽しかった。

 出港後約60分で、船は四国に近づいてきました。左舷には佐田岬灯台が見え、港に近づいてきたことがわかります。予定よりやや遅れましたが、11:20ごろにゲートが開き、再び走行を開始しました。ここから佐田岬半島を伝って、愛媛県を横断して実家のある高知へ向かいます。


佐田岬灯台、九州に一番近い四国です。

 三崎港から八幡浜まではR197、絶景ロード「佐田岬メロディライン」です。細長い半島の中央部を尾根伝いに走るこの道ですが、面白いのは半島の幅が狭いので、左右に海が見られることです。標高も高いところを走るので、宇和島方面や瀬戸内方面も見られて爽快な走行を楽しめました。抜きどころも多数あるので、遅い車に長時間引っかかることもなく快調に走行。ところどころある道の駅で写真を撮りながら八幡浜に向かいました。下の写真は「道の駅 伊方きらら館」です。


「道の駅 伊方きらら館」にて。瀬戸内方面を見ています。

 八幡浜・大洲を経由し、R56で松山方面に進んで内子町に出てきたところで、ちょうどお昼になりました。「道の駅 内子フレッシュパークからり」で昼食休憩。軽めの食事にしたかったのでかきあげうどんを注文したところ、かきあげが「からり」と揚がっていていい食感でした。さて、ここからは山に分け入ってワインディング路に突入することになります。


道の駅にて昼食。かきあげがからりとしていて食感がよかった。

 道の駅を出て、今度はR379・R380で久万高原町に向かいました。次なる絶景の道は「石鎚スカイライン」です。この道を走るために愛媛県を横断するのですが、R379・R380は距離は短かったものの酷道区間がまだ残っていました。本来こんな旅ではなかったはずなんですけど。
 R33に合流したところにあった「道の駅 みかわ」で地図を確認し、石鎚山方面に分け入る道に入りました。意外にもスカイライン入口までは距離があって、到達した時には14:00をまわっていました。ここから西日本最高峰の石鎚山を駆け登ります。以前は有料でしたが、今は無料開放されています。


正面に巨大な鳥居が現れました。いざ、霊峰へ。

 石鎚スカイラインは約20km弱の道のりですが、全線がワインディング路。道もそれほど広くない上、路面状態もあまりいいとは言えません。ライン取りを慎重にしながらの走行で、高度を上げてきます。山の北側が開けてくると、石鎚山の峰が見えてきました。九州と違って、四国の山は本当に険しいことを実感することができます。


石鎚山を目前に見る。四国の霊峰です。


終着点にある石鎚神社。ここは山の神の宿るところ。

 石鎚スカイラインからは瓶ヶ森林道を使って寒風山に向かいました。この道も下の写真にあるように、絶景ロードです。でも、とても走りを楽しめる道ではありませんので念のため。思った以上に長くて、全線で25km以上ありました。面白いのが、この山が太平洋側と瀬戸内側を分ける分水嶺ということ。南側は晴れているのに、北側は曇っているという一風変わった景色も見られました。


おまけ、瓶ヶ森林道です。この道も絶景ロードでした。

 寒風山からはR194とR33で高知市内まで一気に走り抜け、実家に到着しました。本日の走行は408.3km(うち一般道379.5km)、積算距離は2,282.6kmになりました。

 7日目(19日金曜日)は休養日、入院中の祖母の見舞いとお使い・買い物以外には走行はせず、帰路に備えて体力を温存しました。明日の走行に備え、実家近くのGSで10回目の給油を済ませておきました。この日の走行は一般道ばかり26.2km。積算距離は2,308.8kmです。

 8日目(20日土曜日)、いよいよ最終日です。この日はまさに「帰る」だけですが、走行時間は最も長くなるはずです。5月にもほぼ同じルートで戻っていますが、あの時と違うのが圏央道八王子JCT〜あきる野ICが開通していること。渋滞さえなければ、最寄りの所沢ICまで高速で戻れるかもしれません。6:50に実家を出発、両親&次男坊が見送ってくれました...って、どこ向いてるの?


7泊8日の旅も、ついに最終日。

 7:00に高知道・高知ICから高速に入線しました。今回予定しているルートは5月の時とほぼ同じですが、距離&時間を最短にするべく少し工夫をすることにしました。具体的には徳島まで行かずにその一つ手前のICで降りて、高松道経由で大鳴門橋に向かうことにしました。


高速に入線、今日はほとんどが高速走行です。

 高知道を北上し、川之江東JCTからは徳島道で東に向かいました。高知道は県境のトンネル付近のみ対面通行なので、遅い車に引っ張られてもそれほどタイムロスにはなりません。ところが、徳島道はほぼ全線が対面通行なので、ところどころで行く手を遮られ、快適走行にはほど遠い状態でした。
 出発から1時間後、セオリー通りに吉野川SAで休憩しました。このあたりの気温は低く、寒いぐらい。まだまだ先は長いので、あまりゆっくりせずに首回りの筋肉をほぐしてから再び走り始めました。


約100km走行後、吉野川SAにて最初の休憩。

 出発から1.5時間後、藍住ICに到着して一旦高速を降りました。終点の徳島ICまで行った場合は、神戸淡路鳴門道に乗るためにR11を約10km走らねばなりませんが、藍住ICで降りて高松道・板野ICで入線すれば数kmの一般道走行だけで再び高速に乗ることができます。8:45に板野ICから高松道に入線してさらに東へ向かいました。さて、今回は上手くいけば自宅のすぐ近くまで一般道に出ず、高速道路だけで連続して帰ることができるはず。さてどうなるか?


高松道・板野IC。上手くすると自宅近くまで高速出ずに済みます。

 9:00に大鳴門橋を通過し、淡路島へと渡りました。橋の上は横風がやや強くて走りにくかった。少し速度を落として慎重に走行しました。さよなら四国。
 大鳴門橋を渡り終えたら兵庫県です。橋からすぐのところにあった淡路島南PAにて2回目の休憩を取りました。ここからは大鳴門橋を見ることができるのですが、ちょっと距離が遠いのが残念です。


淡路島南PAにて。さよなら四国、後方は大鳴門橋です。

 神淡鳴道は途中から制限速度が高くなるので、さらにペースアップ。車の数もそれほど多くなかったので、快調に神戸に向かって走行できました。鳴門海峡で強かった風も、淡路島ではそれほど強くなく、ただひたすら車間距離とオーバースピードだけに気を使って走り続けました。
 9:30過ぎ、明石海峡大橋手前にある淡路SAに到着しました。5月では曇っていてあまりはっきり見えなかった橋が、今日はきれいに見えました。また、その先には神戸市街までも見えていました。そういえば、これも絶景ロードでしたね。出発からここまで250km、11回目の給油を行い再スタートしました。


まさに絶景、明石海峡大橋の美しい姿です。

 明石海峡大橋上でもやや横風が強い状態でしたが、特に走行に支障のあるレベルではありませんでした。橋を渡りきると神戸市です。ここから市街地を抜けて西宮から名神高速に乗るのが一番走行距離が短いのですが、第二神明道路・阪神高速3号神戸線と2回余計に料金所ストップを強いられるのがうっとおしい。そこで今回も山陽道・中国道を使い宝塚経由で吹田まで出て、名神高速に乗ることにしました。これだと、神戸西本線料金所で神淡鳴道の料金を支払った後は料金所ストップがありません。料金的にもややお得。


山陽道・神戸西本線料金所を通過、あと料金ストップは最後までなし。

 山陽道・中国道・名神高速はさすがに走っている車が多く、緊張を強いられました。ただ、ペースはそこそこ早かったので流れに乗って淡々と走行。11:00には滋賀県に入り、大津SAで4回目の休憩を行いました。ここまでの走行距離は約350km、全体の40%を走破した計算です。
 大津を出て、次に目指すのは岐阜県の養老。今回の旅では関ヶ原あたりが、ちょうど中間点。この区間も順調に走行、午前中に中間地点を通過して関西圏を後にし、12:00に養老SAに到着しました。ここで12回目の給油も行っています。


午前中に中間点を過ぎました。予想以上のペースです。

 養老SAを出発し、しばらく走ると小牧JCTに差しかかります。前回同様、ここから中央道に乗り換えて関東を目指します。中央道の岐阜側は比較的交通量が少ないので、快調なペースで走行しました。この区間は比較的カーブが多いため、あまり単調になることはないのが特徴です。
 13:00には中津川の手前にある恵那峡SAに到着しました。この先にある長大トンネル、恵那山トンネルを抜けるといよいよ関東甲信越に戻れます。ごく軽い昼食を摂って、すぐに出発しました。


あの山を越えると「関東甲信越」です。

 恵那山トンネルを抜け、長野県側に入ってくると正面に南アルプスが現れます。驚いたのが、アルプスの山々の高い部分が冠雪していたこと。まだ標高の高いところだけですけど、季節は確実に冬に向かって進んでいることを実感しました。
 14:15、東京・高井戸から180kmあまりのところに位置する諏訪湖SAに到着しました。ここまで来ればもういつもの日帰りツーリング圏内に戻ってきたことになります。時間もそのパターンより早いので、ひょっとすると暗くなる前に戻りきれる可能性が出てきました。13回目の給油後、いよいよ最終ステージへ突入です。


諏訪湖SA。そこそろ日が西に傾き始めました。

 諏訪湖から甲府に向かって南東に進んで行くと、遠くに均整のとれた山の形が浮かび上がってきました。富士山です。先日ニュースで初冠雪が報じられていましたが、その話の通り頂上の部分が白く染まっています。この眺め、甲府の市内に入るまであちこちで見られます。下の写真は双葉SAで撮ったものです。ここから先の休憩は渋滞次第ですが、ノンストップで帰ることもできる距離。どうなるかな?


富士山の姿。この山はやっぱり何か雰囲気が違う。

 甲府市街を抜け、最後の難関である勝沼〜大月〜八王子の区間に差しかかります。この先の小仏トンネルが自然渋滞の先頭なのですが、この日は時間もやや早いので、大丈夫か...?
 渋滞は発生していませんでした。流れも充分速くて八王子JCTまで一気に走行。ここから圏央道に入って北上、あきる野・入間を抜けて関越道・鶴ヶ島JCTまで抜けられました。関越道に合流してからは練馬方面に向かって南下、自宅最寄りの所沢ICで高速を降りました。ここまでの高速道路の走行距離は公称値で838.9kmです。


いよいよ高速走行終了、関越道・所沢ICです。ゴール!

 自宅に到着したのは16:50、出発からちょうど10時間ぴったりで帰着しました。ご覧のようにまだ陽も残っている。そんなに飛ばした覚えもなくて、流れに乗って淡々と走行しただけなのにこんなに早く着くとは、正直意外です。この日の走行、859.7km(うち一般道20.8km)。


7泊8日の旅も終了。無事に帰ってきました。

 まとめです。7泊8日の南九州&四国絶景ロード巡りの旅は無事終了。総走行距離はトリップメーター読みで3,168.5km(うち一般道1,797km)となりました。消費ガソリンは給油14回で154.5L、平均燃費は20.5km/Lでした。
 今回走った絶景の道は、名港トリトン・桜島展望道路・指宿スカイライン・都井岬・日南フェニックスロード・霧島高原道路・えびの&人吉ループ橋・高千穂神話街道・阿蘇登山道路・仁田峠循環道路・天草パールライン・阿蘇ミルクロード・やまなみハイウェイ・湯布院日田往還・佐田岬メロディライン・石鎚スカイライン・神戸淡路鳴門自動車道です。これ以上望むべくもない、最高に充実したツーリングで写真も400枚以上撮れました。お土産も鹿児島・宮崎・熊本・長崎バージョンと揃いました。
 ほぼ立てていた計画通りに走れたし、何より休養日以外はすべていい天気だったというのが、とてつもなく幸運でした。お疲れさま、ありがとうVTR。


本州&四国の行程図です。同じ道を使っていないのがミソ。


一見無茶苦茶ですが、実はよく練られたルーティングなのです。

2007.09.22

天空絶景のリベンジ、そしてラーメン。

 5週間連続のお出かけです。今回も先週に引き続き「考える暇を作らないためのツーリング」です。そういえば、今年はまだ喜多方の「丸見食堂」には1回しか行っていないので、そろそろ「きざみチャーシュー」が恋しくなりました。
 前日、いつものように計画書を提出して上司と面談。上司からは「距離が長くなるとボーッとすることがあるから気をつけて」と言われましたが、その実「ボーッとするとイロイロよからぬコトを考えるから、そうならないように走りに行く」のですけどね...。
 さて、最近は日没が早くなっているのでスタート時間を30分前倒しし、5:30に出発しました。なお、今回が新しいタンクバッグのデビューとなります。いつものように和光北ICから外環道に乗り、川口JCTから東北道でまっすぐ北上して行きます。


ぎりぎり日の出前の出発です。

 通常ですと那須の手前あたりで1回休憩を入れるのですが、この日は快調に流してこれたのでそのまま一気に安積PAまで走り通してしまいました。那須付近では霧が出ていましたが、走行に支障があるほどではなく、速度規制も敷かれてはいませんでした。みちのくの入口、白河の山を越えると一気に青空が広がり、安積PAからは安達太良山の稜線がくっきり見えていました。これなら、山に行っても景色が楽しめそうです。
 安積PAで給油の後、福島西ICまで走って高速を降りました。新しいタンクバッグは小銭入れが開きやすくて良かった。
 今日第一のターゲットは「磐梯吾妻スカイライン」。絶景の道として必ずランクインする道路です。昨年夏に訪れたものの、その時はガスが出ていて何も見えませんでした。今日のこの天気ならリベンジ可能!? 期待大です。


福島市内から見た吾妻山、下から見えるって事は上からも見えるはず。

 R115からr5を利用して、磐梯吾妻スカイラインにアプローチしました。さすがにまだ朝が早いため、ほとんど車もいませんでした。これなら走りも景色も独り占めできるかな!?
 磐梯吾妻スカイラインの二輪車通行料は1,150円。正直ちょっと高いと思うのですが、景色と道を考えると納得できます。福島側から上がって行くと、まずは福島市街地の展望が楽しめます。道幅はやや狭いのですが路面状態は良好で、ヘアピンカーブが連続してあったり急勾配の坂があったり変化に富んでいて面白い。標高がだんだん上がってくると、正面に荒涼とした風景が広がってきます。この季節は緑と岩肌のコントラストが美しい。


緑と岩肌のコントラストが美しい。


浄土平に向け、荒涼とした野を走り抜ける。


登ったところで振り返る。すばらしい道です。

 登山口となる浄土平を過ぎると、今度は猪苗代方面に向けて下って行きます。こちら側は先ほどまでの雰囲気とは一変し、高原の林の中を静かに降りて行く道になります。前後にまったく車がいなかったので、ただ走るのではなく写真を撮りながらゆっくり下って行きました。標高もまだ高いので、空気も澄んでいる感じです。走りながらではありますが、たっぷり森林浴できました。


磐梯山が現れました。残念ながら雲がかかっています。


林の中を下って行くスカイライン。空気がさわやかでした。

 磐梯吾妻スカイラインは、r30でR115に接続します。今日はここからすぐ西にある「母成グリーンライン」に行って見ることにしました。私の持っているツーリングマップルでは有料道路となっていましたが、実際には料金所がなくなって無料開放されていました。ラッキー。
 母成グリーンラインは沼尻高原を抜け、標高972mの母成峠を越えて猪苗代湖方面に下る道で、走りやすい道でした。峠のところには広場があり、そこには戊辰戦争の記念碑が立っていました。幕末期、会津藩を中心とする東軍はここで薩長土を中心とする西軍を迎え撃ったそうです。


母成峠にて。歴史ロマンを訪ねるのも、また良い。

 母成峠を降りてくると、谷の間が広がって開放的な雰囲気になってきます。道も比較まっすぐに伸びているので、見通しもよく快調に走行。途中、沿道にコスモスが咲き誇っているところがありました。この日は気温も30℃ぐらいまで上がっているようで、あまり秋を意識する局面はなかったのですが、ここではさすがに季節が秋に移ろってきているのを実感しました。夏用ジャケットが使えなくなるのも、そう遠いことではないでしょうね。


谷の間が広がり、開放的になってきました。


まだ暑いので忘れてましたが、もう9月も下旬なんですね。

 母成グリーンラインは、いわき〜新潟を結ぶR49に接続します。ここからしばらく西に進み、喜多方市を目指すことにしました。R49は幹線国道のため、流れも速くて走りやすい。猪苗代湖の湖岸をしばらく走った後、一つ山側の県道に出て西に向かいました。時間にまだ余裕があるのと、予定していたグリーンラインが無料だったので、代わりに有料道路、磐梯山ゴールドラインを走って行くことにしました。
 ゴールドラインは6月にもグループツーリングで来ているので、もうすっかり勝手知ったる道となっています。車も少なかったので、ほとんどかわす機会もなく順調に走行を楽しめました。今まで経験のないポイントで停車して、写真のアングルを探しながらの走行です。爆裂火口に近いところは今まで気づかなかったところです。やはり、どんな道でも1回では魅力を探しきれないですね。


母成グリーンラインで浮いたお金をこちらに使います。


猪苗代湖、今日もきれいに見えていました。


裏磐梯側から爆裂火口を間近に見る。大迫力。

 ゴールドラインは裏磐梯でR459に接続します。ここから西に進んで、昼食予定ポイントの喜多方市に向かいます。R459も車はほとんどおらず、1台だけかわした後はひたすら単独走行です。このあたりのR459は整備の行き届いた高原道路という印象で、快適に走行できます。裏磐梯から下っていくと、目の前には喜多方の市街地が広がってきました。


市街地が見えてきました。水田が黄色く染まっています。

 今回も喜多方駅前にある「丸見食堂」に入りました。嬉しかったのは店のおばあさんが私を覚えていてくれたこと。「いつも来てくれてありがとう」と声をかけてもらえました。思い返すと、この7年で15回ぐらいは来てることになるのかな? もうすっかり「馴染み客」になっちゃったみたいで、支払いの時にはだいたいおまけをもらいます。今日も張り子のキーホルダー(しかも2個!)もらっちゃいました。ありがとう。


いつもの味は健在! こってりは漬物でリカバリー。

 喜多方を出発し、r21で会津坂下に向かいました。会津坂下で再びR49と合流し、道沿いにあるガソリンスタンドで給油しました。ここのガソリンスタンドもよく利用するところですが、ここにも特徴があって給油すると飴をくれるのです。今日は「炭焼珈琲」飴でした。どっかでごちそうになろう。
 いつもなら磐越道・会津坂下ICのところからR252に入るのですが、いつもと同じでは面白くない。そこで、少し西にあるR400を使って南下し、R252に途中で合流することにしました。このR400はよく冬季通行止めになっているところなので、酷道の匂いがします。
 さて、実際に行ってみると最初は往復2車線の快走路でした。しかしながら山に入るところで一気に道はヘタれ、まさに期待通りの展開。一番深い杉峠では1車線分しか幅のないところでしたが、道脇に立つおにぎり標識が「国道」をアピールしてます。ただ、R400のこのヘタれ区間は比較的短くて、杉峠を降りるとすぐにまた快走路に道は変貌。その代わりに流れ豊かな只見川の真っ正面に出てきました。


期待通り!? いざ、突っ込むぞー!(完全にマニアと化す)


杉峠に向かってアプローチ。これでも地図上では国道。


只見川に出てきました。いつ来ても流れが豊かです。

 R252に合流してからはいつも通り、只見に向けて快調に走行しました。この日もまさに貸し切り状態で、自分のペースで流して走れました。この区間は距離もあり、万が一遅い車につかまっても抜きどころも多数あるので、爽快に走れなかったことがない、希有な道です。
 合流地点から約40km走ると、中間休憩ポイントの只見町に到着しました。この日は充分行動時間に余裕があったため、前回来た時には時間がなく、社行きを断念した三石神社にも行ってきました。ライディングは全身運動とは言え、長時間乗ると身体が硬くなってきてしまいます。そこで、運動がてら入口にバイクを置いて、斜面を登って社のところまで行き、休憩しつつも願を掛けてきました。何をお願いしたかは内緒です(笑)。


実は3回目の訪問ですが、社まで行ったのは初めて。

 さて、ここからがお楽しみです。R252の会津坂下〜只見をハイスピードクルーズ区間とするなら、只見〜六十里越はワインディング区間です。田子倉湖を左に見ながら、タイトコーナー続きで高度を上げて行きます。上の方ではスノーシェッドにかなり覆われてはいますが、断崖から所々せり出したカーブからは田子倉湖の美しい風景を楽しむこともできます。下の写真は六十里越開通記念碑のところから撮ったものですが、まだ緑が深い状態。でもここは日本有数の豪雪地帯。昨年の実績から見て、あと一ヶ月もすればかなり色も変わってくることでしょう。


まだ緑が深い田子倉湖。あと1ヶ月で色が大分変わるはず。

 県境を越え、新潟県に入ったところから40kmほど走ると、魚沼市の小出に出てきます。ここにある「道の駅 ゆのたに」で休憩した後、小出ICから関越道に乗って帰途につきました。途中、塩沢石打SAで給油をしようと思っていたのですが、なんとGSが廃止になっていたため給油できず。やむなく群馬側の赤城高原まで引っ張り、そこで給油せざるを得ませんでした。航続距離ではまだ余裕があったので、ガス欠の心配はなかったですけど、燃費計算はできなくなりました。
 鶴ヶ島までは順調に戻ってこれたのですが、川越付近と所沢付近で事故渋滞が発生していました。特に所沢は料金所のところで事故が発生したらしく、本線上まで大渋滞。幸い、横に開いていた隙間から前に出られたので、それほど待たされはしませんでしたけど...。


なんでまたこんなところで事故ったの? 大混乱の高速出口。

 なんとか日が暮れ切る18:00前に自宅に帰着しました。本日の走行、787.6km(うち一般道325.6km)。まずまず距離も伸ばせました。今回は天気がよかったので、いい写真がたくさん撮れたのが嬉しかった。福島方面は今年もう一回行けるかどうか?


比較的距離も伸びました。充実感いっぱい。

2007.09.16-09.18

秋の特別企画 雨に翻弄された、アルプス縦走の旅

 正直なところ、最近ちょっと気になることがあります(といっても、別にマイナスな内容ではない)。時間が空いてしまうと、どうしてもそのことを考えてしまうのが苦しい。それを避けるためには何かに没頭するしかない...ということで、4週連続になりますが出かけてきました(要するに、完全に現実逃避というわけです)。また、今年は有休が全然取れていないので、それを活用して空いているときに泊まりに行く、という事情にも適合しています。
 行先はかねてから訪れたかった分断国道・R152と、旅のサイトで絶賛されていた有峰林道の2つをピックアップしました。具体的には浜松から南アルプス西斜面を北上、松本を経由して北アルプスの西側を走って富山に抜けるアルプス縦走の旅、2泊3日の行程です。
 浜松までは東名高速を使う必要があるので、東京都内の渋滞を避けるべく、いつもより早めの5:00に出発しました。この季節になると、まだ夜は明けていません。


いよいよ出発。気掛かりは天気、雨中走行が予想されます。

 川越街道R254から環八を使って南下しました。日曜の朝でもあり、車も少なく快調に走行できました。用賀の東京ICから東名高速に乗り、西に向かって走り始めます。さすがに日本の大動脈、東名は走行している車も多くて一番右の車線でも100〜110km/hぐらいでしか流れていませんでした。
 神奈川県内までは天気は晴れでしたが、前方には徐々に低い雲が立ち込めてきていて、まさに暗雲漂っているという雰囲気。山北〜御殿場の山越え区間では、直前まで雨が降っていたところに東からの陽が差して、すぐ側に虹が出ていました。
 静岡県に入ってすぐのところにある足柄SAで給油ストップし、道路情報板でこの先の状況を確認しました。静岡県内は全域雨で、ところどころ50km/h規制も敷かれていました。腹を決めて雨装備に換装です。


足柄SAから見た富士山。ここまではいい天気でした。

 足柄SAを出てからすぐに雨は降り始めました。幸い、予想よりも雨量は少なくて視界も悪くない状態。また、所々で太陽の光が差していて、沼津では大きな虹をくぐって走行することになりました。足柄から約45分で静岡手前の由比PAに到着。ここは道が海に一番近づくところ。景色が良いことで有名な一方、すぐ波をかぶるので通行規制が敷かれやすいところです。そこから見た西側の空はべったり雨雲に覆われていて、天候好転の気配なし。浜松までは我慢かな。


由比PAから西を望む。天候がよくなる気配、まったくなし。

 休憩ストップしても濡れるだけなので、そのまま一気に静岡県を走り抜けました。幸い、それほど速い流れでもなかったので、追い越し車線をキープするだけで、意外に早く浜松に近づいてきました。約1時間後に磐田の手前にある遠州豊田PAに到着。西の空が明るくなってきたのが嬉しい。雲も高くなってきたのでここで雨装備を外しました。
 本来、浜松西ICで高速を降りて浜松市内に入ろうと思ったのですが、予定より1時間以上早いペースだった(注:私の立てる計画には元々かなりの時間マージンを取っています)ので、計画を修正しました。


遠州豊田PAにて。予想を上回る早い時間でもあり、計画を柔軟に変更。

 予定より一つ先の三ヶ日ICで東名を降り、R301で浜名湖西岸を南下して海沿いに出てみました。残念ながら浜名湖ではいい景色のスポットを選べず、あまり良い写真は撮れませんでした。かなり海に近づいたところで、ようやく公園があり、そこで休憩ストップしました。でもここからの眺めは、あまり良いとは言えないですね。真ん中にある橋が東海道新幹線の橋、日本の大動脈です。


見えているのは日本の大動脈、東海道新幹線です。

 そこから海沿いのR1バイパスで、浜松市内に向け戻っていきました。浜名バイパスは直線が長く、エンジンの伸びを満喫できる道路です。浜名湖大橋からは太平洋・遠州灘の荒々しい波が見えていました。数キロにわたって砂丘と平行して走行しましたが、高速で走れるせいか九十九里浜とはまた違う趣きです。
 途中からR257で分岐し、浜松市街地を通り抜けました。ところが駅前で天候が悪化し、雨が降り始めました。そこそこ強く降ってきたので、急遽雨装備に再び換装。この後も雨は一向に止まず、結局山間部の入口にある天竜市まで降り続きました。
 これから人里を離れていくので、ぎりぎりまで引っ張り天竜市で給油しました。ここからは天竜川沿いに走っていくことになります。


いよいよR152で北上開始。天竜川はかなり濁っています。

 ちなみに、ここで面白い標識を発見しました。それが下の写真です。どうです? 「行ってみたい」と思いませんか? 空気はあるのでしょうか!?


「是非行ってみたい」と思えるところ?ですね。

 そこからしばらく進むと、川幅はだんだんと狭くなって、渓谷の趣きが出てきます。これまで雨が降り続いたせいなのか、流れは豊かで水はすっかり濁っていました。山肌にはもやがかかっていて霧雨状態。こういう方がバイザーが細かく濡れて走りにくい。


道は渓谷の趣きになってきました。

 その先では人工の構造物があって、濁った水が大量に吐き出されてきていました。その上流側では水は比較的薄いエメラルドグリーンですから、どうやら発電に使った水がここから排出されて、それが濁りの主因だったようです。ということは、ダム&発電所が近いことを意味しているに違いない。その排出口の隣には滝があり、大きくはないものの見事な流れです。


佐久間発電所の排出口か? ダムは近い!?

 地図で確認すると、佐久間ダムはR152から5〜6km西に入ったところにあることになっていました。めったに来れるところではないので、そちらにも行ってみました。R473で分岐して佐久間町方面に進むと、道は1.5車線路になって路面は良いものの非常に走りにくかった。思った以上に時間がかかりましたが、佐久間町の中心から山に分け入ったところに、ダムがありました。
 面白いことに、トンネルの中に待避所があって、そこに「←展望台」という表示が出ていました。正直「こんなところに?」と思いましたが、物好きな性分なので行ってみることにしました。手掘り感満点の横孔を抜けると...正面にど〜ん!

 
トンネルの退避所にバイクを停めて、手掘り感満点の道を進むと...


佐久間ダム、大迫力でした。戦後復興の象徴だそうです。

 佐久間ダムでしばし休憩した後、来た道を戻って再びR152に出てきました。ここから静岡県の水窪までは、再び渓谷沿いに走っていきます。道はやや狭くなりますが、交通量が少ない(というよりこの天気では皆無に近い)ので、快調に走行できました。雨は降ったり止んだり霧雨になったり。
 ところが、ある谷を越えるといきなり立派な道路が現れました。こんな山奥になんでこんな道が?と思わずにはいられない状況です。


インターチェンジ式の構造物に、立派なトンネル。何でこんな山奥に?

 この区間は三遠南信道の一部として建設されたそうで、全線開通の暁にはその一部に組み入れられるとのこと。そうは言ってもこのご時世、全通するとはにわかには信じがたい。
 さて、R152は二つの分断未通区間を抱えていますが、その一つが「青崩峠」です。ツーリングマップルには「あまりの崩落の激しさに日本のトンネル技術が敗退」と書かれているほど。残念ながらこの部分は歩いて越えるしかないのですが、それを補うのが兵越林道です。こちらは全線舗装され、オンロードバイクでも問題なく走行できます。
 峠の上には静岡県・長野県境の標識が出ていましたが、それとは別に「国境」と書かれた看板が立っていました。なんでも国境を綱引きして決めるのだそうです。じゃあ、本当の県境はいったいどこなの?


第一の分断区間は兵越峠で越えます。謎の国境あり。


兵越峠の長野側。天気が悪く何も見えない。無念。

 兵越林道を長野側に降りると、道は再び快走路に変わります。幸い、この辺りから北側の空は明るくなってきていたので、ここで雨装備を解きました。長野県に入ったこともあって、このまま天気が好転してくれるのを望むばかりでした。
 さらに北に約15km進むと、第2の分断区間にさしかかりますが、ここも兵越林道と同じく、蛇洞林道という舗装路で迂回が可能です。


第2の分断区間に突入。通行止めの標識が哀愁を誘う。

 途中、しらびそ高原に向かう分岐があったので、そちらに入ってみました。ここの山頂部は「日本のチロル」と呼ばれているそうで、夜であれば星空が非常に美しいそうです。急勾配で坂を登って行くと、どんどんガスが出てきました。標高もかなり高くなってきていそう。また停まったらエンストしちゃう!?


ガスが濃くなってきました。晴れていれば最高だったのに...。

 登りきったところに峠と、山小屋というか大きな施設がありました。しらびそ峠の標高は1,833m。ここでも我がVTR1000Fはアイドル不安定で、やっぱり停止後すぐエンストする有り様でした。ここもガスで覆われていて、背後にあるはずの南アルプス連峰の2,500〜3,000m級の山の雄姿は、まったく見ることができませんでした。眺めが見られなかったのはとっても残念。でも、こればかりはどうしようもないですね。


しらびそ峠にて。「絶景ツーリング」の本でも紹介されていたところ。


「日本のチロル」に合わせたデザイン。キャンプ&登山基地なのでしょう。

 しらびそ峠を降り、再び蛇洞林道で北上しました。蛇洞林道の北側終点、地蔵峠を越えると川の流れる方向が北向きに変わります。このあたりは渓谷沿いに細々と走っていくところですが、キャンプに来ているのかちょっとした広場にクルマがよく停まっていました。水もきれいそうです。


渓谷が美しい。キャンプするにはいい場所かも。

 地蔵峠から北の区間は中央構造線に沿って谷間をひたすら走っていきます。ダイナミックな地形ですが、景色的にはひたすら同じところを走っているようで、あまり面白くはないところです。クルマもほとんど走っていないので、集落のないところでは孤独感満点です。
 さらに北には、今度は標高1,424mの分杭峠がありました。道は1〜1.5車線で、路面が荒れている上にウェットという苦しいコンディション。峠からは北側が開けて見えましたが、そこからの眺めもまた山深さを実感できる風景でした。


やはり山深い。目指す高遠までは、まだまだありそう。

 分杭峠の狭く長い下り坂をそろそろと降りると、谷が少しづつ広がってきました。途中からは道も快走路に変化し、一気にスピードUP。しばらくすると美和湖が見えてきました。この湖はダム湖で、ここまで来れば高遠まではすぐです。時間を確認して宿に18:00に着けるかどうか再検討したところ、残り距離から見て大丈夫そう。当初の予定通り高遠から西進し、伊那市を横断して権兵衛峠を越え、奈良井宿に向かうことにしました。


ようやく高遠に到着、活動時間は残り3時間。

 高遠からはR361に乗り、まっすぐ西に向かいました。高遠から伊那までは10kmほどなのですぐです。伊那では天竜川を渡り、正面には中央アルプスが迫ってきました。2005年の初夏に来た時にはR361は災害通行止めで通れませんでしたが、昨年新たに権兵衛トンネルが開通し、R19に出るのにずいぶん時間が短縮されたそうです。そこで、この道を使って木曽路に出ることにしました。


天竜川の上から、今まで走ってきた山の方向を見てみました。


今度は中央アルプスだ! このどてっ腹をトンネルで抜け、木曽路に出ます。

 権兵衛トンネルは長さ4,467mで、高規格で造られているため流れも速く、意外に短い時間でR19まで出られました。ただ、峠の区間はやはり霧雨状態。
 R19に合流してからは北上して行きますが、その途中に奈良井宿と呼ばれる場所があります。ここは町全体が古い宿場町となっていて、国道から一本入った筋がそのまま江戸時代のような街の雰囲気になっています。驚くことに通りの全長は1km弱ほどあるようで、私は結局端から端まで行くのを断念したほど。ちょっと休憩所にでも寄ってお茶でも飲んで行きたいところでしたが、ここで雨が本格的に降り始めたため断念しました。17:00近くなって辺りも暗くなってきたので、さっさとバイクに戻り出発することにしました。


奈良井宿のメインストリート。風情があります。


こちらもいい雰囲気ですね。これが1km近く続くんです。

 奈良井宿を出発し、R19を塩尻に向け北上しました。塩尻の市街地を抜けると、1日目の宿泊地である松本市に入ります。ところが、ここで激しい夕立に遭遇してしまいました。やむなく側にあった駐車場に一時退避して雨装備に変更。しかし、夕方の渋滞が始まりなかなか前に進めない...。結局10kmを30分以上かかってしまい、しっとりと濡れてしまいました。なんとか松本市街地に入り地図と記憶を頼りに宿にアプローチ。幸いにも迷うことなく到着でき、側にあったGSで給油を行ってから宿にチェックインしました。時間はちょうど18:00で、見事にオン・タイムでした。
 宿の近くには浅間温泉があったので、夕食がてら外湯に入りに出掛けました。浅間温泉までは歩いて約15分の道のりでしたが、気温もそれほど高くなく、風があったのでTシャツ1枚で気持ちよい散歩になりました。
 温泉街ではホットプラザ浅間に入ってみました。入館料800円とやや高めですが一般客にも敷居が低そうで、色々な風呂に入れるのが魅力。露天風呂はとても気持ちよかった。


ホットプラザ浅間です。スーパー銭湯の温泉版というべきか?

 本日の走行、615.4km(うち一般道364.3km)。雨中走行が多かった分、いつもよりはちょっと疲れてしまったかな。宿はシングルの部屋が広く、ベッドも大きめだったのでゆっくり休めました。

 2日目は8:00に出発、宿の手作り朝食は美味しかった。幸い、この朝の松本市内の天候は晴れ。風はやや強いのですが、山の稜線は比較的はっきり見えていたのであまり雨の心配はしなくてよさそう。ただ、山に向かうので天候は移ろいやすいはず。いつでもカッパが出せるように、タンクバックの中に入れておくことにしました。


晴れて良かった。今日も安全運転で行きましょう!


松本市街。正面には北アルプス。今日はこの西側に向かいます。

 松本市からR158で高山方面に向かいました。この道は乗鞍・上高地を抱えるため、大型バスや路線バスがひっきりなしに通るため、あまりペースが上げられません。おまけに路面状態も悪い上にタイトなカーブも多いので、常時40〜50km/hで走れればラッキーなくらいです。幸いこの日は流れもそこそこで、あまりストレスなく走り抜けられました。
 長野・岐阜県境をまたく安房峠道路(トンネル)の手前で旧道に入りました。以前来た時にはトンネルで高山に抜けましたが、インターネットサイトで旧道も趣があると紹介されていたので、是非行ってみたかったのです。さすがにこちらに入ってくる車は皆無でした。


いよいよ安房峠に向かって登って行きます。

 旧道の道はかなりタイトで、九十九折れでどんどん高度を上げていきます。朝方まで雨が降っていたのか、路面はハーフウェット。このため倒し込みは少し控えめにして、アクセルオープンのタイミングを少し遅らせてスリップダウンを防止しました。ある程度上がったところで振り返ってみましたが、山谷と空しか見えない。やはりアルプスのど真ん中、山は非常に険しいところです。
 さて、トンネルが開通するまではこの旧道が松本〜高山を結ぶ唯一の道路だったわけで、この道を大型バスが行き来していたというから驚きです。かなりの時間がかかった上に、運転は相当大変だったでしょうね...。


高度が上がってきました。山が非常に険しいところです。


安房峠には峠の茶屋がポツリ。ここからいよいよ岐阜県に突入。


岐阜県側の道。こんなところを大型バスが行き違ってたなんて信じられない。

 安房峠を下り、R158からR471で神岡方面に向かいました。国道番号が大きいので走っている車も少ないかと思っていたのですが、違っていました。実は松本〜富山を走る場合、高山市街を回避できるので使い勝手がいいのか、車が多くて走りにくかった。
 途中、奥飛騨温泉郷でちょっと寄り道してみました。インターネットサイトとツーリングマップルで紹介されていた露天風呂に入ってみようと思ったのです。栃尾温泉という川沿いの里にオートキャンプ場があり、その傍らに目指す風呂はありました。料金は志料200円だそうで、ボックスに入れて脱衣所に向かいます。先客がいたので残念ながら風呂の写真は撮れませんでしたが、少しぬるめのお湯に浸かって手足を伸ばしました。ちょっと遅めの朝風呂というわけです。すっかりくつろぎモード。
 ところがここで波乱、いきなり雨が降り出してきたのです。どうせ濡れるんだからという考え方もあるでしょうが、せっかく温もったのにいきなり急冷なんてもったいない。もっとゆっくりしたいのを切り上げました。誰かの恨みかな?


露天風呂、荒神の湯です。朝からくつろぎモード。

 その後、R471でさらに西に向かい神岡町まで出てきました。ここは「スーパーカミオカンデ」で有名になったところです。この市街地で給油した後、少し戻って高山大山林道に入りました。ガソリンはあまり入りませんが、この先GSは当分なさそうなので、念のために満タンにしておきました。
 高山大山林道はすばらしかった。全線2車線。車はいない、路面はスムーズ、高速コーナーからタイトコーナーまでバリエーション豊か、距離も長いというまさに理想的な道でした。登り坂ではハーフウェットだったので控えめに攻めましたけど、充分に楽しめました。まさにベストワインディングの一つと言える道でした。また、山吹峠を越えて坂を下って行くと、牧場が広がる中を道は駆け抜けて行きます。ここからは開けた風景が広がるので、ゆっくり眺めを見ながら走っても楽しいところです。


高山大山林道は全線こんな感じ。ハイスピードで走れる楽しい道です。

 高山大山林道の終点が岐阜・富山県境で、かつ有料の有峰林道の南側入口になります。有峰林道は3つの主線に2つの支線で構成されていて、総延長は50kmを越えるというスケールの大きな林道です。全線舗装されているため、オンロードバイクでも問題なく走行できるとのこと。残念ながら主線の一つががけ崩れで通行止めになっていたので、そちらの走行はできませんでした。
 料金所を過ぎると、道は有峰湖に向けて下って行きます。道幅は比較的狭いのですが、路面はスムーズだったので安心して走れました。また、料金所では注意書きをもらったのですが、野生動物が非常に多いところだそうです。スピードは控えめにしないと、危ないかも...?


入口のトンネルと料金所を過ぎると、有峰湖が見えてきました。


とはいえ林道なので、道幅は狭い。対向車注意。


開通記念碑の前にて。緊張を強いられるので適度の休憩が必要。


野生の猿に遭遇! かなり警戒していました。


有峰湖に近づいてきました。エメラルドグリーンの湖面がきれい。

 湖の西側をそろそろと北上して行くと、やがて有峰ダムに到達しました。ダムの上は信号による一方通行でしたが、そこから見る下流の峡谷は深くてダイナミック。ダムを渡ると登って行く道があり、その途中に展望台がありました。そこから見た風景は非常に美しかった。完全に晴れていたら太陽が反射してもっと美しかったことでしょう。


展望台から見た有峰湖。美しいダム湖です。


右側手前にあるのが渡ってきたダムの堰堤です。

 展望台からは来た道を引き返し、今度は富山方面に降りて行く道を進んでみました。こちらの道は今までの雰囲気と全く違い、断崖絶壁の道。路面も荒れている上に所々で工事中。かなり走りにくくて怖いぐらいでした。慎重に下って行くと、谷の向こうに少し広い土地が見えているのを発見。おお、ついに富山平野に近づいてきたのか!?


深い谷に強引に作られた道。落ちたら...って想像したくない。


谷間の向こうに開けた地を発見。ついに日本海に近いところに出てきたか?

 そのまま道を進むと、立山黒部アルペンルートにつながるr6に出てきました。残念ながら立山道路・立山黒部アルペンルートは一般車通行止めのため、そちらに向かうことはできません。しかし、その北側にある称名滝には行けるとのことでしたので、そちらに向かいました。その途中では、立山連峰の雄大な姿を垣間見ることもできました。


立山連峰の山でしょう。名前まではわかりませんが、雄大な姿が垣間見えました。

 称名滝に近づくと、断崖絶壁が右側から迫ってきました。ものすごい圧倒的な壁がそびえている、という感覚です。こんなにスケールの大きな地形、久しぶりに見た...。日本とはとても思えないですね。


称名滝の手前にある断崖絶壁。かなりの圧迫感。

 道は途中で終わっていて、駐車場になっていました。目指す滝には徒歩で約1.3km進まなければなりません。距離から見て20分ぐらいだと思っていたのですが、甘かった。ずっと坂を登って行かなければならないので、思ったよりも時間がかかりました。結局片道30分近くかかってしまったみたいです。着いたところで見えたものは...! すばらしい大瀑布でした。落差は350m、展望台まで水飛沫が飛んでくるほどの迫力でした。


駐車場から滝まで登り坂1.3km。運動不足の身にはつらいよ...。


落差350mの大迫力! 疲れも吹き飛びました。来て良かった。

 称名滝からは来た道を引き返し、富山方面に向かって北上しました。走行しているとまわりはどんどん開けてきました。一面黄金色に染まってきていて、一部ではもう刈り取りも行われていました。水田地帯のど真ん中でしばし休憩。いままで「開けた場所」っていうのがほとんどなかっただけに、なんか新鮮で開放的な気分になってしまう。
 休憩の後、再び北に向けて走り始めましたが、その先に深く青い帯を発見、もしかして...!?


富山平野に出てきました。今まで山深いところばかりだったので新鮮。


おおっ!? もしかして富山湾ですか?

 地図も見ずにただひたすら北上すると、やがて海岸線に出てきました。昨日の朝、浜松の太平洋・遠州灘を見てから一日で富山湾・日本海に到達です。しかも、高速を使わず山岳道路オンリーでの走破なので、非常に感慨深い。地図で見るとまさにアルプスに沿って縦断していることになります。達成感は大きいぞ、なんの役にも立たないけど。


ゴ〜ル! ついに太平洋→日本海、ニッポン縦断しました!

 実はこの段階でまだ15:00になっていませんでした。この日の宿は富山で、チェックイン予定時間は18:00。まだ行動余力があるので、特にあてもなく西に向かいました。幹線国道のR8は特に整備も行き届いているので、快調に西に進んでいたところ、「金沢 58km」の案内表示を発見。この距離なら充分17:00前に金沢に到達できるはずと計算し、そのまま行っちゃいました。
 ところが、石川県に入る直前から雨に遭遇。それほどひどくはなかったので、雨装備にしないまま走行を続けました。その結果16:40にJR金沢駅に到着。私は11年前、震災で亡くなった大学の友人の弔いに来て以来の金沢です。ただ、その時とは風景は一変していました。


証拠写真、JR金沢駅です。なんだこの建物は!?

 行動可能時間はあと1時間なので、ここから北陸道で富山に戻って行くことにしました。金沢市街地で給油を済ませて北陸道金沢東ICから入線し、富山ICまで一気に走行しました。さすがに高速だとあっという間に着いちゃいます。
 富山に近づくと、ちょうど夕立の最中。昨日の松本もそうでしたけど、どうも最近この時間帯が鬼門になってる...。ただ、メッシュジャケットで風通しが良いことから、上着はすぐに乾いてしまうため、それほど苦にはなりません(それよりグローブやシューズの中が乾かない方が気持ち悪い)。
 今回、宿はJR富山駅から歩いて5分のところにしていました。この日も時間はオン・タイム。チェックインして荷物を置いた後、お土産と食事に富山駅まで出掛けました。ただし、今はダイエット中なのであまり食べられない。ちょっと辛いけど、ここで負けたら意味がない。がまん、がまん。


JR富山駅前。夕食と買い物を楽しみました。

 2日目の走行、379.8km(うち一般道325.9km)、積算では995.2kmとなりました。

 3日目は7:00スタート。いよいよ最終日、自宅に向かって戻って行きます。ただし、高速でまっすぐ戻ったのでは面白くない。新しい道を開拓しつつ戻って行くことにしました。直前の天気予報では予定ルート近傍は概ね降水確率10%程度。今日はもう雨にあわずに済むはず...だったのですが。


いよいよ最終日。最後まで気を抜かずに走るべし。

 出発して10分、まだ富山市内にいる間に、いきなり雨が降り始めました。しかも、これから向かう東側の空を見ると、雨雲が低く垂れ込めている。おいおい、降水確率10%...って、もう降ってるではないかっ!? どうなってるんだ気象庁、説明してくれ。


滑川にて。この先の天候もあまりよくなさそう。どうなってんの?

 結局、この雨はしとしと降り続いてまったく好転の兆しなし。北陸は「弁当忘れても傘忘れるな」って言われるぐらいだというのを、思い出しました。
 出発から約2時間弱で、県境を越えて新潟県に入りました。そこにあるのが険しい地形で有名な親不知です。途中で断崖を見渡せる休憩所に寄ってみましたが、確かにものすごいところです。ここを北陸道・R8・JRが通っているのですからすごい。今まで高速とJRで通ったことはありますけど、こんなにすごい地形だとは思っていませんでした。道路もタイトコーナー+激しいアップダウン。洞門と橋の繰り返しで圧迫感もかなりのもの。でも、走り慣れている?大型トラックがかなりのスピードで走るのが驚きです。


断崖絶壁が続く。昔はどうやって通ってたの?


天気もよくなる気配なし。ずっと濡れっぱなしだよ...。


間に広がる小さな砂浜。ほっと一息つける場所です。

 親不知を過ぎると、糸魚川市です。この辺りは日帰りツーリングでよく訪れる(というより先週も来てる!)ところなので、勝手知ったる道というわけです。今日もR8で上越市まで行く予定なので、向こう50kmは全く同じ道を走ることになります。しかも、天気もかなり似てる...デジャヴな感覚です。


糸魚川市に到着。この次の信号が前回写真撮ったところ。

 上越市までは約1時間の行程です。R8は流れが良いので、60km/hぐらいで淡々と走行しました。相変わらず天気はずっとしぐれ模様が続いて、しょっちゅうバイザーを拭かないと雨粒で見えなくなってしまうほど。こういうのが一番困る。
 上越からはR18で南下、途中から東に折れ、r95で関田峠に向かいました。ツーリングマップルによれば、天気のいい日は能登や佐渡まで見渡せる峠なんだそうです。この日は天気が良くないので眺望は望むべくもありませんが、峠道は望むところ。山に入る前に給油を行い、坂を駆け上がりました。


いよいよr59で関田峠に向け上がって行きます。が、その先には雲が...。

 標高が高くなってくると、どんどんガスが出てきました。特に峠(1,100m)の付近では、ものすごいガスで視界は50mもない状態でした。正直、かなり恐怖を感じるほどでした。路面は悪くないのですが、先々が全く見えないので30km/hぐらいでそろそろ進むのがやっと。ただし、登りも下りも急勾配だったので、霧の深い区間は15分ぐらいで抜けられたのは幸い。でも、心細さ全開でした。


光ヶ原高原の入口。景色どころか道も見えん(苦笑)。

 r95の急勾配を下ると、長野県飯山市に出てきました。こちらは何と晴れていて、水田の黄金色がまぶしい。どうもこのあたりが天気の境目になっているようで、そこから見た南側の標高の高いところもあまり雲がかかっていないようです。ここから先は走りも期待できそう。ようやく思い切りアクセル開けられる!


ようやく太陽に出会えた! 長野県飯山市です。


千曲川を渡り、志賀高原道路の入口・中野市に向かいます。

 飯山市の千曲川沿いのところから、川を渡ってR403でスキー場の間を駆け抜け、R292志賀草津道路に出ることにしました。R403はまだところどころ狭いところもあって、走りにくかった。それでも抜きどころも多少あったので、あまりロスなく峠をクリア。走り慣れたR292に出てきました。
 R292では快調に渋峠に向かって駆け上がって行きました。遅い車もVTRのパワーを活かして短い区間でパス、あまり引っ張られることなく高度を上げて行きます。横手山を過ぎたところでは、北アルプスの美しい姿が遠く望めました。


横手山から西方向を見る。光がまぶしい。

 その先にある日本国道最高地点、渋峠(2,172m)からも、すばらしい景色が楽しめました。ここはいつ来ても違った景色を楽しむことができます。残念ながらこの日はギャラリーが多くて、あまりゆっくりはできませんでした。


こちらは渋峠から白根山を望む。ダイナミック。


こちらは草津方向...かな。緑がまだまだ深い。

 渋峠を過ぎたところからの分岐で、万座方向に進みました。R292で草津を経由し、R146で軽井沢に出ることもできますが、信号や遅い車に引っ張られることが予想されます。これまでかなり走ってきているので、やはり締めは快調に走りたいということで、有料の浅間−白根火山ルートを全線走って帰る事にしました。万座ハイウェー・鬼押ハイウェーに、前回断念した白糸ハイランドウェイのフルコースです。


万座ハイウェーで、軽井沢を目指します。


鬼押ハイウェー、浅間山の前にて。自宅まであと200km。

 今回、初めて走ったのが白糸ハイランドウェイです。ところがこの道、路面荒れ放題のものすごい道で、「これで金取るのか?」と思ったほど。おまけにバスも走っていて、とても快適にドライブを楽しめる道ではない。これでお金取るんだったら、せめて路面の補修ぐらいして欲しいものです。かなり期待外れの道でした。もう二度と走りたくない。


こんな道でお金取るのか? 長野県よ、有峰を見習いなさい。

 白糸ハイランドウェイを抜けると、旧軽井沢に出てきます。平日だというのに、まだ大分賑わっていました。
 さて、この時点で14:00となりました。通常ならあと1時間ほど粘りますが、翌日は仕事ということもあり、今日はここで切り上げることにしました。軽井沢の市街地を南北に縦断し、碓氷軽井沢ICから上信越道で帰路につくことにしました。


軽井沢に到着しました。この時点で14:00、そろそろ限界です。

 実は、この時点でまだ昼食を摂っていませんでした(というより、食べられるようなポイントがなかった)。そこで、横川SA上り線にあるおぎのやで釜めしを食べてから帰るように計画変更。ダイエット中なのは、夕食をセーブするということで勝手に納得。注文したのは釜めしにみそ汁・サラダが付いたフルセットメニューでございます。美味かったけど、願わくばもう少しホカホカだとありがたい。


横川SAにて。自宅まであと120kmというところ。


夜を控えて昼を豪勢に。みそ汁サラダ付きフルコース。

 横川SAで最後の給油を行い、あとは淡々と東に向け走行。藤岡JCTからは関越道に合流し、一気に南下しました。さすがに平日の中途半端な時間のせいか、それほど混んではいませんでした。
 16:00前に、最寄りの三芳PAに到着しました。ついに帰ってきてしまいました...。旅の終わりとは、非日常の終わり。いつも切なく感じてしまいます。


最寄りのPAに到着。ついに戻って参りました。

 所沢ICで高速を降り、16:00過ぎには自宅に到着しました。現実に引き戻される悲しい瞬間です。
 今回は海沿いを長く走ったこともあって一応車体を水洗いしておきました。また、雨中走行が長かったこともあって足回りはドロドロ。会社に行ったら、高圧洗車で洗わなくてはなりませんね。お疲れさま、VTR。ノートラブルで無事に旅が終えられたことに感謝です。


2泊3日、1,400kmに及んだツーリング終了。楽しかった。

 最終日の走行、429.9km(うち一般道308.2km)でした。
 3日間の総走行距離は1,425.1km、うち一般道走行は何と998.4km。大台にはほんのちょっぴり足りなかったけど、中身の濃い旅でした。掲載した写真の多さがそれを物語っています。
 今回の旅は、一応コンセプト通り「悩んでる暇もない」ものでした。スポーツ走行・雨中走行・悪路走行に無視界走行(!)など、集中しないと切り抜けられない局面が多かったというだけなんですけどね。また、期間を通して雨に翻弄され続けてしまった感がありますが、これもまたいい経験ということで。
 さぁ、現実逃避モード終了です。明日は7時から仕事に復帰(タフなのが取り柄です)!


中身の濃い旅でした。写真の多さがそれを物語っています。

2007.09.08

ただひたすらに孤独と戦う

 台風9号が金曜日に首都圏を直撃しましたが、幸い土曜日は朝からまずまずの天気だったので、出掛けてきました。今回の目的は軽井沢北方にある白糸ハイランドウェイと、万座から長野県須坂市に抜ける上信スカイライン、そして上越から湯沢・塩沢方面に抜けるR405の走行です。
 えらく早く目が覚めてしまったこともあり、出発をやや早めて5:30にスタートしました。


北西方面に向け出発。日の出が遅くなってきました。

 ところが、所沢ICから関越道に乗る直前に問題発生。台風による災害通行止めが上信越道に発生していました。通行できない区間は富岡〜下仁田。これが使えないと碓氷峠の手前まで行けません。このため予定を急遽変更して白糸ハイランドウェイ行きを断念し、群馬県を横断して直接草津に向かうことにしました。それにしても上信越道は災害に弱い。
 渋川伊香保ICで関越道を降りR18とR353で中之条町へ。中之条町からはR145で西に向かいます。R145は吾妻川と並走していて吾妻渓谷では渓谷美が楽しめるのですが、この日は台風の影響で水量が非常に多く、まさに濁流状態でした。
 草津の手前でちょっと早めに給油を行った後、R292志賀草津道路に入って白根山に向けて登っていきました。早朝に出て寄り道なしで走ってきたので、この日は交通量も少なく快適。路面には所々枝葉が落ちていたので慎重に走る必要がありましたが、楽しみをスポイルするほどではなかったです。車が少なかったこともあり、時々路肩に停車して写真を撮ることができました。


車がいなかったので、殺生川原の写真撮れました。硫黄の匂いが強烈!


山肌はまだかろうじて緑。この後一気に肌色に近づくのでしょう。

 白根山の湯釜を過ぎ、山田峠の手前から万座方面に向かうr466に入りました。この道は5月に来たところですが、今回は逆向きの走行です。万座温泉までは急激な下りですが、その先で道は一気に高度を上げて行きます。ここまでの道は片側1車線の舗装路。路面はちょい荒れ気味ですが、それほど走りにくいほどではありません。ところがやっぱりというべきか、しばらく走ると1.5車線に道がヘタれました。ここからどんどん人里を離れます。


来た! 1.5車線区間。ここからが本番だ!

 そのまま西に走り続けると、道の名前は上信スカイラインとなります。万座峠(1,830m)に差しかかると峰の尾根に出てきて、展望が開けてきました。下の写真は北側の志賀草津道路方面を見ているところ。意外に険しいことがわかります。この辺りの標高は2,000m近いですから、私のVTR1000Fはアイドルを打てなくて、写真撮影で停車するたびにエンストしてしまいました。もうちょっとアイドル回転上げとかないと苦しいなぁ。燃調も少し濃い目に振れてるような気もする。


左手の山肌に見える筋がR292志賀草津道路です。

 さらに進むとT字路がありました。ここを南に行ったところが長野・群馬県境の毛無峠(1,823m)になります。まだ時間も早く、Webサイトの紹介によれば風景を楽しめそうなので行ってみることにしました。こちらは道もかなり荒れていて、ところどころ土砂流出の跡があるような状態。それでも走ること数分で目指す峠に到着しました。そこからの展望は...すばらしかった。この日は誰もいなかったこともあり大パノラマを独り占め、なんですけど孤独感満点で何となく寂しい...。


群馬県側を見る。昔は硫黄鉱山があったそうで、荒涼。


こちらは毛無山。風が強くて樹木が育たないそうです。


後方右手の山が破風岳。緑の絨毯がきれいでした。

 毛無峠から群馬県側にはまともな道がなく降りられません。そこで来た道をまた戻り、長野県側に降りて行きました。長野県側の道も1.5車線のワインディングですが、路面状態は良好。きつい勾配で須坂に向けて下って行きました。この区間も対向車ゼロ。
 須坂駅で一休憩し、道を確認して長野市に進路をとります。このあたりは何度も来ているところなので、スムーズに市内を通過できました。この後は白馬方面に向かうのですが、今回はr506浅川ループラインを走ってみることにしました。こちらは7月に走行した戸隠バードラインの代替ルート的な扱いになっている道です。名前の通り長野市から登って行くところに大きなループ橋があり、1分近く連続高速右旋回するという面白い体験ができました。迂闊に停まると遅い車に前を塞がれる恐れがあるので、残念ながら写真は撮らず。そのままr506を走ると、飯綱高原に出てきました。ここから道は戸隠バードラインに合流します。


飯綱高原です。道はここからバードラインに合流。

 バードラインで、さらに西へ。バードラインはアップダウンを繰り返しながら高原の中を走って行く道で、林の中を伸びる爽快なストレートが魅力。見通しはあまりよくないのが難点ですが、のんびり流すには気持ちの良い道です。標高も比較的高いところなので涼しかった。


伸びるストレート。路面はちょっと荒れていますが...。

 バードライン終点からはr36でいつもの鬼無里に向かいます。この道も1.5車線の狭い道。途中の大望峠では展望台があったので寄ってみました。これまで数回この道は走っているのですが、いままでこの展望台には気づきませんでした。そこから見た風景が下の写真。なんて山深いところなんだ...。このあたりではかなり雲が多くなってきました。ちょっと天気も心配です。


西側を見ています。向こうには北アルプス。


こちらは北側。西岳(2,030m)ですが、雲に隠れて見えず。

 1.5車線の狭路をだらだらと下って行くと、鬼無里に出てきました。ここにある「蕎麦処 鬼無里」でいつもの昼食です。メニューが見直され、私の一押し「もりそば&炊き込みご飯」が値下がりしていました。これは嬉しい。ここの魅力はそばもご飯も素朴な味。薄味系が好きな私にとっては貴重な食事スポットです。すっかりお気に入りです。


いつもの昼食。量的にはちょうど良い。

 蕎麦処からの出発間際、パトロール中のおまわりさんに声をかけられました。
 「こんにちは、どこまで行くの?」
 「白馬に出るつもりです。」
 「この先は道悪いから気をつけてねー。熊も出るから。」
 「...! ホントに?」
 「まぁ、昼間だからね。ハクビシンぐらいなら会えるかもよ。」
 なるほど。
 鬼無里からR406で西に向けて走行。この道は路面が悪いものの比較的幅が広いので走りやすい。車も走っていなかったので、乗り方をちょっと工夫してみました。身体の軸をイメージした上で積極的に上体移動をかけることでより深く曲がれるようになりました。その反面、右に左に上体を動かさねばならないので素早い切り返しにはちょっと不利になり、疲れも増します。状況に応じて乗り方は使い分ける必要がありそう。ここでも対向車には遭遇せず。
 峠にあるトンネルを抜けると正面に白馬岳が出現します。ここは展望スポットですが、この日は他に来訪者なし。じっくり眺めを楽しめました。雲は多かったけど。


トンネルを抜けたら正面に白馬岳。

 白馬からはR148で姫川に沿って北に向かいました。姫川は日本の大地溝帯、"フォッサマグナ"の西側北方にあたる部分で、非常に険しい地形が特徴です。道もトンネルやスノーシェッドでほとんど覆われ、景色が楽しめるところではありません。しかしスノーシェッドは数キロ続くところもあり、道そのものは走っていて面白い。路面は良いので大型トラックもかなりのスピードで走るため、前走車がいてもそれほどストレスを感じません。
 約1時間後に糸魚川市に到着。日本海とご対面です。


日本海に到着しました。全天曇り。


新潟方面を見る。海はかなり荒れていました。

 糸魚川市からはR8で上越市に向かいました。このあたりのR8は海に近いところをずっと走って行くのですが、この日は台風の余波なのか波が非常に高く、道のそばにある波消しブロックからは波が砕ける様子が見られました。その砕けた波が漂って、先の方は白く霧のような見え方をしていました。私にとっては新鮮な風景ですけど、こんな状況での走行では錆が心配。
 上越からはR18に乗り換え南下したものの、R405の分岐点がわからず5kmもオーバーランしてしまいました。給油をして地図を再確認、なんとか計画コースに復帰しました。これによって15分ほど無駄使い。
 R405は山を3つ越え、越後湯沢の西にある津南へと向かう道です。山に入ってすぐの牧村では道の周りに棚田が広がっていました。実にのどかな風景ですね。その一方、ちょっと雲が低くなってきたのが気がかりだけど...。


棚田のある風景。一面黄緑に染まっていました。

 R405を走っていると、狭い峠をいくつも越えることになりました。経塚峠、三方峠...。そのほとんどが1車線のブラインドコーナーの九十九折れ。勾配も結構きつくてかなり走りにくい。舗装は比較的良いのですが、台風が通り過ぎてからほとんど車が通っていない(道の悪さを考えると無理もないけど)せいか、小枝や葉がいっぱい落ちていて、走行にはかなり気を使いました。
 そんな道を走り続けて40分以上、ようやく少し広いところに出てきましたが車には1台も会わず、さすがに心細くなってきたので携帯電話のGPSで現在位置を確認。そうすると津南までまだ20km以上、関越道のICがある塩沢までは何と40km近く残ってることがわかってげんなり。おまけに天気はますます悪化の一途で...。


まだ残り20km? しかも、あの雲の中に突っ込むの!?

 実はそこからが強烈に長かった。路面は完全にウェットになって、ますます道は狭くなり小枝や落ち葉でスリッピー。排気量1,000cc V2エンジンのトルク変動は強烈なので、アクセル操作に気を使わないとリアが簡単に滑ってしまいます。こんなところで転倒した日には誰も来ないだろうし助けも呼べないというプレッシャーにさらされながら、それでもひたすらに津南を目指しました。最後の雁が峰峠付近の道は舗装されていたとはいえ、かなりの凶悪レベル。九十九折れも半端ではない走りにくさでした。長時間の超低速コーナー連続走行はかなり身体にもこたえます。なんか、今日はやたらと孤独と戦っている印象が...。
 ようやく津南に到着しましたが、そのままR117で少し十日町方面に走り、R353で塩沢町に抜けることにしました。しかし、最後の山越えである十二峠でついに雨が本降りになってしまいました。天気予報を単純に信じて雨装備を持ってきていなかったため、停まらずそのまま強引に走行続行。しかし、十二峠トンネルを抜けてもうすぐ塩沢...というところで、無念の工事片側通行をやってました。雨の降る中で信号待ち丸々2分。なんと無情なことよ。


無情にも、雨の中停車を余儀なくされました。

 塩沢に降りると幸いなことに雨は降っていませんでした。しかし、この時点で既に16:00を回っていたので塩沢石打ICより関越道に乗り、帰途につきました。驚いたのは関越トンネルに入るまでは雨が降っていたのに、群馬側に抜けると青空が広がっていたこと。やっぱり、日本海側と太平洋側では全然気候が違うことを今さらながら実感しました。その後は埼玉県に入ってから寄居PAで休憩した以外は、ただひたすら連続走行しました。
 なんとか自宅最寄りの所沢ICたどり着いた時には、もう18:00をまわっていました。あたりはすっかり薄暗くなってしまっていて、夏の終わりを実感。夕食を買って自宅に戻ってきた時には18:30、終わってみれば13時間耐久ツーリングになってました。
 本日の走行、655.0km(うち一般道394.9km)。消費ガソリンは32.8Lで、平均燃費は20.0km/Lでした。白糸ハイランドウェイを走れなかったのは残念ですが、それをやっているととてもR405の走破は無理でした。今回はちょっと計画の立て方に無理があったかな。次回はその点を修正する予定です。


地図で見るとそうは思えないが、一般道も400km弱走ってます。

2007.09.01

北関東の名道をゆく

 前週の天気予報ではこの週末雨が降る予定だったので、ツーリングはしないつもりでした。ところが金曜日朝の予報では一転して曇り、雨は降らないとのことだったので予定を変更しました。金曜の朝に急遽計画を立て、行ってくることにしました。今回のテーマは「北関東にある名道を走る」です。
 5:40に自宅を出発、所沢ICから関越道で北上しました。夏休み最後の週末なので混んでいるかと思いきや、意外に車は少なく順調に走行。約1時間で赤城高原SAに到着しました。


この先の沼田から一般道走行に入ります。

 沼田ICで関越道を降り、R120で日光方面に向かいました。早朝だけあってまだ車も少なく快調に走れました。群馬県内ではいくつか峠を越えるものの、それほど見どころは多くありません。高原地帯に入ってくると道はワインディングの趣が出てくるので、ここは走る楽しみに徹しました。
 金精峠のトンネルを抜けると栃木県に入ります。このトンネルを抜けたポイントからは男体山と湯湖が正面に開けて見えます。ちょっと感動する風景です。 


正面には男体山。この坂を駆け降りると戦場ヶ原です。

 R120金精道路の坂を駆け降りると戦場ヶ原に出てきます。このあたりは高山植物で有名なところですが、もうシーズンを逸しているのでただひたすら緑なだけでした。気温は高所だけあってかなり涼しく、メッシュジャケット+ポロシャツでは少し肌寒いぐらいです。それでもバイザーを少し開けて走ると気分は爽快に。澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みました。


戦場ヶ原のストレート。珍しく歩行者はいませんでした。

 華厳の滝の入口にあるガソリンスタンドで給油し、第一いろは坂を駆け降りました。残念ながら霧が出ていて景色は全く見えませんでした。もっとも180°ヘアピンが連続しているので、走っている限りは景色なんて楽しめる状態ではないのですが...。この日は他に車も全くおらず、自分のペースで走れたのが幸い。霧もそれほど深くなかったので、走行には全く支障ありませんでした。


霧に覆われたいろは坂。もうすぐ紅葉の季節ですね。

 麓の日光市街地に降りると、小雨が降っていました。ここで雨が降ってるということは、標高の高いところに上がるとさらに降っているか、霧が出ているかということになります。一瞬躊躇しましたが、ここまで来て諦めるのは嫌なので、再び北上しました。目指すのは「霧降高原道路」です。
 ここは有料道路でしたが、昨年から無料開放されたとのこと。写真で紹介されている風景は非常にきれいなので期待していたのですが...ご覧の通り。残念ですが、この状況も非日常的で面白い。


名前の通り、霧の深いところでした。視界50m弱。


ビューポイントの高さ130mのアーチ橋ですが...対岸すら見えない状態。

 標高の一番高いところを越えて北斜面に入ると、霧がだんだんと晴れてきました。そこに現れたのは一面に広がる牧草地。薄いグリーンの中には牛がいて、まるでその間を縫うように道路が伸びていました。もう少し天気がよければ、爽快な高原走行を楽しめるのでしょう。それにしても綺麗な風景でした。ここは天気が良い時にぜひまた来てみたい。


後ろの背景の中には牛も見えているのです。

 霧降高原道路は路面も比較的良く、道の雰囲気も開放的なのでゆっくり走るには楽しい道です。しかし、ホテルや牧場があるせいか、交通量が比較的多いのが難点でしょうか。走りを楽しむには少し物足りない。
 ただ、高原道路の北側のアプローチもなかなか楽しい道でした。路面がやや荒れているのが残念ですが、テンポよく走れるので苦にはなりません。道は一気に高度を下げ、鬼怒川の谷間に駆け降りていきます。r23では鬼怒川と並走しますが、小粒ながらも渓谷美を楽しめます。


鬼怒川の上流。ここでも立派に渓谷です。水が澄んでました。

 r23が日光と会津若松を結ぶ会津西街道R121と合流する地点に大きなダムがありました。川治ダムというそうで、アーチ式のダムとしては日本で4番目に大きいそうです。アーチ式のダムは堰堤がオーバーハングしているので、付け根の部分から下を覗いてみるとなかなかの迫力です。よくこんなものを造れるよなぁ...。


下を覗いてみると、なかなかの迫力。

 さて、R121に出てからは少し南下します。次に目指す道は「日塩もみじライン」です。
ところで、この区間には名物があります。インターネット上のサイトに掲載されているのを見て、「これはあそこに違いない...」と思っていたので、それを確かめてみました。やっぱり、ここだったんだ。この国道121号線の道路標識は、全国でも数ヶ所しかない珍しいものなのです。


ROUTE 121の名物標識。何か変だと思いませんか?

 しばらく走ると、鬼怒川温泉と塩原温泉を結ぶ有料道路「日塩もみじライン」の入口がありました。これが第3の標的です。入口すぐのところで工事片側通行となって、車が数台停車していました。これ幸いと最前方に割り込んで車を数台パス。ワインディングに入ってから抜くのはリスキーなので、こういうのを使ってまとめて追い抜けるのは非常にラッキーでした。
 もみじラインは全長27kmで、二輪車の通行料は400円です。特に南側からの登りはR15〜20のタイトターンの繰り返しで楽しく走れます。この日はリアタイヤがやや滑り気味だったので、腰もずらしてしっかり体重移動をさせ、テンポよくコーナーをクリア。右に左に身体を傾けて、まさに全身運動です。もみじラインは路面状態も良くて走るには最高に楽しい道でした。あまりにも楽しかったので、停車して写真撮影することすら忘れていました。反面、いかんせん抜きどころがないので遅い車に引っかかると悲惨です。
 楽しいひとときを経て、塩原温泉郷に出てきました。このあたりはすっかり寂れてしまっています。R400で東に向かい、渓谷の入口にある「道の駅 湯の香しおばら」で休憩。地図で次のターゲットを確認し、那須の山々の麓を北上しました。
 次に行ったのは「ボルケーノハイウェイ」。那須岳の登山口まで行く道路ですが、三角形の周回道路になっていて、いろいろな景色が楽しめるのが売りです。残念ながらこの日はやっぱり天気が...。一番高いところから南東を望んでみましたが、やっぱり何も見えませんでした。ボルケーノハイウェイは距離も短く交通量も多いので、あまり楽しくはなかったです。


那須岳の峠の茶屋から見た...って、何も見えてない。

 そのボルケーノハイウェイの北側で接続しているのが有料道路の那須甲子道路です。この道路は全長16.7kmで、二輪車の通行料金はかなり高くて930円。でも、それだけのことはあるかもしれません。料金が高いせいか交通量が少なく、コーナーも深くて面白かった。路面状態はやや荒れ気味ですが、コーナーの飛び込みに躊躇するほどではありません。この区間も走りに徹したので写真なしです。
 有料道路が終わると、R289に出てきます。ここから白河に出て東北道で戻る予定でした。しかし、この時点でまだ12:30だったので、ルート延長を決意。とは言えあまり高速を使いたくないので、白河からR294で茂木まで南下、水戸に出て常磐道経由で戻ることにしました。
R294の途中にある「道の駅 東山道伊王野」で休憩した際、面白いのを見つけました。「そばソフトクリーム」です。ちょうどのどが乾いていたこともあって、試しに頂いてみました。たしかに香りはそばでしたが、味は「!?」。ちょっと普通すぎて、そうと言われなければ分からないかも?


私的には珍しい、甘いもの休憩。味は特徴が薄かった...。

 茂木で給油後R123で東に進み、水戸ICから常磐道で帰途につきました。時間的には16:00前と非常に微妙な時間だったのですが、私の好きな美野里PAのかつ鍋定食を食べてから帰ることにしました。昼も非常に少なくしたので、早晩にしてしまいました。お汁と漬物のキャベツがキレイで見た目も良く、食欲をそそります。脂分をだいぶ摂ってしまったので、明日は少しあっさりメニューにしなくては...。


遅昼?それとも早晩? 色合いがキレイで美味しそう。

 その後、三郷JCTで外環道に乗り換えて和光北ICで高速を降り、自宅まで戻ってきました。
 本日の走行距離、596.4km(うち一般道373.9km)でした。今回の走行では金精道路・いろは坂・霧降高原道路・日塩もみじライン・ボルケーノハイウェイ・那須甲子有料道路など著名な道をトレースできました。ただ、後半はちょっとまったりして退屈でした。


前半ハード、後半まったり。

2007.08.25

標高2,000mへ涼みに行こう

 夏休みを挟んで、ツーリング再開です。9月の末に職場のグループツーリングを企画する予定だったこともあって、その下見もかねて信州方面へ向かうことにしました。グループツーリングは訳あって延期になりそうですが、実走調査は無駄にはならないので行ってきた次第です。
 さて、今回のルートは「絶景の道100選 ツーリングガイド」に記載されている蓼科スカイライン、ビーナスライン、美ヶ原高原道路の3つを通るように選定・計画しました。5:40に自宅を出発。


2007年の後半戦スタート。まずは絶景ツーリング。

 所沢ICから関越道に乗って北上します。まだ8月で、学校が夏休みのせいか交通量は早朝にもかかわらずかなり多め。花園ICぐらいまでは随分込んでいました。藤岡JCTから上信越道に入るとようやく空いてきて、快調に西に向かって走れました。この日はほぼ快晴で無風と絶好のコンディションですが、高速巡航中のエンジン水温が85℃を指していることから、朝の気温はやっぱり高そうです。
 約1時間の走行で、松井田妙義ICに到着。高速で行っても面白くないので、碓氷バイパスで肩慣らしをしてから行くことに。妙義山は霧で隠れてしまっていたので、ちょっと碓氷峠の状況が心配。


いよいよ一般道へ。妙義山は霧の中。

 幸い、碓氷峠には霧は出ていませんでした。交通量もまだ少なくて、快調に峠を駆け登りました。碓氷バイパスは路面状態が非常にいいので、安心してアクセルを開けられます。標高の一番高いところを越えて長野県に入ると空気がひんやり。さすがに朝の高原の空気は気持ちよい。
 R18で軽井沢を抜け、佐久方面に向かいました。市街地に入ってコンビニで軽い朝食を摂った後に給油し、これからの長距離山道走行に備えます。佐久の南からは蓼科スカイラインで、白樺湖に向かうことにしていました。入口が少し判りづらかったものの、標識が出ていたのでそれに従い山を登っていきました。
 蓼科スカイラインは別荘地を縦断し、高度を上げてくると爽快な高原道路に変身します。途中までは路面もややダスティなものの良く、走りも眺めも楽しめました。ところが「蓼科仙境都市」なる廃虚のようなリゾート地(?)に近づくと路面はズタボロになって、とてもスピードが出せない。とてもグループツーリングには使えそうにない道でした。それでもしぶとくトコトコ上がっていくと展望が開け、最初の目的地である大河原峠に到着しました。
 大河原峠は標高2,090mにあります。高度を見る限り涼しかろうと思っていましたが、実際には日差しがとてもきつくて、残念ながら涼むどころではなかったです。ただし眺めは最高で、峠から北側の千曲川沿いの方向を見ると、眼下には雲海が広がっていました。普段見慣れない光景なので新鮮です。


大河原峠に到着しました。登山客多数。


浅間山方面を見たところ。雲海が見えました。


雲の絨毯と、我がVTR。アイドル不安定!

 大河原峠と西に下り、牧場を抜けたところにあるのが白樺湖です。ここもリゾート地として有名で、水遊びができるので人気です。側には標高2,530mの蓼科山がそびえ、まるで箱庭的な印象です。それにしてもこの日の天気は最高。夏にありがちな霞も全く見えないし、視界は限りなく広い。


白樺湖と蓼科山です。今日の天気は高原走行に最適です。

 白樺湖からビーナスラインに入って、さらに西に向かいます。白樺湖から霧ケ峰までは、高山植物の豊富な、特徴的な風景が広がります。山肌の景色はまるで緑の絨毯のよう。初夏であれば、ニッコウキスゲの花が咲いて黄色く染まるそうです。


霧ヶ峰の緑の絨毯。ビーナスライン南側の印象的な風景。

 途中、富士見台の展望台からは南アルプスの山々が遠くに見えました。180°以上広がる展望をしばし楽しみました。また、蓼科山の向こうに薄く山影が見えていたのでよく目を凝らして見ると、なんと富士山の特徴的な姿が見えていました。直線距離でも80km以上離れているはずですが、ここまで見通しが良いところだとは。ちょっと感動しました。


南アルプスの山々。ここも一度は行ってみたい。


中央にうっすら富士山、ちょっぴり感動。

 霧ヶ峰からはビーナスラインをトレースして北上していきます。こちらは先ほどまでの雰囲気からは一変し、険しい山岳道路になります。和田峠に着くまでは快調だったのですが、その先では遅い車の集団に取っ捕まってしまい、我慢のライディングを強いられました。やっぱり、観光道路は早朝に来ないと、調子よくは走れないのでダメですね。
 ビーナスラインはその北端で美ヶ原に向かって一気に高度を上げます。標高の表示を見ただけでも最後の数キロの区間で400m以上、かなりの傾斜がありました。辿り着いた標高2,000m弱の美ヶ原高原美術館駐車場から見た北側の風景は山並みが重なって美しい風景でした。


美ヶ原から見た北側の風景。

 美ヶ原高原美術館から、北側に向かって降りていきました。こちら側はまだ路面の整備が行き届いていないのか、かなり荒れていました。道も狭くて非常に走りにくい状態でしたが、20分ほどで無事に麓に到着。ここからは沢に沿って西に向かい、美ヶ原の西側に向かう行き止まりの道路、美ヶ原高原道路に向かいました。
 こちらの道は登り始めがかなり狭くて走りにくいものの、高度を上げると道が良くなって快適な走行ができるようになりました。尾根沿いに走る道は見通しも良くて爽快です。行き止まりにある登山道入口の施設でほっと一息。眺めを楽しみました。
 余談ですが、大河原峠、美ヶ原と標高2,000mを越えるところではVTR1000Fのアイドル回転はかなり不安定でした。アクセルを少しでも開けていると問題ありませんが、ほっとくと徐々に回転変動が大きくなって、最後にはエンストしてしまいます。やはりビッグボア2気筒で大口径キャブなので、かなり苦しいのかな...。


尾根を伝って美ヶ原に向かって走ります。


浅間山の方向を見ています。高原の空気が涼しい。

 美ヶ原高原道路の帰路、西斜面を走っているところでは松本市内や、北アルプスの山々を見ることができます。山々は稜線までくっきり見えて、地形の特徴がはっきりとわかります。この道路、確かに景色はいいですけど首都圏側からはかなりアプローチしづらいのが難点です。


山の間から松本の市街地が見えていました。


こちらは北アルプスです。稜線までくっきり。

 山を下って、さらに西に向かいました。松本に向かう道は美ヶ原林道となっていますが、実際には全線舗装の2車線で、非常に走りやすい道でした。さらにはローリング族が出るのか、路面はタイヤのラバー跡だらけでセンターラインも見えやしない。コーナーは深いものが多くて線形は楽しいですけど、違う意味で走りにくいところでした。
 松本に近づくとR254に出てきました。ここからは有料道路のトンネルを抜けて佐久まで戻ることにしました。ちょうど昼も近づいてきたので、昼食はおぎのやの「峠の釜めし」にしようと思ったわけです。やく1時間、のんびりと国道を走り続け、上信越道佐久ICの前にある佐久乃おぎのやに到着。さっそくお目当ての釜めしを賞味しました。


この地域に来たら、お昼はやっぱりこれでしょう。

 予定ではここから上信越道に乗って帰途につくことにしていましたが、時間的にはまだ折り返したばかり。ここまで来てただまっすぐ帰るのはもったいないので、寄り道しながら下道で戻ることを決断。来慣れた道では面白くないので、新しいルートを開拓することにしました。
 地図を見て決めた道はr93。コスモス街道R254の一つ南を東に進み、下仁田町と上野村を結ぶr45に突き当る道です。途中1,000mクラスの峠があったり滝の名所があるそうで、なかなか楽しみ。
 甲府に向かうR141から別れ、整備されたr93を快調に西に進むこと数分、やっぱりこの道路もそれなりでした。突然、2車線から1.5車線に。酷道区間の始まりです。


酷道突入。いつ見ても緊張する瞬間。

 1.5車線区間をだらだら登っていくと、右手に湖面が見えてきました。地図によると雨川ダムというそうです。小さなダム湖ですが、湖面が深いエメラルド・グリーンでとても涼しげ。この辺りは気温はもうすっかり高かったのですが、水辺にいるという認識を持つだけでも涼じてしまうのが面白いところです。


エメラルドグリーンの湖面。涼しげです。

 r93をさらに東に進むと、道は一気に高度を上げていきます。上がったところが標高1,120mの田口峠です。ここもなかなか山深いところですが、立派な碑が立っていました。この辺りには他にも十国峠、ぶどう峠、三国峠などの峠がありますが、まともな道が全くありません。非常にツーリングには使いにくい地域ではあります。


田口峠。山深く、周囲には人里なし。

 田口峠の東斜面は1車線で、路面もかなり悪い上に急勾配の走りにくい道でした。対向車もほとんどありませんが、全線ブラインドコーナーだらけなのでスピードは全く出せません。途中、九十九折りが続く区間もあって、予想以上に時間がかかってしまいました。
 地図では群馬県に入ったところに、滝の紹介がされていたので行ってみました。線ヶ滝というそうで、落差は35m。小さいながらも滝壺があって迫力があります。また、山の凹みの部分にあるので全く陽が差さないので非常に涼しいのが嬉しい。しばらく滝壷の中で涼みました。


線ヶ滝です。小さいながらも迫力あり。

 その後はr45で群馬県上野村に出てR299に乗り、志賀坂峠を越えて秩父へ。飯能からはR463で自宅まで戻ってきました。結局、高速を使わず下道だけで戻ってきましたが、そのおかげで時間は大幅にオーバー。12時間30分の長丁場に、すっかり疲れ切ってしまいました。
 本日の走行、540.7km(うち一般道434km)。一日の一般道走行の距離としては過去最長となりました。疲れるはずだわ...(苦笑)。


一日の一般道走行距離としては最長記録更新。

2007.08.15

にわか"てっちゃん"と化す。ローカル線・予土線の旅

 帰省中、特に予定もなし。実家にいてもすることもなし、自由に動き回れる手段があるわけでもない。そこで、暇つぶしに列車&バスを使って四国を半周してみることにしました。朝、高知から土讃線で窪川まで行き、予土線で宇和島に出て、そこから松山に行って最後は高速バスで帰ってくるというルート。四万十川、宇和海、瀬戸内海と景色も変わるので、景色を楽しむにはちょうどいいかと。
 みどりの窓口で駅員のおねえさんと相談したところ、勧められたのが四万十・宇和海フリーきっぷ。4,800円で窪川~宿毛・宇和島の区間が乗り降り自由。今回の旅にはちょうどいいプランです。
 きっぷを購入し、いざ出発。


本日の出発地点はJR高知駅。後方では高架化工事中。


ちょうどいいプランがあったもんだ。

 土讃線「特急 しまんと1号 中村行き」高知 8:18 → 窪川 9:22

 やってきた下り特急「しまんと1号」で、土讃線終着駅の窪川に向かいました。高知市を抜け、伊野・佐川・須崎を経由して約1時間で到着。お盆で下りなのでそれほど込まないと思っていましたが、自由席車両は8~9割ほど席が埋まっていました。日差しがきつくてほとんどカーテンを閉めきらないと暑くてたまらなかったので、景色は楽しめず。もっとも、この区間は特に見るべき景色もないですが。
 窪川駅では40分の待ち合わせだったので、駅の外に出てみました。ところが窪川駅は商店街から離れたところにあるので、駅の周りにはなにもありません。そうこうしている間に予土線の車両が入ってきて、予想に反してぞろぞろと人が乗っていたので、すぐに戻る羽目になりました。


窪川駅。ここから予土線に乗り換えます。ここは「匂い米」の里

 予土線「普通 宇和島行き」窪川 10:01 → 宇和島 12:05

 ここからが景色の楽しめるところです。予土線は窪川から宇和島に向かうローカル路線で、高知県内では四万十川沿いに走り、景色が非常に良いことが知られています。しかしながら、運転は1日に7本しかないので、ぶらり途中下車した日には途方に暮れること間違いなし、です。
 列車は長シートの1両編成で、意外にもほとんど席は満席状態でした。半分は地元の人とおぼしき感じですが、あとは鉄道マニアか、トレッキングか、お金をかけない旅行者ばかり。大きな荷物を抱えた人が大勢いました。列車は四万十川沿いにそこそこのスピードで走って行きます。川の景色は確かにきれいで、水も涼しげな深いグリーン。しかし、なにせ人が多くて写真はほとんど撮れませんでした...。今日のハイライトだったはずなのに残念。
 約1時間で江川崎を過ぎると、愛媛県に入ります。愛媛県側は山間部をただ走るだけでいささか退屈でしたが、窪川から約2時間で宇和島駅に到着しました。宇和島駅はホテルの併設された近代的なビルになっていました。
 次の松山行きの列車には1時間半ほどあるので、駅前を散策してみました。お盆休みまっただ中ということもあって、商店街も閑散。母に頼まれた蒲鉾を購入してから、軽く食事をして再び駅に戻りました。


宇和島駅に到着。近代的ビルになっていました。


宇和島駅は長大路線(予讃線)の終着駅です。

 予讃線「特急 宇和海14号 松山行き」宇和島 13:48 → 松山 15:08

 次は予讃線の上り特急「宇和海14号」を使って松山まで北上です。始発駅なので席の心配をしなくてよいのが嬉しい。宇和島を出てすぐのところでは、みかん畑の向こうに宇和海のブルーに輝く海面が見えていました。線路はすぐに内陸の方に入ってしまったので、写真を撮り損ねたのが惜しい。
 大洲を過ぎ、肱川を渡るとだんだん周りの景色が開けてきます。松山に近づくと彼方には瀬戸内海が見えてきました。まもなく松山駅に到着です。


松山沖の瀬戸内海が見えてきました。

 松山駅で高速バスを調べてみると、席に空きがあったのでチケットを購入。待ち合わせは40分ほどあったので、駅の二階にある土産物屋でしばし時間つぶし。ところで、松山は私が小学生のころよく訪れていた街で、それなりに知っているはずなのですが、やはり色々と変化が見られました。でも、松山は何となくハイカラな雰囲気に溢れています。それに比べるとやっぱり高知は街造りが「武骨」だわ。


松山駅。ちょいハイカラ風?

 高速バス「なんごくエキスプレス9号 高知行き」松山駅 16:00 → 高知駅 18:30

 最後の仕上げは高速バスです。もちろん、予讃線を多度津乗り換えで土讃線に乗り継ぐことも可能ですが、かなり遠方を回ることになるので時間的には不利になります。高速道路網の整備により、松山ー高知や、徳島ー高知はもはや列車で行く方が却って時間がかかるようになっているのが、私が四国を出てからの大きな変化点です。
 夕方、松山駅前を出発したバスは市内各所を回って松山ICから松山道に乗り、東へ。川之江JCTから高知道に入って南下、ほぼ定刻通りに高知駅に到着しました。出発から10時間で四国半周完了。


スタート地点に戻ってきました。約10時間で四国半周。

 暇つぶしとしてはまずまずでしたが...、コストパフォーマンス的にはいまひとつの印象。やっぱり、景色を楽しみに行くなら自分で二輪を運転して走りにいった方がいいや。


ただ移動しただけ? かもね...。

2007.07.26-07.28

新・みちのくツーリング '07

 今年も東北に出かけることにしました。これで4年連続5回目になります。1年に1回の楽しみですが、残念ながら梅雨明けはならず。週間予報ではぐずつく予想が出ていましたが、最低でも2日晴れてくれればそこそこ楽しめるはずと割り切って出かけました。
 2004年は太平洋側、2005年は日本海側、2006年は山形を縦断したので、今年は蔵王を経由して三度、秋田県由利本荘市の滝温泉へ向かうことにしました。5:30に自宅を出発。


4年連続5回目の東北行き、出発です。

 外環道和光北ICを6:00に入線し、東に向かいました。川口JCTから東北道に乗り換え北上開始。さすがに早朝のためか、混みがちな埼玉県内も比較的空いていました。100〜120km/hで淡々と走行。
 ところが、宇都宮に近づくとヘルメットのバイザーに水滴がつき始めました。予報では福島県が全域雨とのことでしたが、栃木でも北部の那須方面は降っている可能性が高いと判断し、大谷PAでストップして雨装備をしました。


ちょっと早いですが、雨に備えます。

 予想通り、激しくはなかったものの那須では雨が降っていましたが、車が比較的少なかったのであまりペースは落とさずに済みました。なお、今回はガソリン満タンスタートではなかったため、上河内SAにて給油だけのストップをしました。
 その後、予報通り白河を過ぎた辺りから雨が激しくなりました。視界はそれほど悪くありませんが、大型車の巻き上げるウォータースクリーンが悩みの種。走行そのものに影響はないのですが、バイザーに細かな水滴がつくのでしょっちょうグローブでの拭き取りを強いられます。梅雨前線の停滞で午前中は雨が止むことはまずないので、休憩してやり過ごす作戦も使えず。結局福島を過ぎた国見SAまで一気に走り抜きました。幸い、メッシュジャケットなので雨の染み込みが渇くのも早かった。国見SAで2回目の給油実行、9:00ごろです。


梅雨前線を抜けました。ここからはお楽しみタイムです!

 白石ICで東北道を降り、R4で少し福島方面に戻ってR457に入り、蔵王を目指しました。R457は概ね整備された道でしたが、所々まだ1.5車線区間が残っていました。蔵王に向けて登っていくと、山頂の方にはかなりガスがかかっていて、どうやら今日は眺望は期待できなさそうです。それでも、走って楽しい道があれば良いので、迷わず蔵王方面に舵を切りました。


R457は一部ヘタレていましたが、この程度なら走りにくいほどではない。


山頂方面にはガスが...。眺望は期待できない?

 R457の途中から蔵王エコーラインに入ります。ここは元有料道路ですが、現在は無料開放されていて、日本百名道の一つにもあがっています。紅葉・新緑のころが最高だそうですが、そのころはどうせ大型バスで身動きとれないでしょうから、こういうところはオフシーズンに行くに限ります。道は180°ヘアピンで上っていく面白い山岳道路でした。惜しいかな路面が少し荒れているのと、コーナーが一つRでなく微妙に回り込んでいるので、クリッピングポイントが捉え辛く走りにくかった。
 標高が上がっていくと、ガスが濃くなってきました。濃い所では視界は約50m。正直、こういうのは慣れていないと恐怖を感じます。そういえば、去年も下北で似たような状況に遭遇したっけ。


白い闇が迫る。視界は50mちょっと。追突防止でハザード点滅中。


後ろにすぐ休憩所があるのですが、全く見えてないですね。

 蔵王エコーラインの標高の一番高いところに近づくと、意外にもガスが消えてきました。そこには蔵王の中核となる刈田岳(1,758m)があり、有名な御釜に上がる有料道路、蔵王ハイラインがあります。距離は少ししかないのに往復で370円。ちょっと割が合わない気もしますが、そうそう気軽に来れるところでもないので行ってみることにしました。頂上付近の駐車場にバイクを止めて、少し歩くと御釜を拝むことができました。さすがに美しい風景でしたが、草津白根山の方がもっと印象的ではあるかな。


御釜です。こちらの水面は深いグリーンでした。意外にこじんまり?

 その後は再び蔵王エコーラインをさらに西に走り、有料道路の西蔵王高原ラインで山形に出ることにしました。さすがにこちらは整備が行き届いて、路面もスムーズで非常に走りやすかった。180°ヘアピンも新しいタイヤのおかげでぴたっとラインが決まり、リアタイヤの踏ん張りが感じられて頼もしかった。
 本来はここから山形道を使って仙台経由古川まで高速で行くつもりだったのですが、時間が想定よりもだいぶ早かったので一般道で行くことにしました。そこで山形道と並走するR286で仙台方面に向かったのですが、この道が結構とんでもなかった。宮城と山形を分ける笹谷峠の区間は全線1〜1.5車線。路面はいいもののブラインドコーナー多し。ルート的には仙台と山形の最短ルートのはずですが、メジャーになれていない理由を納得できました。もっともVTR1000Fの得意なフィールドなので、こんな道は苦にはなりませんけどね(笑)。


R286笹谷峠。県庁所在地同士を最短で結ぶ道路としては凶悪レベル。

 笹谷峠を越え、しばらく走ると再びR457で北上。山を2つ越えると今度は幹線国道のR48にぶつかります。ここを東に進むとすぐに仙台市内に入ってきます。仙台市内には特に用はないので、またR457をトレースして北上。このあたりは田園地帯のど真ん中をのんびりと走っていくルートでした。
 R457は途中でR4に合流します。R4はさすがにメジャールート、道は良く流れも早く、楽に流せました。三本木町に入ったところでふと思い出したのですが、ここにある「道の駅 三本木」には名物があるので、それを見に行くことにしました。まず右の写真、「道の駅」の文字の左にある青いマークを見てください。これが本来の「道の駅」マークです。それに対して、道の駅の入口にある大きな看板では...! これ、ここだけにしかないものです。洒落が効いていて、いいセンスしてます(笑)。


左が通常、右はここだけ。理由は道の駅の名前を見ればわかる?

 古川からはR47に乗り換え、進路をやや西にとります。途中にあった岩出山の市街で3回目の給油を実施。給油量と走行距離を見比べると、あんまり燃費伸びてないなぁ。複雑な街の造りに市街地脱出に手間取りましたが、なんとか最小限のロスで復帰できました。すぐにまたR457がR47から北に分岐するので、迷わずトレース。途中で秋田県湯沢市に向かうR398に入り、ダム湖である花山湖のほとりにあった道の駅「路田里はなやま」で休憩しました。ここから山を越えて秋田県に向かいます。


ここから湯沢まで約70kmの区間が山場です。

 R398は冬季閉鎖される道で、地図で見るとなかなか険しそう。距離は80km程度のため、道が悪いと2.5時間覚悟のところです。心配していたのですが、実際にはほとんど全線が2車線で整備されていて非常に走りやすい道でした。ほとんどが高速コーナーだったので、平均速度も高めに維持、おかげで花山峠を越えて秋田県に突入した時間も予定より少し早くなりました。


いよいよ秋田県に突入! 花山峠です。

 R398は湯沢市を横断したところで北上し、R107に合流します。R107は目指す由利本荘に続く道なので、これに乗って滝温泉を目指すことにしました。合流してすぐのところにあった道の駅「東由利」に立ち寄りました。ここは実は2年前に来たところ。たった2年なのに、もう懐かしく感じてしまうなんて。道の駅ではおばさんに話しかけられ、「埼玉からはるばる来たの? 気をつけて行きなさいよ」と声を掛けてもらえました。こういう触れ合いがバイク旅の醍醐味でもあります。


宿最寄りの道の駅にて。ちょっと早いので遠回りして行くことにしました。

 宿の入り口を通りすぎ、由利本荘市街地に近いところまでいって給油してから宿に向かうことにしました。最後の20kmは仕上げのワインディングです。このあたりの道は狭いものの路面がいいので、思いきり寝かし込んで旋回、V2の加速力を活かして立ち上がりアクセルを一気に開けるだけでもそこそこ速く走れます。
 峠の途中で振り返ると、南に鳥海山、西に日本海が見えました。日本海は夕日が当たって金色に輝いていたのが感動的。残念ながら木々に覆われたことと、逆光になってしまうためにいい写真は撮れませんでした。残念です。


北側から見た鳥海山。できれば行きたかったな。

 予定していた通り18:00に宿に到着しました。3年連続の滝温泉です。さすがにもう慣れたもので、到着後すぐと食事後の2回、たっぷり温泉を堪能しました。また明日の朝、2回入ろう(きっと余計に疲れるぞ)。夕食はご覧の通り豪勢なもの。残さず完食いたしました。


豪勢な夕食。これが楽しみで今日がんばったんですよ。

 本日の走行、703.9km(うち一般道392.3km)でした。思い返すと、1日目は蔵王以外ほとんど見どころなしでした。ルート選択も結果的には今一つだったかな。

 2日目は朝風呂2回入って朝食を食べ、8:00すぎにスタート。出発直前には蝉の鳴き声に気づきました。このあたりはもう短い夏を迎えているということでしょう。さて、今日はまず男鹿半島に向かいます。2005年に来たときは白神山地の方に向かってしまったので、男鹿半島も行くのは今回が初めてになります。


出発です。今日も安全運転でいきましょう。

 滝温泉から県道を使って北上し、R105に出ました。昨年は田沢湖方面に向かうため東向きに走りましたが、今回は秋田方面に向かうため西に進路を取りました。R105は典型的な東北の国道で、線形はゆるやかでそこそこのアップダウンがあり、平均速度は高めで走れます。混雑する市街地は避けて、途中から広域農道を使ってショートカットし、山越えで海に出ました。


日本海だ! 前方に海が広がる景色はいつ見てもいいものです。

 山を下りきったところで道はR7に合流します。R7は新潟と青森を結ぶ日本海側の幹線国道。道は広くて路面状態も良く走りやすい。R7では所々に駐車帯が整備されていて、景色の良いところでは交通の邪魔にならないようにストップすることができます。この朝は雲も少なく、絶好のツーリング日和になっています。潮風でそれほど暑くも感じませんでした。


左手に日本海が広がり、潮風を受けて走るのは最高です。

 途中に道の駅「岩城」があったので、そこで休憩しました。その裏手には漁港があったのですが、それが面白い形状になっていました。ほぼ円形の防波堤に囲まれた漁港が少し沖にあり、そこには橋で渡るようになっていたのです。一般車も通れるようだったので試しに行ってみたところ、海の上を走るという不思議な体験ができました。漁港の入口からの景色は南は酒田方面、北は男鹿半島までうっすら見えるほどでした。


海上にて! 変わった造りの漁港で、眺めも良い。

 R7をそのまま走ると、秋田市に到達します。市街地に特に用はないので、バイパス道路を使って中心部はスルー。市街への入口の交差点はさすがに車が多かったものの、概ね順調に流れているのでエンジンの熱で苦しむこともなく無事に通過できました。途中からは臨海工業地帯沿いのr56に出て、シーサイドラインを流しました。途中の展望所からはこれから向かう男鹿半島がくっきりと見えていましたが、やや雲が広がってきているのが心配。


臨海工業地帯のはずれから、男鹿半島を見ています。

 r56はやがてR101に合流し、この道は男鹿半島の先端に向かって西に進んでいきます。途中、半島をショートカットするR101を離れ、海沿いのr59に入ってみました。こちらは道がやや狭いものの、海沿いに回り込む道は絶好のドライブルートです。半島の南側は集落沿いに低いところを走っていますが、西側に回り込むと景色は一変しました。険しい崖と岩場の間を道はのびていきます。


これでこそ清く正しいドライブ・コースだ。

 ブラインドの多くなってきたカーブをクリアしていくと、標高が上がってきました。道はタイトかつ勾配の大きなカーブで一気に高度を稼いでいきます。路面は思っていたよりも良くて、タイヤもしっかり食いついている感触があったので思いきり寝かし込んで旋回を楽しみました。遅い車にひっかかっても、短いストレートでかわせる加速力があるので心理的にも余裕を持って走れます。


だんだん登ってきました。後方は今まで走ってきた道。

 半島の西側に完全に回り込むと、そこはもうすっかり山岳道路でした。見通しもそれほど悪くなく、また車もいなかったので、ここでVTRのパワーを解放! きつい登り坂のカーブでも、ありあまるトルクのおかげで楽に走れて爽快。軽い体重移動だけでくるくると旋回できるので、思い通りのライントレースできるのが楽しい。もちろん、新しいタイヤの影響も大。関東近辺だとなかなかこんな走りができる場所はありませんから、この機会は非常に貴重。


これぞVTRの本領発揮ステージ! いつまでもこの道が続いて欲しい。

 r59とr55で半島を一周して、道は再びR101に出てきました。男鹿半島には実はもう一つ有名な道、寒風山パノラマラインがあり、今度はそちらを目指しました。寒風山は男鹿半島の内陸、八郎潟寄りのところにあって単独でそびえているので、どの方向からでもその姿を見ることができます。反対に見れば、それはすなわち絶景が楽しめるということです。山に駆け上がっていくところで振り返って見ると、美しい景色が広がっていました。


寒風山南側斜面から見ています。天気があまり良くないのが残念。

 寒風山を登りきったところにある展望台から、南の方を眺めてみました。眼下に広がる八郎潟と日本海は絶景でした。写真では今一つ映りが良くないのが残念ですが、緑が非常に鮮やかでいつまで見ても飽きません。一人で見るのはもったいないくらい。昨年の鳥海山もそうでしたが、この時期の東北の景色の醍醐味はこの緑色にあると私は思います。


眼下に広がる風景は、緑が非常に美しかった。


寒風山から秋田方面を見る。この時期の東北の景色の醍醐味はこの緑色。

 寒風山を降りたところで5回目の給油を行いました。このGSで給油してくれたおじさんは元ライダーで、今でもバイクはあるそうなんですが車検が切れているとのこと。それでも好きなのでしょう、休憩ついでに色々と話し込んでしまいました。
 男鹿からはR101で少し戻るつもりでしたが、地図で大潟村を縦断+横断+山越えをしてR285に出られる道を発見したので、そちらを走ってみることにしました。r42で干拓地のど真ん中を北上し、r54で横断します。大潟村のまっすぐな道路は走っていて気持ちいい。こんな感覚は他には北海道にでも行かないと味わえないでしょう。


果てしなく続くストレート。エンジンの鼓動を感じつつどこまでも。

 大潟村を抜けると、ワインディングに突入します。r37は道幅はやや狭いものの、交通量が少ないせいか路面も滑らかで走り易かった。峠道を20kmほど走ると、大館に向かうR285に出てきます。このR285も東北の典型的な道で、走りやすい道でした。所々トラックやダンプに行く手を遮られましたが、追い越し区間が多く設定されているのでそれほどタイムロスなく走れました。
 途中、道の駅「かみこあに」で休憩した後はほとんどノンストップで走行しました。実は理由があって、ちょっと急いだのです。それはこの朝、宿で見た天気予報。青森・秋田は土曜の午前から雨マーク。ということは土曜日はほとんど景色を楽しめないということなので、土曜日に行く予定だった十和田湖を巡るように行程を変更したのです。
 R285は大館郊外でR103に合流、R103はそのまま十和田湖の西岸に出てきます。狭くきつい登りを一気に駆け上がると、視界が開けました。カルデラの外輪山上にある発荷峠からの眺めは素晴らしいものでした。


発荷峠に到着。展望台からは絶景を楽しめます。


十和田湖全景。湖面にはさざ波が立っていました。

 そのままR103で外輪山を下り、湖畔に出たところで十和田湖の西側を走るR454に入りました。この道は5年前に走った道です。当時は路面状態が悪くて長く走るには辛い道だったのですが、南半分は再舗装されてかなり改善されていました。道の雰囲気は湖の間近を走る一方で、ほとんどの区間は下の写真のような緑のトンネルを走っていきます。ほとんど日が当たらないので、涼しくて心地よかった。ヘルメットのバイザーを少しだけ開いて、走行しながら森林浴を楽しめました。


緑のトンネルを抜けていきます。ほとんどの区間がこんな感じ。

 R454は十和田湖北岸に差しかかるところで再び一気に高度を上げます。ワインディングで楽しむ...と行きたいところですが、この滝ノ沢峠は路面状態が悪く、クルマが跳ねてしまって安定したコーナリングができません。やむなく、おとなしくギアを3速ホールドしてアクセルコントロールだけで登っていきました。
 滝ノ沢峠から今度はR102に乗り、十和田湖北岸を東に向かいました。この道は外輪山の尾根に沿って走っているようで、なかなか高いところをずっと走っていきます。途中、標高1,011m地点に展望台があったので寄り道し、南側を望んでみると十和田湖の全景が見られました。ここからの景色はもう驚嘆ものです。


デジカメが広角でよかった。きれいな湖が写真に残せました。

 R102をさらに東に行くと、青森方面に向かう広いバイパス道路がありました。これは奥入瀬渓流が狭いために作られたようですが、路面もスムーズで長い高速コーナーもある楽しい道でした。登りには登坂車線も用意されていて至れり尽くせり。碓氷バイパスほどの線形ではありませんが、交通量が少ないので思い切って走れます。ガソリン残量が少ないにもかかわらず、往復で楽しんでしまいました。十和田湖側の入口付近では遠くに八甲田山の山並みを見ることができます。


爽快な高原道路。左手には八甲田山が見えています。

 バイパスを往復して、再び元の場所に戻ってきました。ここからさらに東に進んだところに本来のR102があり、こちらが有名な奥入瀬渓流になります。この道、下の写真のように渓流が道のすぐそばに迫っている道で、せせらぎまで聞こえてくるほどです。確かに景色や音は楽しめますが、至る所に観光の車が停まっていて人もウロウロ。正直、走りにくいやっかいな道という一面もありました。


確かに珍しいが、走りにくいやっかいな道でもある。

 奥入瀬渓谷を抜けると、今度はR103で八甲田山の方に登って行きます。このあたりは十和田ゴールドラインの一部で、ブナの原生林の中をタイトなワインディング路で駆け抜けていきます。相変わらず路面があまり良くないので、少しマージンを大目にとってコーナリングしなければなりませんでした。


ブナの原生林の中をひたすら駆ける。

 標高が上がってくると、今度は視界が開けてきます。傘松峠で横を見上げると、八甲田山を形作る山々がすぐ側にありました。この迫力、写真ではうまく伝えられないようです。ただ、これ以上はっきり見られるポイントが見つけられなかったので、八甲田山のいい写真は撮れませんでした。


八甲田山に最接近。距離は2km、高低差500mほどです。

 その後、樹海の中を駆け抜けるとR103は青森市街地に向け下り始めます。途中に岩木山を見られるという展望台があり、停まってしばし風景を楽しんでみました。岩木山はともかく、そこから見える風景はまさしく「青い森」。今の地名を名付けた人の気持ちがわかる?


青い森がどこまでも続いています。雲が垂れ込めているのが残念。

 R103でそのまま市街中心部まで走行し、宿に入る前に一休憩するため、いつもの岸壁に行ってみました。ここまで来ると、「青森に来た!」と自分で思える場所になっています。正面に物産館「アスパム」。右には「青森ベイブリッジ」。さらに右手には青函連絡船「八甲田丸」がいます。また、正面の埠頭には海上自衛隊の護衛艦・DDG-171「はたかぜ」が入港していました。


またまたやってきました、青森港。「着いた!」と思える瞬間。


DDG-171「はたかぜ」が寄港していました。

 給油後、青森での定宿である「ホテルシバタ」にチェックインし、バイクを置いてしんまち商店街にお土産の買い出しと食事に出掛けました。食事はこれまたいつものお店、「柿源」さんです。ここはリーズナブルに帆立を食べさせてくれるお店です。雰囲気もそれほど敷居が高そうにしていないので、気軽に入れます。今年は「帆立焼定食」を頼みました。薄い塩味の中に広がる身の甘味が絶品で、素朴な味わいです。


しんまち商店街、青森駅に近いところにあるホタテ料理の店「柿源」さんです。

 2日目の走行、すべて一般道で419.3km、積算1,123.2kmでした。ワインディングが多かったことを考えるとかなりのハイペース。疲れるはずだ...。

 3日目、やはり予定を変更し、雨に遭う前に帰途につくため7:00に宿をチェックアウトしました。予報では朝から雨と言っていましたが、まだ晴れ間が見えていました。


出発の朝、青森市街の様子。まだ晴れていますね。

 今回は街外れにある青森ICから東北道に乗りました。その向こうでは大きな構造物が工事中でした。工事の説明書き看板を見てみると、建設中なのは2010年に青森まで延伸される東北新幹線なのだそうです。着々と建設は進んでいるようですね。7:10ごろ、高速に入線して青森を後にしました。


いよいよ行くぞ、VTR。長い帰途、川口JCTまで680km。

 相変わらず東北道の終点近くは貸し切り状態。120km/hで淡々と巡航します。まだ気温もそれほど高くないので、快適に走行できました。ただし、南風が少し強く吹いていたので、私にとっては向かい風の状態。走行に支障はないものの燃費の悪化が懸念されます。
 約1時間で、秋田県の花輪SAに到着しました。このあたりもまだ晴れていますね。本当に雨降るのかな?


東北道の花輪SA。これで全行程の1/7を走破。

 花輪SAを出て、次なるストップは盛岡付近のSAを予定していました。ところが、八戸道分岐を過ぎて松尾八幡平ICに近づいたところで、正面に岩手山が美しい姿を見せていて、誘惑に負けました。時間はまだ9:00前、昨年の実績から考えると2時間寄り道しても十分明るいうちに帰り着けると迷いなく判断し、途中下車。昨年は秋田側の景色を楽しめなかったので、再チャレンジです。行くぞ、アスピーテライン。天気よ、いましばらくもってくれ!


岩手山が美しい姿を見せていました。この魅力に負けました。

 八幡平アスピーテラインを駆け登っていくと、かなり風がきつくなってきました。標高が上がるにつれてさらに風速は上がり荒れ模様に。特に岩手から秋田側に回り込んだところで一気に状況は悪化。頂上に近い県境付近に到達すると前方は西側から流れ込んで来るガスで真っ白! 強風の上に、まさに天候急変という状況に鑑み、Uターンすることにしました。本当は大深沢展望台まで行きたかったんですが...無念です。


正面に真っ白なガスが迫ってきました。少しヤバい状況を認識しUターン決定。

 八幡平アスピーテラインを再び降りて行く途中で、面白いものを発見しました。松尾鉱山跡です。もともとは硫黄鉱山だったのですが、1969年に閉山し、労働者用の集合住宅など、町がまるまるうち捨てられているのです。一時期の廃虚ブームでも取り上げられましたが、遠めに見るだけでも確かに不気味な雰囲気が漂っています。この場所を取り上げたサイトも多数あるので、興味のある方は「松尾鉱山」で検索してみるといいでしょう。


松尾鉱山の廃虚群を発見。最大ズーム+トリミングで捉えました。

 八幡平アスピーテラインを下り、松尾八幡平ICの入口で給油した後再び入線しました。結局45分ぐらいの寄り道で収まったようです。後はひたすら高速走行、120km/hをひたすらキープ。1時間後、岩手県南部の前沢SAに到着し休憩しました。寄り道で50kmほど距離を稼いだので、昨年から休憩タイミングがちょっとずれてしまいました。VTR1000Fでは120km/h巡航するとアクセルを持つ手が痺れてくるので、高速の連続走行は正直1時間が限界なのです。


前沢SA。ここは初めて東北に来た際に訪れたところ。あの頃は遠く感じたけど、今は...?

 途中、宮城県の長者原SAで給油ストップした以外は、頑なまでに120km/hキープ、11:47に仙台近郊の東北道中間地点を通過しました。昨年に比べて30分遅く出発し、45分寄り道した割にはあまり遅れていないと言えるでしょう。土曜日の昼間ということもあってか、この区間も快調に走行。12:30前には福島県に入ったところにある国見SAに到着しました。川口まであと300kmです。


国見SAにて。残り300kmです。

 そこからさらに100km走行したところで13:30になってしまったので、郡山を過ぎたところにある安積PAにて昼食にしました。できればカロリーを抑えたいところですが、550km以上走って正直なところお腹ペコペコ。誘惑に負けてソースカツ丼を頼んでしまいました。最近、食の我慢が足りないぞ、自分。


頼んじゃった、ソースカツ丼...。疲れているんだから、許して。

 安積SAを出てからは再び巡航モードに。しかし、宇都宮に到達直前で問題が発生、雨が降り出してきました。ちょうど大谷PAにさしかかるところだったので、休憩ついでにストップし、しばらく様子を見てみることにしました。最後の最後で雨に遭遇するとは...。


ついに降り出してきた! 止む気配なし、どうする?

 しばらく様子を見てみましたが、全く止む気配がないのでカッパを着て出発することにしました。ところが、大谷〜都賀西方の区間はまさにゲリラ雨状態。一番ひどいところで視界50mほどとなり、かなり危ない状態でした。まだ明るかったのと、テールランプをつけて80km/hで走っている車がいたので、それの後ろに貼り付いて危険回避。10分ほどはかなり苦しい走行を強いられました。
 都賀西方PAを過ぎた途端に雨は止み、再びドライ走行に戻れました。埼玉県に入ったところにある羽生PAで雨装備を解いて、再び巡航モードに復帰しました。しかし、今度は気温がどんどん上昇。同じ速度・回転数で走っているのに水温は90℃近くまで上昇。ということは気温は30℃を超えているはずです。
 雨の影響で平均ペースは落ちてしまったものの、16:00には浦和本線料金所を通過しました。5回目の東北道完走、無事戻ってこれました。


浦和本線料金所を通過。今年も680kmを無事完走しました。

 川口JCTからは外環道に乗って和光北ICで高速を降りました。栃木の雨で少し遅れたものの、結果的に16:30過ぎに自宅に到着。青森を出て9時間20分、八幡平の寄り道45分に、安積での食事で25分、雨宿りで15分を考慮すると、ほぼ昨年と同ペースでしょう。5回目のみちのくツーリングも終了です。


無事終了、お疲れさまでした。

 最終日の走行、758.9km(うち一般道67.3km)、最終積算走行距離は1,882.1km(うち一般道878.9km)でした。今回は高速の割合が高くなってしまいました。消費ガソリンは101.4Lで、平均燃費は19km/Lでした(ただし出発前の通勤を数回含む)。
 今年は本来3泊4日の予定を天候の兼ね合いで1日短縮しましたが、その代わり密度は例年以上にできました。蔵王・男鹿半島・十和田湖・八甲田山・八幡平と景色も楽しめましたし、ワインディングも盛りだくさんで、今年の夏も満足しました。でも正直なところ、もう体力がついて来ていないのを自分で認識してしまったことがちょっぴり悲しい。

  
今回の旅で、東北はほとんど有名どころは制覇できたかな?

2007.07.23-07.24

移動疲れは残らないか?

 月曜日から火曜日にかけて、仕事で京都府京丹後市まで出かけてきました。東京からだと京都まで新幹線で2時間20分、そこから在来線と第3セクターの北近畿タンゴ鉄道の特急を乗り継いで2時間30分かかります。列車の乗り継ぎ時間を入れると5時間30分かかるというところです。
 無事行って帰ってきましたが、結局2日間で10時間以上電車や汽車に乗っていたので、後で背中が痛くならないか心配。ただ、これだけの時間があったので文庫本3冊たっぷり読めたのが嬉しいところ。その本の詳細はまた別の項で。

2007.07.01

そばを食べに信州へ

 いよいよ7月です。この週末は首都圏はおおむね曇り。土曜日は夕方雨が降りましたが、日曜はもう少し安定するとのことでしたので、日曜日に出かけてきました。お目当ては鬼無里のそばと炊き込みご飯。そういえば、最近のツーリングって「走り」より「グルメ」指向にちょっと変わってないか!?
 6:00にスタート、所沢ICから関越道で北西に向かいました。


前回に引き続き、北西に向かいます。

 日曜の早朝ということもあって、トラックが少ないせいか快調に走行できました。藤岡JCTから上信越道に乗り換え、西に進みます。二週間前と同じく松井田妙義ICで高速を降り、R18に出てきました。前回はまだタイヤの皮剥きが充分ではなかったので旧道を走りましたが、ヒゲも取れてきたので今日は碓氷バイパスを走ることにしました。


松井田妙義IC出口。今日は妙義山も雲に隠れてます。

 碓氷バイパスも空いていました。バイパス側の道は路面状態が良く、高速コーナーが続く非常に楽しい道です。上りは全線2車線なので、遅い車に塞がれずに済むのが嬉しい。今日はギアを低めにしてトラクションをかけつつ、寝かし込みを心もち深めにしてコーナリング。前回は後ろが少し滑り気味でしたが、今日はかなりグリップ感が出てきました。まだ若干オーバーステア感ですが、違和感を感じるほどではありません。このタイヤ、なかなかイケてるかも。
 碓氷峠を越えると長野県軽井沢に入ります。前回走行を切り上げた上田までR18で走行し、そこから峠道を走ることにしました。上田からは松本に向かうR143を選択しました。この道は昨年も走った道ですが、今回はそれを逆からトレースする形になります。1回目の給油を行った後、峠道の入口にあった「道の駅 あおき」で休憩。ここからは山道です。


「道の駅 あおき」にて。ここから山道に突入

 R143は松本・上田近辺では2車線の快走路ですが、その間にある青木峠・地蔵峠では1.5車線で、路面状態もあまり良くありません。このためスピードもあまり乗らないのが難点です。しかし、180°ヘアピンや展望の良い区間など変化があって走っていて面白い道ではあります。また、峠にあるトンネルはえらく小さかったり、行き違いを信号機でコントロールするなど、珍しい状況が見られます。


全線こんな道幅。ほとんど対向車もいませんが...。


青木峠のトンネル。えらい狭くて、行き違い困難。


こちらは信号機付きのトンネル。秘境感ありあり。

 R143を走り続けると、松本市に出てきます。今日はここからR19で長野に向けて北上していくことにしました。R19は犀川沿いに走って行く道です。さすがに幹線道路、整備されていて走りやすいです。平均速度も高めですが、川沿いに道が屈曲しているので幹線道路にありがちな退屈感を感じません。ダム湖沿いに走っていく雰囲気は、ちょっとふるさと四国の道に似ているかな。
 中条からはオリンピックの際に整備された「白馬長野道路」を使い、白馬方面に向かいました。


白馬までやってきました。

 白馬からはR406で長野方面に戻っていきます。狭い峠道を一気に駆け上がったところに私のお気に入りの場所があります。峠のトンネルの手前にちょっとした駐車スペースがあり、そこからは北アルプスを一望できるのです。しかし、残念ながらこの日の天気は曇り。見えるはずの白馬岳も今日は雲の中です。残念。ここは5月に訪れるのがきっとベストです。


残念ながら北アルプスは見られず...。

 R406をさらに20km東に進むと、長野市鬼無里に出てきます。私はここの「旅の駅」にある蕎麦処が行きつけ(?)なのです。ここの店の特徴は、コシの強いそばと素朴な味わいの炊き込みご飯。少々値は張りますが、せっかくここまで来たのですから思い切って大盛りを注文しました。歯応えのあるそば&ほかほかの炊き込みご飯はいつも通りで美味しかった。あぁ、ささやかなしあわせ...。


鬼無里にやってきました。本日の主目的であります。


ざるそば&炊き込みご飯。美味しそうでしょ。

 鬼無里からは県道を使って戸隠方面へ。戸隠からは日本百名道で紹介されていた「戸隠バードライン」を走行してみました。ここは長野市のすぐ裏手とは思えないぐらいの高原道路で、ストレート&アップダウンの多さが特徴的な道でした。ただ、眺望はあまりよくないので「もう一度走りたい」とまでは思えないかな...。長野市に降りるところでは「七曲り」という、1.2kmを傾斜16%で、8つのヘアピンカーブで一気に下るすごい道がありました。あんなにエンジンブレーキを酷使する道も珍しい。
 長野市内で2回目の給油を行い、長野ICから上信越道に乗り、帰途につきました。しかし、そのまま帰ったんでは面白くない。上田・軽井沢方面に向かう上信越道ではなく、諏訪方面に向かう長野道を南下、岡谷JCTから中央道で東京へ向かいました。この遠回りルートを選択した目的は、先週開通した圏央道八王子JCT〜あきる野ICを走ってみることです。その前に、景色の良い諏訪湖SAでちょっと一休憩。前回、高知からの戻りでは立ち寄りませんでしたので...。


諏訪湖SAからは湖を一望できます。

 諏訪湖SAを出て南下、双葉SAで3回目の給油を行いすぐに出発。時間が比較的早かったので渋滞にかからないかなと思っていたのですが、甘かった。神奈川〜東京県境にある小仏トンネルに到達した時は渋滞8kmほどになっていました。ただ、止まってしまう状況ではなかったのが救いでした。
 小仏トンネルを抜けてすぐに今回開通した八王子JCTがあります。ここから圏央道で関越道に向け北上していきます。新しいトンネルは中がかなり明るく、これまでの高速道路のトンネルとは印象がずいぶん違います。路面もできたてでスムーズなので、快適な走りが楽しめました。圏央道の八王子JCT〜青梅の区間は景色は楽しめませんが、明るいトンネル・2層構造の橋・地下部など変化があるので飽きません。
 鶴ヶ島JCTで関越道に合流し、所沢ICまで戻ってきました。確かに便利になりました。


圏央道開通でルート選択の幅が広がりそう。

 本日の走行、670.6km(うち一般道277.5km)でした。

2007.06.21

はじめての...。

 木曜日から出張で広島方面に出かけました。先方との待ち合わせ時間から逆算して、8:13東京駅発の「のぞみ11号」で福山まで向かうことにしていました。ところが、ちょっとした手違いから会社で予約を取り損ねたために、駅で切符を購入することに。ところが行ってみて愕然。指定席が満席だったのです。
 考えてみれば一番ビジネス客で込み合う時間なだけに当然ですね、失敗です。とはいえ福山からの接続列車は1時間に1本しかない(!)ので、後続列車ではぎりぎりアウト。やむなく最後の手を使うことになってしまいました...(下の写真を参照)。


もうこれしかない...。快適だけど、果たして出張費は出るのか!?

 実は新幹線でグリーン車に乗るのは初めてでした。1列4席(通常は5席)のゆったりシートと、足下のフットレストに感激(根が貧乏人なもので...)。おしぼりのサービスもあって3時間40分の旅は快適でした。でも、軽食付きならいざ知らず、これだけで一般指定席に対して5,000円高? ANAのスーパーシートプレミアムやJALのクラスJと比べると、コストパフォーマンスが圧倒的に悪いですね...。

2007.06.16

雨が降る前に、タイヤの皮むき

 関東地方も梅雨に入りましたが、この週末は予報が外れていい天気になりました。先週タイヤを交換してまだヒゲがついている状態なので、まずは皮むきに行ってくることにしました。行先は信州方面、所沢ICから関越道に乗り、藤岡JCTから上信越道で西に向かい、松井田妙義ICで高速を降りました。


松井田妙義IC出口。特徴的な岩肌が正面に見えます。

 普段だとR18碓氷バイパスで軽井沢に抜けるところです。バイパスは路面がスムーズでハイスピードコーナーの連続、こちらに行きたいところですが、なにぶんタイヤがまだ新品。調子に乗るとスリップダウンの危険もあるので今回は旧道を選択。こちらは廃止された信越本線の跡が見られることもあって、観光という面では人気があります。
 旧道もタイトコーナーの連続でした。制限速度も40km/hとかなり低め。勾配はそれほどきつくはありませんが、路面状態が悪いためあまりスピードを上げられません。車体を右に左に傾けながら山を登っていくと眼前に巨大構造物が現れました。有名な「めがね橋」で、れんが造りに歴史を感じます。


有名な旧信越本線のめがね橋。

 気になるタイヤのフィーリングですが、切り返しが軽くなった印象があります。ただ多少オーバーステア気味で、フロントの確実な接地感に対してリア側が少し流れているような印象。コーナーリング中にアクセル開度を少し変えただけで滑りを感じてしまうので、長いコーナーではコントロールが難しい。峠の頂きでタイヤをチェックしたところ、まだサイドの深いところまでは剥ききれていなかったので、これが特性かどうかはもう少し様子を見る必要がありそうです。
 碓氷峠の入口である坂本宿から15km走ると、長野県軽井沢です。ここからはR146で北上し、浅間白根火山ルートの南半分、鬼押ハイウェーを走ってみることにしました。こちらは2区間で約18km、浅間山の東側を南北に走るルートです。直線部が多く、左手には浅間山の雄大な姿が山頂まではっきり見えていました。新しいタイヤは路面のいいところでの乗り心地はさすがに良いです。


気持ちの良い高原道路でした。気分爽快。


展望駐車場にて。朝比較的早い時間帯のためゆっくりできました。


山頂部。現役活火山であり、山頂部は草木も生えない不毛の地。

 特徴的な鬼押出(溶岩の凝結地帯)を過ぎると、R144に出てきます。今日はここから西に進み、上田に出ることにしました。R144は典型的なローカル国道、1時間弱で上田に到着しました。
 本来ならここから長野・松本方面まで足を伸ばそうと思っていたのですが、この日は体調が今一つだったのでここで切り上げることにしました。上田駅前で休憩した後、上田菅平ICから上信越道に乗って帰路につきました。軽井沢を過ぎたところにある横川SAでは、昼食用に「峠の釜めし」を購入。せめてもの旅気分というわけです。まだ時間は早かったので、家で食べることにしました。


上信越道横川SA上り線。妙義山を北側から見られるところです。


昼ご飯を買っちゃいました。焼き物の器、大丈夫? 割れない?

 その後は来た道をそのままたどり、12:00前には自宅に到着。一般道走行を延ばすはずが、逆にほとんど高速走行になってしまったのは計算外でした。本日の走行、378.0km(うち一般道105.2km)。


一体何しに行ったのよ? 的ルーティング。

 おまけ、釜めしです。家で電子レンジで暖めてみたところ、ホカホカで美味しく食べられました。久しぶりに豪華な昼飯になりました。でも、考えてみると900円は容器を入れると高いのか安いのか微妙なところではあります。


横川名物、おぎのや「峠の釜めし」です。

2007.06.11

薄暮の瀬戸内海を飛ぶ

 この日は朝から熊本へ出張でした。朝6時半の電車で羽田へ。9時の飛行機で熊本に向かい、会議に出席、小さな用事を済ませて夕方再び空港へ。移動だけでも結構疲れます。
 夜7時発の帰りの飛行機はガラガラでした。窓の外には薄暮の中にうっすら国東半島・佐田岬・松山市街が見えていました。仕事を終えてほっと一息つけるこのひとときが私は好きなんです。

2007.06.02-06.03

グループツーリング in 会津

 職場の同僚とグループツーリングを行いました。もともとはゲストエンジニアとして出向して来ている人に「ツーリングしたいです」とお願いをされていて、それに応えたものでした。ところがこの週末はその方が都合が悪く不参加で、結局集まったのは4月のいわき行きで同行したHaくんと、大卒ルーキーHoくん、高卒ルーキーのTくんと私の4人。特にTくんはロングツーリング初のため、主催者としてはちょっと不安なところが...。
 さて、7:15に職場を出発、T君とともに和光北ICから外環道に乗り、川口JCTから東北道で北上しました。聞けばTくん、二輪で高速に乗るのも初めてということだったので、まずは一番左の車線で80km/hのスローペースで走行。慣れてきたところで徐々にスピードを上げていくようにしました。蓮田SAで小休止したあと、佐野SAにてHaくんとHoくんと合流。4台の100km/h編隊走行でさらに北上しました。途中、上河内SA・那須高原SAで小休止した後、11時ぐらいには磐越道分岐の前の安積PAに到着、ここで1回目の給油を行いました。


安積PAにて。いよいよ東北地方に突入。いい天気です。

 郡山JCTから磐越道に入り、西に向かいました。ここはいつもは横風が強いところですが、この日は非常に穏やかで走りやすかった。トンネル区間を過ぎ山を下っていくと左手には猪苗代湖、右手には会津磐梯山が見えてきます。この日の磐梯山には雲もかからず、山の稜線がはっきり見えていました。
 この先にある磐梯河東ICで高速を降り、一般道の走行開始です。まずは喜多方市街を目指します。


磐越道・磐梯山SAにて。後方、林の向こうに見えるのは磐梯山。

 もちろん、昼食は喜多方ラーメンと決めていました。ここはHaくんに店のチョイスをお願いしたところ、「まこと食堂」という有名な店に連れていってもらいました。ところが行ってびっくり、すごい行列でしたが、回転が早かったので比較的早く食べることができました。味の方は確かに美味しい。とくにチャーシューは絶品でした。私的には麺のコシがもっとあるほうが好きなので、どちらかというと丸見食堂の方が好みかな。残念ながら写真撮るのを忘れてしまいました(それだけお腹が減っていた?)。


おお、すごい行列だ! でも回転は早かった。

 補給のあとはいよいよ本日のメインイベント、連続ワインディング路です。喜多方から磐梯山の裾野に沿って、東向きに戻ります。最初の道は磐梯山の南側を登る有料道路、磐梯山ゴールドラインです。この道路は非常に眺めが良く、猪苗代湖と磐梯山が間近に見える絶好のドライブ・コースです。路面が良いので走りもかなり楽しめます。所々小休止し、メンバーでお互い写真を撮りながら坂を登り、裏磐梯に向かいました。


磐梯山です。緑がすごくきれいでした。

 峠を越えると今度は林の中を桧原湖に向かって駆け降りていきます。裏磐梯からは正面から見るのとは全く違う磐梯山の姿に気づきます。爆裂火口がはっきり見えました。でも、あれだけの土砂が吹っ飛ぶとは、火山の力は恐ろしい。1888年の大噴火では五百人以上の犠牲者が出たそうです。


裏磐梯から見た爆裂火口

 コンビニで小休止した後、桧原湖の東岸を北に向かってもう一つのワインディングルート「西吾妻スカイバレー」を目指しました。こちらは急勾配で米沢との間にある白布峠に駆け上がっていく道。路面は荒れていますが、ヘアピンカーブがたくさんあって面白い道路です。もちろん眺めも良くて、桧原湖と磐梯山が見えます。前回来たのは秋でしたが、この時期は緑が非常に美く、全く違う景色に見えます。


これぞツーリングの醍醐味。いい景色と面白い道。


桧原湖と磐梯山。空と山、湖のコントラストが絶景。


これがスカイバレーの特徴的な道。

 山形県境の白布峠からスカイバレーを折り返し、再び桧原湖へ。今度は湖の西側を南下し、一周してみることにしました。西側はまだ狭いところもありますが、林の中を駆け抜ける爽快なレークサイドライン。林の中は涼しくて気持ちよかったです。
 この日泊まったのは桧原湖の南端にある「ペンション楓」さん。若いご夫婦(と小さなお子さん)で営業されている宿で、売りは「米沢牛のビーフシチュー食べ放題」。また、近くのリゾートホテルの温泉にも入れるということで今回選びました。到着後、ご主人に勧められてすぐにお風呂へ。裏磐梯猫魔ホテルまで車で送ってもらい、ゆっくり入浴してきました。露天風呂から見る桧原湖の眺めも最高で非常に気持ちよかった。身体をほぐして宿に戻って待っていたのはお待ちかねの夕食。パンを器にしたグラタンや炊き込みご飯など、オリジナリティあふれる料理の数々。そして柔らかいビーフシチュー。このボリュームはすごいし味も最高、ぜひまた来たくなりました。でも、ちょっと食べ過ぎたかな...。

 翌朝、少し早めに起きて散歩を楽しみました。五色沼までは徒歩15分ほどかかりましたが、行った甲斐がありました。東側から差し込む光に照らされて、エメラルドグリーンが輝いて見えます。空気も澄んでひんやり。人も少ないのでゆっくり森林浴を楽しんでリフレッシュ。戦闘前(?)のささやかな安らげるひとときでした。


早朝の五色沼・毘沙門天。背後には磐梯山。

 宿に戻ると、朝食が待っていました。こちらではパンも自製しているそうで、ふかふかの柔らかいパンは絶品。もう自宅に帰る気持ちがなくなりそうに...。
 出発前に宿の前で参加者全員(といってもこれだけですが)で記念撮影。今回のツーリングの宿のチョイスは見事に当たったと言えそう。コメントを聞く限り参加メンバーにも好評だったようです。8:30に宿を出発、日曜日も最高の天気に恵まれました。


食事も風呂も最高でした。ぜひまた来たいな。

 桧原湖からはR459で再び喜多方を目指しました。山を降りて市街地にある「まちの駅 きたかた物産館」に立ち寄りお土産を購入。ここから南下して会津坂下にて2度目の給油。その先にある会津坂下ICの前でブリーフィングを実施。ここから只見までのR252の70kmをフリーペース区間として、自分の好きなスピードで走っていく設定にしました。景色を見ながらゆっくり走るもよし、ハイペースでコーナーを抜けるもよしです。今回私は主催者なので、一番最後に少し時間を置いてから追いかけていくことにしました。


ここからお楽しみ、フリーペース区間です。

 私にとってはもう何度も来たお気に入りの道で、どこに何があるかはわかっているため、いつものペースで駆け抜けていきました。今の時期は緑が非常に鮮やかな季節、道から見る川面の深い緑と、山の明るい緑が非常に言いコントラストを見せています。秋とはまた違う味わいです。相変わらず、只見川の流れは豊かですね。時間がゆっくり流れる感じがします。


只見川にかかる寄岩橋から。青い鉄橋はJR只見線です。

 1時間ちょっとで再集合場所のJR只見駅に到着しました。私は途中で2台を追い抜いてしまったみたいで、2番目に到着。しばらく待つと残りの2台も無事到着しました。
 只見駅のそばにある食堂で昼食にしました。私はお勧めメニューの「鴨さるそば」を食べてみました。ちょっと期待とは違って、ホットな汁に鴨肉とねぎが入っていて、こってり系でしたが美味しかった。ただし、ちょっと季節的には外してしまったかな...。


鴨ざるそば。ホットなのでやや季節外れのチョイスか?

 只見駅を出発するとすぐに田子倉ダムに差しかかります。メンバーの一人からダムの迫力をカメラに収めたい、という希望があったのでダム堰堤の上下で小休止することにしました。田子倉湖の向こうに広がる山にはまだ雪が残っていました。さすが、日本有数の豪雪地帯です。この雪が只見川の流れが豊かな理由ですね。
 ここから新潟県境まではタイトコーナーの続く絶好のワインディングなので、この区間をスペシャルステージ区間と設定しました。今回も私は殿(しんがり)を勤めることに。


田子倉ダムの下にて。道はここからワインディングです。


田子倉湖の向こうにはまだ雪の残る山がありました。

 前区間では前走車を追い抜いてしまったため、今回は少し時間をおいて追いかけましたが、これが裏目に出ました。途中で中途半端に早く走ろうとするワゴン車に前を塞がれたこともあって苦しかった。加速性・旋回性ではるかに勝るバイクを鈍重なワゴン車が抑えられるわけないのですから、さっさと譲ってくれればいいものを...。
 結局前走車に追いつくことなくスペシャルステージは終了してしまいました。再集合地点の福島・新潟県境に10分少々で到着。自分的には、なんか消化不良だ...。


六十里越を抜け、新潟県に入ってきました。

 その後は4台でR252をひたすらまったりと編隊走行。県境から40分ちょっとで魚沼市の旧小出に出てきました。いよいよツーリングは一般道区間が終了で、ここからは関越道で首都圏に戻ることになります。時間は14:00と予定より少し早めの展開になりました。


道の駅 ゆのたににて。これで一般道区間は終了。

 小出ICから関越道に乗り、関越トンネルを抜けて赤城高原SAで最後の給油。埼玉県に入った寄居PAで最後の休憩をしてグループを解散しました。ここからHaくんとHoくんは埼玉県東部へ向けて戻ることに。私はTくんを連れて所沢まで行くつもりでした。
 花園IC付近での渋滞は予測していた通り。ですがまだ長くはなっておらず数分で通過できました。ところが鶴ヶ島JCTで事故が発生していて、渋滞がどんどん伸びて東松山IC直前でそれに捕まってしまいました。そこで予定を変更、東松山ICで高速を降りて並走するR254で南下することにしました。R254は混んではいたものの動かなくなるほどではなく、結局18:00過ぎには川越市街を通過。私は自宅と川越の間にあるバイクショップに立ち寄って部品を注文。その後自宅近くまで戻ってTくんと一緒に夕食を摂り、Tくんを家まで送った後に自宅に戻りました。走行終了は19:30、無事にイベント終了です。


ようやく帰着。もう19:30を回っていました。

 この2日間の走行、781.7km(うち一般道344.3km)でした。今回のツーリングは2日間とも好天に恵まれ、景色・宿・食事・風呂そして道と、最高グレードの旅にできました。


私の一日分のルートですけど、2日かけてじっくり楽しめました。

2007.05.26

春と夏の狭間、新緑ツーリング

 この週末の天気予報は雨でしたが、幸いにも少し天気の移り変わりが早くなったようで、夜半には雨が上がって朝は抜けるような青空が広がっていました。2週間お休みして身体の疲れも取れてきたので、今週は群馬・長野方面に出かけることを前夜に決定。いつもと同じ6:00に自宅を出発、暑くなりそうだったので今日から"夏服"に変えました。


いよいよ本格シーズンのスタート。夏服に変えました。

 所沢ICから関越道に乗って北上、埼玉県と群馬県の境にある上里SAで給油した後、渋川伊香保ICで高速を降り、山に入りました。まず向かったのは榛名山道路です。伊香保の温泉街を抜けると、急勾配で榛名湖に向けて登っていきます。いささか路面が荒れているのが残念ですが、抜きどころも数ヶ所用意されているため、遅いクルマをかわすことができます。もっとも、早朝のためクルマも少なく快調に流せました。この道の特徴はワインディングの後に突然現れるストレート。朝の澄んだ空気の中を気持ちよく走り抜けました。


よく紹介される場所です。榛名山道路の直線。

 榛名湖からは西に進路をとり、榛名神社の脇を通ってR406に出ました。ここからは北上で草津方面を目指します。このあたりは以前CB400SFで来たところ。道はおおむね整備されていますが、途中の須賀尾峠だけはまだ狭いところが残っています。ただ路面状態は悪くないのでそこそこのスピードで抜けられます。
 長野原からはR145&R144で西へ。途中から分岐するR292を使えば志賀草津道路に直接入れますが、今回は浅間白根火山ルート・万座ハイウェーを走ってみることにしました。23.3kmの有料道路で二輪車は720円。ちょっと高いですけど、話のタネにするつもりで行ってみました。
 さすがに有料道路だけあって、路面もスムーズでした。しかしながら道は期待したほどタイトな道ではなく、遠景は山の稜線ばかりでちょっと期待外れかな。それでも南側は新緑の林の中、北側は硫黄の匂いも漂う荒涼とした景色と異なる雰囲気を味わえました。


万座ハイウェー。景色・道ともにやや中途半端な印象。


万座ハイウェーの北側は火山地帯の真ん中。硫黄臭がきつかった。

 万座のスキー場を過ぎると、九十九折れの道で一気に標高を上げていきます。しばらく走ると志賀草津道路R292に合流しました。今回は長野方面に足を伸ばす予定がなく、比較的時間に余裕が持てるはずなので、過去2回は素通りした湯釜に行ってみることにしました。ところで駐輪場代は100円、がめつい印象...。
 駐輪場にVTRを停めてから、湯釜までは下の写真にある坂道を徒歩で登らねばなりません。これが結構勾配がきつくて距離も長く、息も絶え絶えになってしまいました。すっかり普段の運動不足を思い知る羽目に。でも、ようやく頂上までたどり着いて見えたものは本当にすばらしかった。天気も良かったし。


あの丘の向こうが湯釜です。日ごろの運動不足を呪う。


坂道の疲れも吹き飛びました。乳緑色の水面が神秘的。

 湯釜を後にして、R292をさらに北上します。少し走ると「日本国道最高地点」である渋峠(標高2,172m)があります。昨年来たときにはガスが出ていて何も見えませんでしたが、今日はご覧の通りすばらしい天気。石碑の向こう側をのぞいてみると、山の斜面に残った雪と新緑のまだら模様が見えました。もうすぐ緑に覆われてしまいそうですね。万座ハイウェーの南側あたりは初夏の雰囲気でしたが、このあたりではまだ「ようやく春」という感じです。


日本国道最高地点の渋峠(標高2,172m)


雪と新緑のまだら模様。ここの季節はまだ春です。

 R292を長野県側に降りていきましたが、ここでは大型バスに頭を抑えられ我慢のライディング。道が観光道路なので致し方ないところではありますが、リッタークラスでゆっくり走るのもなかなか辛いものがあります。せめて広いところで譲ってくれればいいんですけど...。
 さて、今回のツーリングの2つめの楽しみは「奥志賀林道」です。この道はR292の途中から分岐し、北に向かって走る県道です。以前に紹介した「絶景を走る 日本百名道」に載っていたため、今回走ってみることにしました。R292から分岐してしばらくはスキー場の中を走り抜けていく感じですが、それを過ぎると沢沿いの道になり、どんどん深い森の中に入り込んでいきます。このあたりは緑がすごくきれいでした。


"林道"ですが全線舗装済み。スムーズだがダスティ。

 道は徐々に高度をあげ、山の尾根に沿って走るようになります。景色はいいのですが、森が深いのでなかなかすっきり景色が見られるところがなかったのが残念。路面はスムーズですが交通量が少ないせいか、落ち葉や小さな落石があるのであまり思い切っては走れません。どちらかというと森林浴を楽しむ道と言えるかも。また長さも半端ではなく、全線で50kmを超えるという長丁場。最後の方はクラッチを操る左手がつりそうに...。仕方がないのでクルマのトルクフルな特性を活かし、2速にホールドしてアクセルだけでスピードコントロールしてました。


ようやく50km以上の山道を抜けられました。

 奥志賀林道の北側入口は長野県の最北端、栄村です。幹線道であるR117に合流したところでちょうどお昼時になったので、「道の駅 信越さかえ」で昼食にしました。今日の昼飯は「豚の生姜焼き定食」です! 以前来たときには豚汁だったけど、さすがにこの季節ではちょっとね...。味はやや濃いめだったものの、ジューシーで美味しかったです。


豚の生姜焼き定食。一生懸命走った後の食事は格別。

 ところで、この道の駅の裏手には信濃川が流れています。雪の多いところが水源の川は、流れが豊かですね。昨日の雨のせいか、水はかなり濁っていました。それにしても、このあたりも緑がすごくキレイです。やっぱりツーリングには5月が一番いい季節ですね。今日はバイクがたくさん走っていました。


雨上がりでかなり濁っている信濃川。水量は豊富。

 栄村を過ぎると新潟県に入ります。給油を行った後、十日町からR353で東に転じました。塩沢に抜ける十二峠のトンネルに入る直前で3つめの楽しみ「魚沼スカイライン」に入りました。魚沼スカイラインは関越道・R17・上越線・上越新幹線という交通の大動脈の西側にある山の尾根を走る道。地図の上からは非常に眺めがよさそうなので、一度行ってみたかったのです。
 期待通りでした。所々に設けられた展望台からはすばらしい景色が見られました。ちょっと霞んでしまっているのが残念ですが、それでもダイナミックな眺望が楽しめます。


湯沢方面を見る。かなり標高も高いようです。


魚沼方面を見ています。遠くには雪を被った駒ヶ岳も見えます。

 一方、道のほうはあまり良くありません。路面は荒れているし、かなりの区間が1〜1.5車線区間でした。南側は落石も多くかなり注意が必要。北側には路面がコンクリート舗装のところもあって、とても「流して気持ちよく走る」という雰囲気ではありませんでした。対向車はほとんどありませんでしたが、全線走破には結構な時間がかかりました。


こんな道のくり返し...疲れる。

 魚沼スカイラインはR253に突き当って終わりです。R253で六日町に出てR17で南下を開始しました。まだ時間がたっぷりあったので、関越道は使わず三国峠を越えて関東に戻ることにしました。
 今日は幸いにも遅いクルマに引っ張られることもなく、三国峠を越えて順調に群馬側に戻ってきました。途中、走り詰めでさすがに疲れてきたので「道の駅 たくみの里」にて休憩しました。この「たくみの里」、そばの手打ちや木工、竹細工などが体験できる工房が24箇所あり、色々と楽しめそうです。街の雰囲気もそれらしく整備されているようで、1日ゆっくり来てみるのも面白いかも。


「たくみの里」、いろいろと楽しめそうです。

 たくみの里からは県道を使って中之条に向かいました。R17は幹線道路であまり面白いところもないので、ちょっと遠回りですが峠道を使って距離を稼ぐことにしました。残念ながらこちらはあまり特徴のない峠道でした。
 中之条からはR353で渋川へ。渋川でR17に合流し、渋川伊香保ICから関越道で自宅まで戻ってきました。


帰ってきました。疲れた...。

 本日の走行、560.5km(うち一般道372.5km)でした。11時間半のツーリングでしたが、今回はかなりの区間が山道。さすがに疲れました...。


コンパクトに見えますが、内容の濃いルートでした。

2007.04.27-05.05

春の特別企画・GW土佐路ツーリング

 今年のGWはちょっとばかりアクティブに。愛車VTR1000Fで四国を走り回ることにしました。連休突入の金曜日、会社を少しばかり早引けして東京港へ。首都高5号池袋線で渋滞して焦りましたが、予定通り出港1時間半前に有明の東京港フェリーターミナルに到着できました。乗船手続きを済ませたところ、すぐに乗船するように指示されたので、即座に乗り込みました。


いよいよ乗船します。船の行先は徳島です。

 今回利用した船は東京〜徳島〜北九州を結ぶ「東九オーシャンフェリー」。その4隻ある船のうちカジュアルフェリーに当たりました。二等寝台のみしかなく、レストランなどはなし。自動販売機で食事をとるタイプです。サービスは期待できませんが、おかげで料金も安価なのが救いです。


さらば東京。後ろに見えているのは東京ビッグサイト。

 おまけ。二等寝台はこんな感じです。出港から徳島到着までは18時間の旅です。出港後、甲板に出ると東京の夜景が遠く見えました。また、海から見る羽田空港の明かりは非常に賑やかできれいでした。
 さぁ、いよいよ明日から走り放題の日々です。6年前にはVT250 SPADAであちこち行ったことはありますが、走り方が変わったマシンを駆ることが非常に楽しみです。


1室8人。幅が比較的広いのが救い。

 4月28日、朝6時に目覚めるとそこは大海原でした。甲板に上がってみると360°が海。航行状況の表示板を見てみると、潮岬の手前で一番陸地から離れているところでした。
 徳島に入港する昼までは特にすることもないので、文庫本を一冊読破。12時前には進行方向左に陸地が見えてきました。これからのメインステージ、四国です。接岸まであと1時間少々というところ。


入港地、徳島が見えてきました!

 13:10に予定通り徳島津田港に入港しました。ところが予想以上に接岸に手間取り、下船できたのは14:00直前でした。天気はやや曇り、気温は高く冬ジャケットでは暑すぎました。
 徳島から実家の高知に向かうのに考えられるルートは4つあります。一つはオーソドックスに高速で行く方法。これは最も楽ですが面白みに欠けます。高速に平行して走る下道もありますが、こちらも景色の変化に乏しい。三つ目は海沿いに室戸をまわる道ですが、こちらは高知まで180km以上あるので、4時間では少々きつい。残るは剣山の側を山越えするR195です。まだ走破したことのないこともあり、今回はR195を選びました。


接岸直前、待ちに待った自走モード。

 徳島市からR55で南下、小松島市・阿南市を抜けます。このあたりはバイパスが整備されていて昔の面影は全くありません。途中、阿南市で給油した後いよいよ本題のR195に入ります。
 そのR195の徳島側は、期待に違わぬワインディングでした。道はやや狭いものの、タイトターンから高速コーナー、アップダウンがあって非常に面白い。こういう道こそVTRの本領発揮。車も少ないので非常に楽しかった。
 ところが、奥地の上那賀町に入ったあたりで状況は一変。道幅は1.5車線になり、離合にも不自由するほどの酷道ぶり。山深さもあって、なかなか心細い思いができます。上那賀町では秘境名物の対面通行トンネルに遭遇。夜こんなところを走ったらさぞ怖かろう。


上那賀町で対面トンネルに遭遇! まだこんなのがあろうとは。

 難所である旧木頭村を抜けると、県境の四ツ足峠にさしかかります。峠にある長いトンネルを抜けると私のふるさと高知県です。いよいよファイヤーストームで帰って参りました。ところが看板を見てびっくり、「香美市」ってどこよ...? 私の記憶にあるのはあくまでも物部村ですが、平成の大合併で市町村名はすっかりわからなくなっています。


西日の中、高知県に入りました。ここから先は快適ルートでした。

 R195の高知県側は一転してスムーズな道でした。物部川に沿った谷間を通る道のため、タイトコーナーも少なく、高速コーナーばかりで流すのには最適な道。県境を超えてから1時間もかからず、高知平野の鉄道の玄関口である旧土佐山田まで出られました。そこからさらに30分強で高知市内の実家に到着。肩慣らしとしてはちょうどだったかな。
 4月28日の走行、すべて一般道のみ178.1kmでした。


まずは肩慣らしルートですかね? 交通量少ないので面白い。

 4月29日は朝から雲一つない快晴。まずは愛媛県方面に向かうことにしました。高知市からR33で西に進み、いの町からR194に入ってまっすぐ北上しました。
 R194は高知市から愛媛県西条市に向かう最短ルートで、途中難所が以前ありました。ところが改良工事が進み、特に県境部は5,500m級の長大トンネルが開通して様変わりしているようです。このルートの見どころは仁淀川の中流部に沿った快適ルート。抜きどころ多数で、かつ平均時速も高めで快適に走れます。出発から1時間半で県境手前にある「道の駅 木の香」に到着したところ、県外ナンバー(あ、私もそうだ)のバイクがいっぱいでした。


県外ナンバーのバイクだらけです。あ、自分もそうだった!

 道の駅を出ると、すぐに県境の寒風山トンネルに差しかかります。目の前には巨大な山の壁。1,800mクラスの山の向こうはもう瀬戸内海です。今日は雲一つないいい天気。稜線もはっきりと見ることができます。下の方は新緑が出て、だんだん深い色に変わっていっていますが、まだ山頂部は少し寒い色です。


高知で最も高い山、瓶ヶ森と寒風山です。

 数年前、この山を貫通する寒風山トンネルが開通して大幅に時間が短縮されたそうです。でも、今回はVTRで来ている私は当然旧道を選択しました。やっぱりオンロードバイクに乗ってて一番楽しいのはこういう峠道、いくら遠回りだっていいのです。1〜1.5車線の狭い道を20分ほど駆け上がると、登山道の入り口と県境の旧寒風山トンネルの入口に到着しました。そこから見た風景は四国の山深さを再認識するものでした。


瓶ヶ森林道入口から見た南側。四国はやっぱり山深い。

 寒風山を愛媛側に降り、しばらく走ると西条市に出てきます。西条市からはR11で西に進みました。R11はさすがに幹線国道、道は広くて走りやすい。約1時間で松山市に到着しました。現在は高速道路が完成しているせいか、道も比較的空いていました。昔は大型トレーラーやトラックが多くて、なかなか快適に走れなかった覚えがあるのですが、今回はそんなことはありません(ただし、今の敵はちょろちょろ出てきて制限速度より遅く走る軽トラです)。


松山に到着。でも込んでいたので観光地には立ち入らず、スルー。

 松山市の中心部を避け、R33で南下を開始しました。R33最大の難所である三坂峠の登り口にある、砥部焼観光センターでしばし休息。ここは子供のころ、よく家族で松山からの帰路に立ち寄っていたところです。ここの焼き物は丈夫で、かつデザインもシンプルなのが多く、私の茶碗や湯呑みはここのものを使うのが定番でした。建物は建て変わって面影はないですけど、場所だけは変わっていませんでした。


ここの焼き物はお勧めです。R33三坂峠の登口にあります。

 三坂峠は12kmで800mを駆け上がる急峻な坂道です。所々登坂車線はあるものの、これを逃すと遅い車に引きずられてしまうのが怖い。幸い、この日はあまり引っ張られることはなく、タイミング良く登坂車線にかかれたので難なく遅い車をかわすことができました。ラッキー。
 久万高原町で給油し、しばらく走ると道は仁淀川と並走するようになります。途中、「道の駅 みかわ」で休憩。ここもバイクがいっぱいでした。


このあたりから仁淀川と並走です。

 美川からしばらく走ると、柳谷村に入ります。このあたりも山深いところではありますが、仁淀川の豊かな流れに沿って気持ちよく走れます。大きく寝かし込むようなコーナーは少ないものの、一定速でコーナリングすると爽快。途中、面白いものを見つけたので立ち止まりました。岩肌に、文字が書かれているのです。もう苔むして消えかかっていますが、確かこう書かれていました。
 「荒れて行く 故郷の姿 哀しくも 永久なる母か 仁淀川」
 実はこの文字、30年以上前から書かれていました。今思うと、深いメッセージです。


R33は仁淀川に沿った爽快なドライブコース。


深いメッセージです。今、この文字に気付く人はいるだろうか?

 柳谷村の次は、高知県仁淀川町。このあたりは「かけみず」のルーツの地です。1年前、家族と泊まりに来た場所に再び立ち寄ってみました。昨年は「次はVTRで!」と書きましたが、それがようやく実現しました。折角なので、名野川の奥にある吾川スカイパークまで足を伸ばしてみました。本当はその先にある中津明神山に行きたかったのですが、道が良さそうではなかったため断念しました。遠隔地ツーリングなので、どうしても無茶はできません。


吾川スカイパークにて。次は翔ぶしかない?

 吾川からは佐川町までR33で戻りましたが、そこから今度はR494に乗り換えて南下、須崎に向かいました。時間が少し早かったので、海を見てみようと思ったからです。佐川から約30分で、太平洋岸の須崎市に到着。そこから東に進み、横浪半島を走る道に入りました。ここは以前有料のスカイラインだったところですが、現在は県道で無料開放されています。太平洋に突き出た半島の尾根を走る道なので、高いところから見る太平洋は絶景です。もちろん、タイトなコーナーも多く走りのコースとしても楽しい道です。


横浪半島にて。蒼い空と青い海、最高!


横浪から眺める太平洋は雄大です。

 その後は海沿いを東に進み、高知市まで戻ってきました。観光地である桂浜の近くでは大渋滞。高知市をぐるっと回ろうかと思いましたがそれは断念。さすがに9時間弱走り詰めで、くたびれました。市内の中心部を流れる鏡川の河川敷で一休み。ここは昔阪急ブレーブスが高知でキャンプを張っていた際の宿の前です。昔はこの辺りをよく選手が散歩したりトレーニングしてたっけ。


この辺りは私の中・高時代の庭です。

 帰り際、正面から高知城を捕えるチャンスがあったので、写真を撮りました。それにしても、今日は本当にいい天気でした。まさに抜けるような空、夕方でもまだ雲を見ないとは。気温はやや高かったものの、最高のツーリング日和でした。


青空にそびえる高知城。昨年は功名が辻で盛り上がりました。

 4月29日の走行、すべて一般道332.6km(積算510.7km)でした。消費ガソリンは17L、平均燃費は19.5km/Lでした。


ひたすら山間部を走り、最後に太平洋。

 4月30日も引き続きいい天気でした。今日のお出かけは高知県の東部です。海岸線沿いに徳島の日和佐まで走ってこようという企画です。高知市からR55で東に向かい、奈半利まで一気に走りました。R55は海沿いを高知から徳島まで続く道で、整備も早くから進んで走りやすい道です。
 奈半利からはR493野根山街道で一気に土佐湾から紀伊水道まで山越えを初体験。この道、古くは参勤交代で使われていた道だそうですが、国道の番号を見てもわかるように昇格したのはつい最近。実際、走ってみるとかなり山深い道でした。


野根川にかかる橋の上にて。山は低いが道はそれなり。

 ところで、紀伊水道側に向かって狭い山道を走り抜けていて。空に奇妙なものを発見しました。すかさず停車して、デジカメでなんとか捕えることに成功。一見虹のようですが、虹のようにはっきりした形があるわけでもないですし、何より雨上がりというわけでもありません。それでも七色に光っているのは確かで、珍しい現象に遭遇しました。


発光現象確認! 虹のようでもありますが、この正体は!?

 さて、先にも書いたようにR493はほとんどの区間が1.5車線で、所々1車線しかない道が続きます。加速能力の高いマシンなので、平均するとそれなりのスピードで抜けられますが、対向車がいつ出てくるかわからないので、どうしても緊張するせいか疲れます。こんな道をひたすら走ること40km、ようやく山を駆け登っていく区間に突入。最も高いところが四郎ヶ野峠です。海まであと8kmです。


こんな道がひたすら続くのです。疲れます。


四郎ヶ野峠に到着。あと8kmで海に出ます。

 四郎ヶ野峠では車で先に来ていたおじさんにコーヒーをご馳走になりました。こういうことができるのが、バイク旅のいいところです。お互いに反対側から来たので、これからの道の情報交換をして別れました。ごちそうさまでした。
 海に出ると、再びR55に合流。徳島に向けて北上を開始しました。途中、徳島県に入ったところにあった「道の駅 かいふ」で休憩しました。このあたりは内海になるので、波も比較的穏やかです。日差しもどんどん強くなって、ジャケットの裏側はもう汗だくになりました。それでも走っていれば風が非常に心地よい。R55はのんびり走る分には最高のドライブコースです。


R55は格好のドライブルートです。

 さらに北上し、牟岐町からはR55を逸れて、海沿いの県道に入りました。この道は南阿波サンラインといって昔はスカイラインでした。海岸線に沿って比較的高いところを走るので、眺めもいい上に路面がスムーズなのがバイクにとって嬉しいところです。また、コースとしてもタイトコーナーも多くて走るのが楽しい道です。タイヤのグリップ感をたっぷり感じられるので、思いきり寝かし込んだコーナリングを楽しめました。


南阿波の海岸線。内海らしい佇まい。


定番ですが、絵になる構図です。

 途中には海岸に降りられるところがあります。まだ時間にも余裕があったので、海岸まで下ってみました。下の写真のある静かな入り江。小休止するにはいいところです。実は、ここは昔私が小学生のころ、日和佐の薬王寺参りに来ていたときに家族でお弁当をよく食べていたところ。このあたりは全然変わっていないです。思い出が蘇りました。


懐かしい海岸。あの頃は希望に溢れていた。今は?

 南阿波サンラインを抜けると、すぐに美波町(旧日和佐)に到着します。ここは四国遍路88ヶ所の一つ、薬王寺があるところで、お遍路さんでにぎわうところです。実際、この四国ツーリングの間にあちこちでお遍路さんの姿を見かけました。さて、日和佐には大きな規模の「道の駅 日和佐」ができていて、観光客でにぎわっていました。お寺以外は30年前の面影なし?でした。


道の駅から。後方に見えるお堂が薬王寺です。

 この時点で12:00を回っていたのと、これ以上進んでも特に見どころはないので、日和佐からはR55を引き返して帰路につきました。途中、海南で給油を行いどんどん南下。県境を越えて高知県に入ってから、室戸岬に向かっては50kmが海岸線沿いにハイスピードで走るドライブ・コースです。少々風が強いところですが、信号も全くなくタイトカーブもないので、車は順調に流れます。しばし潮の香りを楽しみながら走り続けました。


室戸岬に向かって果てしなく続く海岸線。

 室戸岬を回って、今度は北西に向かって進みます。室戸岬では急勾配で海岸段丘を駆け上がるスカイラインも走ってみました。ただ、この道は路面状態があまり芳しくないのでちょっと面白いとは言えないです。
 その後、市街地を抜けたあたりで小休止。実はこの室戸、私が3〜4歳のころ住んでいた場所で、一番古い記憶がこの海岸なのです。その場所に行って、しばし佇んでみました。あれから30余年、こんな形でまた訪れることになろうとは。人生はわからないものです。


かけみずの一番古い記憶は、この室戸の海。

 そのままR55を走ると、阪神のキャンプ地として有名な安芸市に入ります。帰路少し時間もあったので、観光名所である野良時計に立ち寄ってみました。昔NHKの連続テレビ小説で有名になりましたが、残念ながら今は動いていないそうです。以前に比べると整備されたものの、すっかり観光地化されて素朴な味わいはなくなりましたかね...。どっちがいいかは微妙なところ。


安芸の野良時計、でも動いてないそうです。

 その後はR55で東に進み、途中からは国道を離れて海沿いの道を通り、高知市へ。最後は港口にかかる浦戸大橋を渡り、市内の混雑を避けつつ実家まで戻ってきました。
 4月30日の走行、すべて一般道333.4km(積算844.1km)でした。


ほとんどが海岸線のコース。潮風が心地よかった。

 5月1日は午前中が雨でした。このためツーリングも一休みです。一方、昨日室戸からの帰路、ドライブチェーンのばたつきが気になっていました。そこで、バイクショップでチェーン調整をしてもらいに出かけました。
 高知にもHonda DREAM店が2店オープンしていたので、そちらに持ち込み調整をしてもらいました。待つこと15分で作業は終了。スイングアームのリアアクスル位置調整とチェーンルブを差してもらって、発進時のガリガリという音は消えました。これで安心して走れます。
 ショップからの帰路、バイクの用品店に立ち寄り夏用グローブを購入しました。これで手のひらの汗から開放されるかな。5月1日の走行、一般道のみ25.8km(積算869.9km)でした。


GW後半戦に向けて、ちょっと一息。

 5月2日はやや風が強く、曇りがちではあったものの晴れ。この日の目的地は高知県西部、四万十川沿いに走ってみることにしました。時間節約のため、伊野ICから須崎東ICまで高速を使って西に進みます。以前は須崎市まで1時間程度はかかっていましたが、今は30分強で到達できます。
 須崎を過ぎ、R56で約10分走ると中土佐町久礼に到着しました。ここはカツオの「土佐の一本釣り」の故郷。町には大正市場という市場があり、10年前には朝揚がったばかりの新鮮な水産物を売ってくれることで、大いに賑わっていました。ただし、今は漁師の後継者不足もあり、あまりいいものが見られないそうで廃れ気味とのこと。哀しいことです。


久礼の海岸にて。こぢんまりした港で居心地がよい。

 久礼を出て、国道に戻らず海岸線沿いに走ってみました。この県道はまだ充分には整備されておらず、1〜1.5車線の厳しい道でした。しかし、町境を越えるところでは比較的高い峠があって、そこからの長めは非常に良く、南一面に水平線が広がっていました。エンジンを切ると打ち寄せる波の音がすぐ近くに聞こえてきました。こういう素朴で観光地化されていないところの方が私は好きです。


道は面白い、景色も最高です。

 上ノ加江を経由し狭い道を約30分ほど走って、ようやくR56に再合流しました。ここからは整備された幹線国道をさらに西に走ります。全般的に高知県西部の海岸は岩場が多いですが、黒潮町(旧大方)から中村にかけては砂浜と松原が広がります。下の写真は黒潮町に入るところにあった公園で撮ったもの。天気は大分回復して、気温も上がってきました。


あと20km少々で四万十川です。

 出発から2時間半で四万十市(旧中村市)に到着しました。ここは小さいながらも碁盤の目状に街ができていて、土佐の小京都と呼ばれるところ。最近はトンボで町興しを図っているところです。特に大きな観光地があるわけではありませんが、渡川(四万十川)・後川に囲まれた静かな街です。ここからは険しい山道に入るので、タイミングは少し早めですが給油しておきました。これからいよいよ四万十川をさかのぼっていきます。


中村の赤鉄橋から、四万十川上流方向を見る。

 中村からR441で、四万十川本流沿いに北上していきます。この道、中村に近いところでは2車線の整備された道でしたが、約10km走ると酷道ぶりを発揮してきます。所々、離合も難儀するような狭いところがあって、そこはかなり減速を強いられます。事実、前を走っていた県外ナンバーの車は離合のタイミングがわからないのか、対向車が来ているのに突っ込みすぎて苦労していました。


こういう景色がひたすら続きます。

 中流域をひたすら走っていると、沈下橋を発見しました。沈下橋とは水位が上がって橋が水没しても流されないよう、欄干も何もつけていないコンクリートの橋です。水没前提なので水面からの高さも低く、夏はよく子供がここから飛び込んで遊んでいます。実際以上に狭く見えるので、幅の広い車では用事がないとあまり通りたいとは思いませんが...。この沈下橋、四万十川独特と思われがちですが、実は高知市よりの仁淀川でも同じようなものが見られます。


高知名物、沈下橋! こういうのがいたる所にあります。

 昼を過ぎて、愛媛県宇和島に一番近い江川崎に到着しました。ここからはR381に乗り換え、東に向かって戻っていきます。四万十川もここでターンしているわけです。R381は一ヶ所だけまだ狭いところがのこっていましたが、おおむね整備され走りやすい道でした。途中、予土線の十川駅近く(旧十和村)で巨大な鯉のぼりの群れを発見。谷間いっぱいを使って大量の鯉のぼりが空を舞っていました。今でこそあちこちでこのような試みは行われているようですが、実はここが元祖です。すごい迫力でした。


大量の鯉のぼり! 谷の幅一杯で泳いでます。

 さらに東に向けて走ると、R439との分岐点に到達しました。R439(通称ヨサク)はその筋の人には有名な酷道中の酷道。最初に立てた計画では、ここから梼原方面に行く予定でした。ところが、下のような通行制限が出ていました。見ると通行時間制限を行っているみたいで、時計を見ると通行可能時間の終わりまで残り2分。ちょっと不確実なのでR439走行は断念しました。


おっと、予定変更せざるを得ないか...。

 来た道を少し引き返し、再び窪川に向かって走り始めると、「松葉川温泉」の標識が出ていました。ここは10年前、神戸の友人を連れて来たところ。時間もまだ余裕があったので、懐かしさもあってそちらに進んでみました。小さな川をどんどんさかのぼって行くと、山の中にひっそりと温泉郷がありました。ちなみに、この辺りは人家が全くなく、夜は漆黒の闇に包まれます。なので夜は星がすごくきれい。夜空にこんなに星があったのかと思うぐらいです。


山の中にひっそりとした温泉郷。松葉川温泉です。

 温泉の案内板を見てみると、このまま山道を進むと梼原方面に出られそうだったので、そのまま進んでみました。ところがどんどん道は悪くなる。止めは下の写真、ついにダートになってしまいました。ダートは昨年苦い思い出があるので梼原抜けは断念。引き返すことにしました。約20分のタイムロス、山道でのこういう判断ミスはダメージが大きいです(私は最大4時間損をしたことがあります)。


ダートに遭遇! 脳裏によぎる悪夢...。

 松葉川温泉の入口から、県道をさらに北に向かいました。こちらもまだ所々1〜1.5車線で、非常に走りにくい。もっとも、対向車なんてほとんどいませんでしたけど。約20km少々、だらだらと走ると、ようやくまともなR197に出てきました。この道を使えば須崎に出られます。
 途中「道の駅 布施ヶ坂」で休憩しました。ここは昔は狭い九十九折れの続く難所でしたが、今は改良されて急な坂道になってしまっています。展望台からは旧道が曲がりながら下って行くのが見えます。昔はこの山を越えるのは大変だったはず。


布施ヶ坂から見た須崎方面。なるほど、難所だ。

 R197は須崎でR56に合流します。帰路は高速を使わずに一般道で帰ってきました。土佐市高岡はバイパスができて以前とは様変わりしていて、走っているところがどこなのかさっぱりわからないぐらいに変化していました。私は混むであろう幹線道路は避け、地元出身の利を生かして仁淀川を渡る手前で左に折れ、裏道を使って高知市内まで戻りました。それにしても、今日はよく走ったなぁ。


仁淀川に戻ってきました。

 5月2日の走行は一般道327.7km+高速23.9km、351.6km(積算1,221.5km)でした。消費ガソリンは18.7Lで、平均燃費は18.8km/Lでした。アクセルON/OFFが激しかったせいか、あまり伸びてこないです。


今回は四万十川巡りに特化しました。

 5月5日、いよいよ帰路です。帰りは徳島からの船が取れなかったので、自走(!)で埼玉まで戻らなくてはなりません。予想される首都圏での渋滞を考えると頭の痛いところではありますが、そうは言っても帰らねば。また心配したのが天候の問題。4日夜から天気が崩れるという予報でしたが、幸いにも5日早朝時点ではまだ雨は降っていませんでした。何とか降り出す前に戻れれば良いのですが。東海地方は午後から雨の予報なので、午前中にどこまで戻れるかが勝負です。
 家族に別れを告げ、5:30に実家を出発しました。高知ICから高知道に乗り、走行開始です。


家族が見送ってくれました。出発です。


高知IC入口です。いよいよ長い旅の始まり。

 高知道は早朝ということもあり、貸し切り状態でした。高知道は四国山地を19本のトンネルで抜ける豪快な山岳高速で、大豊〜新宮の一区間のみ対面通行です。心配していた山間部の雨もなく、快調に走れました。7:00前には瀬戸内側に抜け、川之江東JCTからは中央構造線にそって走る徳島道に乗り換えます。
 徳島道はほぼ全線が対面通行。遅いクルマに前を塞がれるのが怖かったのですが、おおむね単独で走れました。7:15に上板SAで休憩ストップ。ただ、ここにはGSがなかったので終点の徳島ICまで行って市内で給油をすることにしました。7:40ごろR11バイパスの途中で1回目の給油を行い、鳴門ICから神戸淡路鳴門道に入ります。高速に上がるとすぐに大鳴門橋を通過、四国を後にしました。淡路島に入ると高速は最高速100km/h区間になるので、スピードを上げました。
 8:30には明石海峡大橋が見える淡路SAに到着しました。明石海峡大橋ができてから、瀬戸大橋と比べて関西圏への距離は50km短縮されたのがありがたい。残念ながらこの日は靄がかかっていて、神戸市街はまったく見えませんでしたが、橋の全姿はなんとか捉えられました。


明石海峡大橋、全長4kmの巨大な橋です。

 明石海峡を渡ると本州・神戸市に入ります。第二神明と阪神高速を使って神戸市内を抜けるのが最も距離が短くてすみますが、都市高速はよく渋滞する上に料金所で3回止められるのが煩雑です。そこで神戸の六甲山の裏を回る山陽道・中国道経由で大阪吹田まで出ることにしました。中国道の宝塚トンネルは渋滞の名所ですが、まだ午前中でもあり難なく通過できました。
 9:00過ぎには名神高速に合流、さすがに大阪〜京都は交通量が多い。100km/hでトコトコ走らされましたが、10:00に大津SAに到着し休憩と2回目の給油を行いました。
 大津を出ると、名神高速は琵琶湖の南側を進んでいきます。途中、米原の北陸道分岐を通過し、関ヶ原を走り抜けて関西圏を後にしました。11:00には東海地方の平野部の入口、岐阜県の養老SAに到着しました。このあたりが距離的にはちょうど中間点になります。ここまで6時間、順調です。


これで半分戻ってきました。見ている山は鈴鹿山地。

 ここから東京に向かう手は2つ、東名高速と中央道です。東名高速は岡崎で渋滞していたこともあり、渋滞で先が詰まった際のオプションが豊富な中央道で関東にアプローチすることをここで決断しました。
 11:30ごろ、小牧JCTから中央道に入りました。中央道の岐阜〜長野は比較的交通量が少ないので、100〜120km/hで快調に走行できました。12:00過ぎには中津川の手前にある恵那峡SAに到着。ここで3回目の給油を行いました。あの山を越えると、いよいよ長野県です。


恵那峡SAから恵那山を見る。あの向こうは長野県です。

 全長9,000m弱の恵那山トンネルを抜けると、長野県です。ここからは道は諏訪に向けて北上していきます。このあたりは南アルプスを横目に走り続けるところですが、まだ山の上に雪が残っているのが間近に見られました。このあたりは淡々と走り続け、13:15には東京高井戸まで残り200kmのところにある小黒川PAに到着しました。ここで昼食休憩と、東京にアプローチする最終確認をしました。
 ここから埼玉に入る手は大きく分けて4つ考えられます。1つ目は中央道をそのまま進む場合。これはすでに小仏トンネルで20km渋滞中。2つ目は岡谷から長野方面に進み、上信越→関越で入る方法。しかし、これは花園ICで渋滞が始まっていました。今は携帯でかなり先の渋滞情報もほぼリアルタイムで見られるので便利です。3つ目は甲府からR140雁坂みち→彩甲斐街道を使う方法。しかし、これも秩父市内で渋滞が見えています。残る手は1つ、奥多摩を抜けて青梅に出るR411です。幸い、中央道は甲府までは順調に流れているようなので、この手を使うことにしました。


いよいよ難関、東京へのアプローチにかかります。

 14:30には甲府の手前にある双葉SAに到着、ここで4回目の給油を行いました。首都圏まで残り200km、これで最後まで燃料は持つはずです。14:50ごろに勝沼ICで中央道を降りました。ここからは一般道の山越えで首都圏に入ります。塩山からR411で柳沢峠を越え、青梅を目指しました。狭い山道ですが、幸い車も少なめで順調に流れていました。16:00前には山梨県から東京都に入り、最後の休憩をとりました。自宅まではあと80km程度。意外にもなんとか明るいうちに帰り着けそうな気配です。


東京都まで戻ってきました。自宅まであと80kmぐらいか?

 ところが、奥多摩町で渋滞に遭遇。災害復旧で片側通行をしていて、ノロノロ走行を強いられました。ここまで来てついに身動きできなくなりました。水温は常時100℃を超え、ラジエター裏側の電動冷却ファンは常時回りっぱなしに。フレームにエンジンの熱が伝わって、暑かった。
 なんとか30分ほどで渋滞を抜けられましたが、もうクタクタになってしまいました。青梅から真っすぐ進めば入間→所沢に抜けられますが、この分だと所沢市街地も相当混んでいるはず。そこで、青梅から圏央道を使って関越道所沢ICまで戻ることにしました。18:00ごろ圏央道青梅ICから三度目の高速入線。
 正解でした。圏央道はおろか鶴ヶ島JCTからの関越道上り線も流れていて、約20分で自宅最寄りの所沢ICに到着しました。最後の給油を最寄りのスタンドで行い、ついに自宅に帰着。到着時刻は18:30、出発からちょうど13時間でした。心配していた雨にも全く遭わず、ぎりぎりながらも明るいうちに帰り着けるという幸運に恵まれました。


ぎりぎり明るいうちに帰り着けました。お疲れさま、VTR。


帰宅時のトリップ表示。四国上陸から2,108.5kmです。

 5月5日の走行は887km(高速763.1km+一般道123.9km)でした。帰路の消費ガソリンは44.5L。平均燃費は19.9km/Lでした。今回はほとんど全区間で20km/Lを下回ってしまいました。


走行887km、一日に走った距離としては最長になりました。

 総括です。4月28日に徳島に上陸してから5月5日に自宅に戻るまで、8日間の走行は2,108.5km(うち一般道1,321.5km)でした。今年の春季休暇は非常に充実して、本当に楽しかった。サポートしてくれた家族に感謝です。


総括。高知を中心に、名だたる道をかなり走り込みました。

2007.04.14-04.15

お墓参り

 14日から15日にかけて、再びいわきに出かけてきました。昨年職場の先輩が病気で亡くなり、そのお墓参りに有志で行ってきたのです。二輪・四輪それぞれ現地集合だったのですが、二輪部隊のリーダーを任されたので先導し、いわき市内まで走行しました。2週間前のいわき行きは、実はこの下見だったのです。


メンバーはオフロード、スクーター、スーパースポーツと色々。

 下見の時よりも時間がかかって、15:00集合が結局30分遅れになってしまいました。それでも無事に6台でお墓に到着。目的を果たせました。実は、昨年私が入手したMac miniはこの先輩の形見。インターネットサーバとして活躍している旨、ちゃんと報告しておきました。
 そこからはいわき市久ノ浜にある宿に移動、仲間と一緒に故人を偲びました。

 翌朝は少し早めに目が覚めてしまったので、朝風呂に入った後に海岸を散策しました。やっぱり海沿いはいいなぁと思う次第。かもめも飛んでいて、リラックスできました。また来てみたいな。


早朝の海沿いを散策。いい天気です。

 9:00に宿を出たところで解散。私はCBR1000RRに乗る後輩一人を連れて、喜多方に向かいました。もちろん今年初のラーメンが目当てです。R49で郡山に向かいました。残念ながら遅いトラックに引っ張られてしまい、なかなか快調に走れませんでした。結果として3時間でようやく猪苗代湖に到着。会津磐梯山はまだ雪を被っていますが、例年に比べると雪は少なめ。道路の通行制限ももうすぐ解除されそうです。


猪苗代湖北岸の志田浜から、会津磐梯山を見る。

 さらに1時間で喜多方駅前の丸見食堂に到着しました。昼時を少し外れたこともあって、いつもの味を堪能しました。やっぱり、歯ごたえのある麺とスープがよくしみ込んだチャーシュー、しゃきしゃき感のあるネギの組み合わせは絶品です。今年もまた何回も来よう。下の写真は同行したHくんです。


丸見食堂の前にて。今回同行のHくん、次代のエース?


疲れも吹き飛ぶ、定番の味。

 喜多方から南下して、会津若松ICから磐越道に乗り、帰路につきました。途中にある磐梯山SAでは間近に磐梯山の雄姿を見ることができます。今年もよろしくね!


帰路、磐梯山を間近に見ることができる場所です。

 そこからは真っすぐに東北道を経由し、自宅まで戻りました。途中白河の手前で雨に降られてしまいましたが、幸い本降りになったのは1区間だけで、ずぶ濡れにならずに済みました。
 今回の走行、2日間で784.7km(うち一般道324.5km)。消費ガソリンは38.3L。平均燃費は20.5km/Lで、まずまずでしょうかね。


高速をかなり使ってしまったので、これから巻き返しが大変。

2007.04.01

'07シーズン、スタート!

 例年になく出遅れてた今年のツーリング。これだけスタートが遅れたのは中国出張で4月半ばまで始められなかった'03年以来です。今年は暖かくて早くツーリングに行けるようになるかと思いきや、3月下旬からは寒くなり、さらには週末の雨が多くて出掛けられませんでした。今週の日曜日は気温も上がる予報だったので、土曜日に急遽計画を立案し、出掛けてきました。行先はいわきです。
 6:00に出発、外環和光北ICから高速に乗り、川口JCTから東北道で北上しました。


いよいよ、今年の旅が始まりました。安全運転で行きましょう。

 栃木・福島県境の那須高原SAまで一気に走破し、1回目の給油を行いました。燃費はだいたい20km/Lぐらいでした。白河ICで東北道を降り、R4を経由してR289に入ります。R289は太平洋側のいわきから日本海側まで、途中2ヶ所が未開通ながらも新潟まで続いている長距離路線。ただし番号が大きいことからわかるように、未整備区間も残っている道です。
 途中、「江竜田の滝」という標識が出ていたので寄ってみました。このあたりで滝と言えば日光「華厳の滝」や茨城「袋田の滝」が有名ですが、こちらも三段構えでなかなかスケールが大きい。ただ前日が雨だったためか、水が少し濁っていたのが残念でした。


水量もまぁまぁ多い。そこそこの迫力。

 R289は川に沿って東に向かいます。途中1.5車線区間もあったりしますが、それほどアップダウンはないので、狭いながらも面白い道です。ブラインドのタイトコーナー多し。ただ、いわき市に入るところでは峠道がかなり狭いので対向車に注意が必要。改良工事も進んでいるようですが、全線が快適な道になるのはまだまだ先でしょう。太平洋側勿来海岸まで約10kmのところで休憩。


あと10kmほどで海に出ます。

 R289はいわき市の勿来に出てきます。この時点で10:00だったので、予定を少し変えて見晴らしの期待できる湯ノ岳に行くことにしました。海岸沿いに走るR6に乗り、しばし北上。途中、湯本温泉方面に向かうと常磐道いわき湯本ICの前に湯ノ岳パノラマラインの入口がありました。見晴らしの良いスカイラインを駆け上がると、視界が開けてきました。


途中、振り返ると小名浜方面が見えました。向こうは太平洋。


気分爽快、タイトターン回るのは楽しい。

 湯ノ岳の展望台に到着。もう少し距離があるといいんですが。残念ながらこの日は視程はあまりよくありませんでした。肉眼だといわきの市街地が見えたのですが、デジカメだとよく見えないですね...。


いわき市街地方面を見る。霞んでしまっていますが...。

 だいたいの目的は達成したので、帰路につくことにしました。本来ならもう少し粘るんですけど、久しぶりのツーリングですし、日曜日なので翌日のことを考えて早めに切り上げることにしました。
 湯ノ岳を降り、いわき湯本ICから常磐道に乗りました。途中、中郷SAと友部SAに寄り、友部では2回目の給油を行いました。さて、常磐道といえば美野里PAの「かつ鍋定食」が私のお気に入り。ちょうどお昼時だったので、寄って食べてきました。下の写真、美味しそうでしょ。


久しぶりにまともな休日の昼食。しあわせ。


さぁ、あとはまったり帰るだけです。残り約100km。

 その後はまったり走り続け、三郷JCTから外環道に乗り換え、和光北ICまで戻ってきました。結局帰り着いたのは14:00過ぎ。大分早く帰り着いちゃいました。本日の走行、513.1km(うち一般道140.1km)でした。


まだ肩慣らしの段階ですね。一周500kmちょっと。

 おまけ。この週末は関東地方の桜がちょうど見頃でした。帰り着いてバイクを休めた後、駐車場の近くにある一番きれいな樹をカメラで撮ってみました。きれいでしょ。


今日が一番の見頃です、今年の桜。

2007.03.15

滞在6時間

 15日は日帰りで熊本に出張していました。前の日に突然決まったこの出張。会議の開催時間が14:30~18:00だったので、熊本に13:00に到着、会議に出て夜の飛行機で羽田に戻るという強行スケジュールになりました。思い返すと、残ったのは疲れだけ?
 幸い、17:30には会議が終わったので一本早い飛行機に乗ることができ、また最寄り駅向けのバスがちょうどあったので、22:30には自宅に戻れました。でも熊本滞在はわずか6時間...コストパフォーマンス劣悪のような気がします。

2007.01.26-01.28

京都雑感

 所要があって、京都に出掛けてきました。私はとある理由から、数年に一度京都を訪れる必要があるのです。その用事も一日がかりになることが多いので、金曜日の午後に自宅を出発し京都四条河原町と五条の間にある鴨川沿いのビジネスホテルに宿泊。翌朝すぐ目的地に行ってきました。
 その場所は京都御所の傍にあるため、昼食を摂りに出た際に御所の中に入ってみるのが楽しみの一つです。京都はやっぱり独特の雰囲気を持っていますね。久しぶりにのんびり散歩を楽しみました。


最寄りの入り口。地下鉄丸太町駅の近く。


こんな景色はなかなか見られませんね。


天気もあまり良くないので人気も少ない。


幸いにもそれほど寒くはなかったです。

 今回は意外にも昼過ぎには用事が終了してしまいました。そこで、お土産購入も兼ねて久しぶりに四条河原町周辺も散策。冬の鴨川は夏と異なりちょっと寂しげですね。夜は梅田で神戸時代の旧友夫妻と会食、楽しいひとときを過せました。その夜は梅田にあるビジネスホテルに宿泊し、翌朝早めに出発。7:30新大阪発ののぞみに乗って、10:06東京着。日曜日の午前中には自宅に戻れました。
 今週はかなり濃密な週末でした。

2007.01.04

さぬきうどんツアー '07新春版

 今年の正月三が日は特にイベントもなく静かに過ぎ行きました。何もしないのもね...ということで、家族でさぬきうどんを食べに(わざわざ)香川県まで行ってきました。高知道ができてからというもの、香川まで1.5時間で行けるようになったので、楽々日帰り可能。いい時代になったものです(笑)。
 9時頃出発して、高知ICから高知道で香川の善通寺を目指して北上しました。四国山地を縦断し、愛媛県に入った所(新宮ICの手前)では霧が出ていました。やっぱり四国の中央部は山深い。


霧に向かって突っ込む様子。

 秘境IC(?)の新宮を過ぎ、徳島道分岐・川之江東JCTを通過するとすぐに高松道分岐・川之江JCTにさしかかり、瀬戸内海を望むルートに出ます。最近、高知から阪神地方に出るには徳島・淡路島方面に向かうことがほとんどなのもあり、こちらに来たのは本当に久しぶりです。この日の瀬戸内の天候は穏やかな晴れ。丸亀に近い所では瀬戸大橋も含めて対岸の岡山側まではっきりと見渡せました。


香川県の豊浜SAから見た瀬戸内海。穏やかです。

 善通寺ICで高速を降り、琴平方面に向けてR319で南下しました。今回はインターネットで評判と場所を調べてのツアーで、ターゲットは善通寺市近辺です。(うどんの画像はクリックで拡大できます)
 まず1軒目は「宮武うどん」。10時半ということもあり、まだ込み合ってはおらず、ほとんど待つことなく席に着けました。注文は一番人気「かけうどん」のあつあつ小(麺:あつい、つゆ:あつい)です。麺はコシが非常に強くて私好み。つゆも軽々飲み干せるほどのあっさりしていました。さすが、地元の人が「美味しい」というだけのことはあります。

 
「宮武うどん」さん。麺のコシは随一で、私的には最高に美味しかった。

 2軒目は善通寺病院の北側にある「宮川製麺所」。自分で湯通しをして盛りつけるセルフのお店でした。こちらでも「かけうどん」を賞味しました。ここの麺はコシはやや弱いのですが、その代わり歯当たりが良いのでつるつると(?)食が進みます。地元のお客さんが多いのか、店の雰囲気も面白いです。

 
「宮川製麺所」さん。アットホームな雰囲気が魅力です。

 3軒目、いままで2軒がかけうどんだったので今度は「釜揚げうどん」にチャレンジです。訪れたのはR11沿いある「大釜うどん」です。ここでは「小」をいただきましたが、そのボリュームにびっくり。食べても食べても麺が切れない、なくならない! 麺のコシは強いもののやや硬い印象でした。

 
ボリュームを求めるならここ? 「大釜うどん」さん。

 おまけ。この日同道したのは私を含めた3人+1匹、実家の愛犬セイディくんです。ドライブ大好きな彼はもちろんクルマも大好きなのですが、専用車があるだけに(?)親父の愛車ACCORDに乗る際には専用キャリーに乗せられるのが今一つ気に入らない様子。普通に高速道を走るときはおとなしいのですが、トンネルに入ると吠える吠える...。頼むからいい加減に年相応になってくれ(苦笑)。


運転中は前方注視が当たり前です!

 本日は3軒回りましたが、3人で一致した意見が1軒目の「宮武うどん」の美味しさ。場所が一番高知寄りということもあって、最後にもう一杯食べて帰路につくことにしました。ところが14:30ごろ再び訪れてみると、今度はすごい行列...。並ぶこと1時間半、ようやく食べることはできました。でも、やっぱり美味しい。それだけの価値はあります
 最後の一杯を食べるためにかなり時間がかかってしまったので、善通寺ICから再び高速に乗って、高知まで戻りました。今回はなかなか充実したツアーでした。3人でのべ4軒、お腹いっぱいになったけど一人1,000円そこそこしか使ってません。(交通費除けば)非常に安上がりでした。


帰路、豊浜SAにて。お疲れさまでした。